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英国 アンティーク、ヴィクトリアン シェイクスピア本、オイルランプ、(1 )










No. 20191 革のかばん (再入荷の可能性がなくなりました。手持ちがSOLDとなりましたら、販売終了となります。)
本体長方形の縦横 37.5cm*29.0cm、重さ 720g、持ち手を含めた高さ39.0cm、底部の厚み 6.0cm、バーの長さ 24.8cm、二万四千円 (二つあります。)

これはアンティークではないのですが、古くからある楽譜屋の片隅で見つけたものです。 そこの店主さんは、例えば「モーツァルトの○○番はありますか?」と言えば、たちどころにカウンターの後ろにある沢山の引き出しの中から楽譜を探し出してくれます。 また、曲の感じを知りたい時はその場でピアノを弾いてくれる根っからの音楽好きな方です。

このバッグを求めた時には、知り合いで白髪のご婦人が、「このバッグはとても長く持つのよ。 1930年代から母が使い始めて、私が譲り受けても、糸のほつれを直してまだまだ使えるの。」と教えてくれました。  ジッパーやボタンではなく、取っ手を潜らすバーで開閉することにより、楽譜を傷めないように配慮されています。

こだわりのあるお母さん方の子供たちは、このバッグに楽譜を入れてピアノやバイオリンのお稽古へぶら下げていきます。 そして大人になった頃にはそれなりの傷やハクがついて、もっと風合いが出てくるのです。

本来は楽譜用のかばんですが、楽譜に限らず、普通にかばんとして使ってみても素敵だなと思いました。

内側はプレーンなレザーの裏地だけで、ポケット等は付いていません。 いろいろと気の利いた工夫が多い日本のかばんと比べると、少し物足りない感じもするのですが、Simple is the best.というコンセプトで作られているのは、いかにも英国風とも言えて、それもまたよいかなと思うのです。

革のかばん(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20189 折り畳み式 オペラグラス
伸ばした長さ 8.7cm、縮めた長さ 7.0cm、横幅 10.1cm、鏡筒部の最大外直径 3.85cm、対物レンズ有効直径 2.9cm、重さ 120g、1900年前後の品、三万八千円(イギリスからの送料込み)

大発明時代であったヴィクトリアンの影響がよく出たオペラグラスで興味深く思います。 

観劇の際には下側に付いた支柱に親指をかけて、他の指は上側において、オペラグラスを挟むようにして保ちます。
向こう側に付いたレバーを動かすとオペラグラスの胴体部が伸縮してピントを合わせる仕組みになっています。 

折りたたむと写真四番目のような平板構造になります。
対物レンズと接眼レンズがそれぞれ内側に折りたためて、さらに中央部に付いている支柱も折りたためる仕掛けです。

可動部のある百年以上前のアンティークが、完品状態で今に至っているもの、レアものアンティークと言ってよいでしょう。

ヴィクトリア女王は若干18歳で英国王になりました、それから1901年までの64年間がヴィクトリア時代です。 彼女が国王になった時、彼女自身も、また多くの英国民も、その後のこの国の大発展を予期していなかったろうと言われています。 しかし実際にはヴィクトリア女王の治世に、英国は大いに伸長し、世界史上これまでなかった規模の大帝国となりました。

テクノロジーの面でもヴィクトリアンからエドワーディアンの頃は大発明時代で、今見ても驚くような立派な発明から、笑ってしまうような発明までいろいろあって、この時代のダイナミックさには大きな魅力があるのです。 「Victoriana」というアンティーク分野があるのも、さもありなんです。 

イギリス社会がまだ若く、世の中に活気があったためでしょう、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃の英国は、発明や工夫が大いに振興した時代でありました。 写真のように一工夫効いた物品がもてはやされた当時の時代状況が見えてきて、興味深いアンティークと思います。
折り畳み式 オペラグラス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20171 狩猟犬 コークスクリュー
スクリューの先から前足までの長さ 8.0cm、重さ 35g、最大厚み 1.1cm、1930年代の英国製、一万一千円

ブラスで出来た犬のワイン栓抜きで、狩猟用のワンちゃんに見えます。 1930年代の英国で犬のコークスクリューが流行ったと聞きました。 イギリスには犬の好きな方が多いので、昔からこういったデザインは需要があったろうと思います。

それから、このコークスクリューはしっかり出来ており好感が持てます。 犬の本体部分は稠密なブラスなので、持ちはかりがあって重厚な感じ、グリップが効いてしっかり手になじみます。 らせん状の尻尾も取り付けがとても頑丈です。 

ブラスという素材はパブのカウンターとか、マナーハウスのドアノブなど英国の昔ものには欠かせない素材で、磨き上げられたブラスの光沢は落ち着きと品があって、英国風を感じさせます。 

ブラスのお手入れについては、ブラス専用の磨き液がありますので、ご紹介しておきましょう。 私はReckitt & Colman社のBrassoという磨き液を使っています。 スペイン製ですが、なぜか缶の表には英国王室御用達のQE2マークがあります。 イギリス人はブラス好きで、昔から英国風には欠かせない素材であったことが関係あるのかも知れません。 

それから日本でも簡単に手に入るお手入れ用品として、日本磨料工業製の『ピカール』という品もあります。 使い比べてみて、ピカールはブラス(真鍮)以外にもあらゆる金属に使えるのみならず、プラスチック、象牙、管楽器等のお手入れに使用可能と書いてありました。 ピカールの方が用途が広くて便利かも知れません。

狩猟犬 コークスクリュー(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20169 ヴィクトリアン 折りたたみ式 鉄製 コークスクリュー (ワイン栓抜き)
伸ばした長さ 10.9cm、閉じた長さ 6.4cm、横幅 3.9cm、重さ 36g、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製、八千円

伸ばしていると危ない感じもいたしますが、この品は折りたたみ式で、収納状態ならまったく安心です。 手にしてみると楽しいもので、なにはなくとも、出したり入れたりしてみたくなります。 

写真の品は鉄製のコルク栓抜きです。 かなり古いにもかかわらず、モダンな雰囲気もあって、面白いと思います。 栓抜きのスクリュー棒を両側から挟み込む二本のアームが、強力なスプリングの働きをする、なかなかのアイディア品です。 スクリュー棒とアームの接合部は凹凸の形にスティールが切ってあり、アーム両サイドから押す力が強いので、写真一番目のように閉じた状態か、写真二番目の伸ばした状態で、カチッと形状が収まる仕掛けになっています。 

コルク栓抜きは英語で言うと「Corkscrew」になりますが、この単語の響きがなんとなく好きで、実際に使えるアンティークであることにも惹かれるのです。 使えるアンティークとしてはコンパスや置時計もよいのですが、食事や会話を楽しんでいる中で、ワインの栓を抜くひと時というのは、華のある儀式のようなものであって、そんなときに使えるアンティークなコークスクリューに興味を覚えます。

英国アンティークにはアイアン アンティークという専門分野があります。 イギリスには世界初の鉄橋で、ユネスコの世界遺産にもなっているアイアンブリッジという誰もが知っている観光地があって、英国人にとってアイアン アンティークと言われてまず思い浮かぶのは、この産業革命の遺産であるアイアンブリッジであることが多いようです。 鉄の道具の歴史はかなり古いわけですが、ジョージアンの時代の中頃に始まった産業革命の影響が大きく、次のヴィクトリア時代を通じて、鉄製品が芸術的な領域にまで高められていきました。 ですからイギリスにおけるアイアン アンティークとは、この国の人たちにとって誇らしいアイアンブリッジや産業革命の延長線上にあって、ヴィクトリアンのノスタルジーを感じさせてくれるアンティーク分野であるのです。

赤錆や黒錆が混じっていますが、基本的には黒錆が勝っており、これからもお手入れしだいで、いい感じなアイアン アンティークになっていくでしょう。

ヴィクトリアンからエドワーディアン頃のブラックスミスの仕事になります。 金属細工人の中でも鍛冶屋さんをスミスあるいはブラックスミスと言いますが、主要な交通手段が馬や馬車であったヴィクトリア時代においては、ブラックスミスはとても重要な職業で、どこの村にも鍛冶屋さんがありました。 カンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは鍛冶屋さんでもあったという話がありますが、これなどは昔の時代にあっては鍛冶屋さんの役割が重要であった証左とも言えましょう。

各方面に技術が進歩した現代ではちょっと想像がつき難い所でありますが、昔の時代にあっては鍛冶屋さんは長いあいだ社会の先端技術者であり続けました。 もっと遠い昔、ヒッタイトの時代には鍛冶屋の技術を修めれば征服者にもなれたことに思いをいたしてみるのもよいでしょう。

知り合いに先祖が鍛冶屋さんだった方があって、その方は電気関係のエンジニアですが、科学全般に造詣が深く鍛冶屋の仕事についても、いろいろ教えてもらいました。 赤錆、三酸化鉄、黒錆、五酸化鉄、鉄の焼入れ等々、錆も含めた鉄のコントロールについていろいろ習いました。 ごく簡単に言えば、赤錆は悪い錆びですが、黒錆=四酸化三鉄=トリアイアン・テトラオキサイド(triiron tetraoxide)は鉄を守るよい錆びです。 経験的に知っていたのかも知れませんが、こういう化学知識も備えもって鉄をコントロールしてきたのが、昔の鍛冶屋さんであったのです。

ヴィクトリアン 折りたたみ式 鉄製 コークスクリュー (ワイン栓抜き)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ヴィクトリアン 折りたたみ式 鉄製 コークスクリュー (ワイン栓抜き)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20167 エドワーディアン アール・ヌーボー femme-fleur モチーフ スターリングシルバー ハンドル+スティール ブレード 靴べら
長さ 17.3cm、重さ 46g、最大横幅 3.2cm、柄の最大厚み 0.9cm、1903年 ロンドン アセイオフィス or 1907年 バーミンガム アセイオフィス、一万四千円

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られた靴べらです。 女性の横顔が美しいと思いました。 

ブレードとハンドルともにコンディションがよく、かなり綺麗なエドワーディアン アンティークです。

流れるような髪の女性とフラワーデザインを特徴とする femme-fleur はフレンチ アール・ヌーボーに典型的なモチーフですが、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの英国アンティークにも見られるデザインで、英語ではdream-maiden モチーフとも呼ばれます。

柄の付け根にはブリティッシュ シルバー ホールマークが刻印されています。 アセイオフィス マークが読み取りにくいのですが、その他のホールマークの字体から類推して、1903年のロンドンか、あるいは1907年のバーミンガムのどちらかとなります。

エドワーディアン アール・ヌーボー femme-fleur モチーフ スターリングシルバー ハンドル+スティール ブレード 靴べら(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン アール・ヌーボー femme-fleur モチーフ スターリングシルバー ハンドル+スティール ブレード 靴べら(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20138 木製 額縁入り 『エンジェルヘッド』
縦 13.35cm、横 10.3cm、最大厚み 1.45cm、重さ 97g、1930年代の英国製、The Fine Arts Publishing Company Ltd作、3/5 Burlington Gardens, Bond Street, London、二万四千円

レイノルズの有名作品 『エンジェルヘッド』の複製プリントを額縁に入れた品になります。 The Fine Arts Publishing Company によるもので、1930年代あたりの品と思います。

額縁の裏面には、Title: Angels Heads、Artist: Reynolds、The Fine Arts Publishing Company Ltd とあります。

イギリス人にとって、レイノルズの『エンジェルヘッド』は、お気に入りの作品であるようで、教会関連のコモンプレイヤーやヒムスの挿絵として使われているのをよく見かけます。

もう一つ、この品の注目点は「3/5 Burlington Gardens, Bond Street, London」という裏面に記されたアドレスにあろうかと見ております。 ロンドン ボンドストリートにあるアスプレイに近い辺りにBurlington Gardensがあります。 フォートナム&メイソンの近くでもあり、ロンドン観光においでの際に、ロイヤル アカデミー オブ アーツやバーリントン アーケードを散策された方もあるでしょう。

The Fine Arts Publishing Companyは、現在ではもうなくなっておりますが、このあたりは今でも感じのよいところで、ロンドンの中でもポッシュな界隈であります。

写真をご覧になってください。 ロイヤル アカデミー オブ アーツの建物になりますが、この立派な建物のアドレスが「6 Burlington Gardens」になります。

そうしますと、写真の木製額縁入り『エンジェルヘッド』を作った The Fine Arts Publishing Companyのアドレスが、「3/5 Burlington Gardens」とありますので、ロイヤル アカデミー オブ アーツから、通りを渡ったちょうど向かい側に、店舗を構えていたということが分かるのです。

ロイヤル アカデミー オブ アーツが建築されたのはヴィクトリア時代の半ばであり、この界隈はヴィクトリア時代の昔から、ロンドンの中でもアート関連のビジネス拠点であったということでありましょう。

古いアンティークを手元で眺めて、アドレスを手掛かりにして、その品が売られていた当時の界隈の様子に想いをいたしてみる、そんな楽しみがあるアンティークです。 そして、ロンドンにおいでの際には、このアドレスへ出かけてみると、ロンドンの中でもいい場所でありますし、旅の目的や楽しみが増すことでありましょう。

木製 額縁入り 『エンジェルヘッド』 (英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)木製 額縁入り 『エンジェルヘッド』 (英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)






No.20017 女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク
直径 3.1cm、重さ 11g、最大厚み 2mm弱、銅貨は1967年 鋳造、一万二千円

エナメルワークの美しいグッドラック ペニーです。 幸運を呼ぶお守りのように扱われてきた品と思います。 エナメルの上からカバーグラスがかかっていて、エナメルのコンディションがよいままずっと保てるようになっています。 手にした時の重厚感に惹かれるよい品と感じています。

イギリスには現在の最小通貨単位である1ペニー硬貨について、『Find a penny, Pick it up, and then all day, You'll have good luck.』 (ペニーを見つけて、持っとけば、そしたらその日は一日グッドラックあり。)という言いまわしがあります。 

Good Luck ペニーコインは1967年の銅貨で、ヘッド(表)側はエリザベス二世の若かりし頃のポートレート、テイル(裏)側はイギリス国家の守り神とされる女神ブリタニアのデザインです。 

そして、エリザベス二世といえば、イギリスの現女王であり、ロンドン オリンピックの開会式ではジェームス・ボンドとの共演も話題となりました。 戴冠六十周年のゴールデンジュビリーを迎えても、まだまだお元気で、パワーを与えてくれそうです。 写真のコインは今から半世紀ほど前のもので、その頃から女王を続けてきたことは、やはり凄いことだと思います。

イギリスは1971年の通貨制度変更で、それまでの12進法から10進法に改めましたので、旧制度のペニーコインは1970年を最後にイギリスで七世紀から続く歴史を閉じました。 そういう事情で、1967年の貨幣ではありますが、現在のイギリスでは通用しません。

写真のペニーが使われていた時代は、イギリスで通貨制度改革が行われた1971年より前の時代になります。 当時は1ポンドが240ペンスでありました。 1970年に役割を終えていますから、今日では存在しないのが当たり前ですが、素材となっている銅の価格が今では高騰している為に、ペニーの製造原価という側面から見ても、今ではとてもじゃないけど存在し得ないコインとなっていることも興味深く思います。

もう少し詳しく計算してみましょう。ペニー銅貨は9.4グラム、そのほとんどが銅というコインでした。 ニューヨーク マーカンタイル取引所における足許の銅価格は453gあたり3.25ドルでした。 英貨で1ポンドにあたる240枚のペニーを作る為には重さにして2.256kg、銅価格にして16.1ドル。 ポンドドル相場 1.40$/£でポンドになおすと、11.5ポンドになります。 

1ポンド分のペニーを鋳造するのに、素材の銅価格だけで11.5ポンドのコストがかかるとしたら、そんなコインはとてもじゃないけど存在し得ないでしょう。 銅価格の変遷という事情が背景にあって、写真のペニーには、今となってはアンティークでしか手に入らない希少性が備わっているとも思うのです。

あらためて詳細に見てみると、なかなか細工のよいアクセサリーであることが分かります。 女神ブリタニアや女王が浮き出す形でエナメルがきっちり入っていますし、奥ゆきの感じられるエナメルワークは、光にあたった反射光が綺麗です。 エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金銀などの貴金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 

最後にイギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1ポンド」=「ペニー銅貨240枚」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。

昔、サマセット・モームの「月と六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数字でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃止され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法時代の名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと落ち着かないのでしょう。

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン時代のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服者が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。
女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク


No.20130 ヴィクトリアン or エドワーディアン アール・ヌーボー  リボン飾り 銅製 マッチケース
横の長さ 4.3cm、縦の長さ 2.9cm、厚み 1.45cm、重さ 12g、一万三千円

アール・ヌーボー デザインが優美な銅製マッチケースです。 四隅にはユリと思われる植物が綺麗です。上下にはリボン飾りがクルッとかかっていて、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃、おそらくは1900年前後の英国製と思います。

内側には木製ケースが入っていますが、一世紀ほどの年月を経て朽ちかかっており、側面のヤスリも弱くなっているので、銅製のフレーム本体を活かして、内部のマッチ箱は自作してください。

それから、クルッとしたリボン飾り、どうもこのデザインはヴィクトリアン終わり頃からエドワーディアン頃に多いように思います。当時のイギリスで流行ったデザインと云うことでしょう。夏目漱石のロンドン留学の頃と重なっております。漱石もロンドンで影響を受けて、『三四郎』に出てくるリボンの話に繋がっていったのではないかと考えています。

このリボン飾りについて少し考えてみたいことがあります。二十一世紀に暮らす日本人の私たちは、この装飾を見て、リボンがクルッとかかって、かわいいなと思われるでしょう。しかしながら、この品が使われていた一世紀ほど前に、当時の日本人が見たとしたら、そう簡単にはピンと来なかった可能性が高いのです。

その手掛かりは朝日新聞に1908年に連載された夏目漱石の『三四郎』にあります。第二章の最後に以下の一節がありますので、まずは読んでみましょう。

『四角へ出ると、左手のこちら側に西洋小間物屋(こまものや)があって、向こう側に日本小間物屋がある。そのあいだを電車がぐるっと曲がって、非常な勢いで通る。ベルがちんちんちんちんいう。渡りにくいほど雑踏する。野々宮君は、向こうの小間物屋をさして、
「あすこでちょいと買物をしますからね」と言って、ちりんちりんと鳴るあいだを駆け抜けた。三四郎もくっついて、向こうへ渡った。野々宮君はさっそく店へはいった。表に待っていた三四郎が、気がついて見ると、店先のガラス張りの棚に櫛だの花簪(はなかんざし)だのが並べてある。三四郎は妙に思った。野々宮君が何を買っているのかしらと、不審を起こして、店の中へはいってみると、蝉(せみ)の羽根のようなリボンをぶら下げて、
「どうですか」と聞かれた。』 (以上、引用終り)

四つ角というのは本郷三丁目の交差点で、向こう側の日本小間物屋というのは、「本郷も兼安までは江戸のうち」の川柳で有名な兼安を指しています。「蝉(せみ)の羽根のようなリボン」という表現は、すさまじい感じで、リボンを見たことがない人にも、リボンがなんたるか説明したい漱石の親切でしょう。

『三四郎』を今読むと、なんともノスタルジックで、アンティークな読み物と感じますが、朝日新聞に連載された頃はトレンディー小説だったわけで、当時の先端事情が物語の背景にあります。

小説の中で、野々宮さんがリボンを買いに、交差点を渡って、向こう側の日本小間物屋に行っていることがポイントです。明治終わり頃まで日本には国産リボンはありませんでした。リボンは西洋からの輸入品で、殖産興業の観点から高率な関税がかけられ、簡単に手に入る品物ではなかったのです。 

ところが、ようやく国産リボンの生産が始まったのが、ちょうど『三四郎』の時代でした。ですから、野々宮さんは西洋小間物屋ではなく、日本小間物屋でリボンが買えたわけです。国産リボンが出始めて間もない時代であったので、トレンディーでない普通の読者向けには「蝉(せみ)の羽根のような」という説明も必要だったと思われます。

写真のアンティークは『三四郎』と同じ時代に作られておりますことから、当時の普通の日本人にとっては、まだまだ馴染みのうすいリボンだったと考えられるのです。 

ヴィクトリアン or エドワーディアン アール・ヌーボー  リボン飾り 銅製 マッチケース


No. 20122  ウィッスル with 『MADE IN ENGLAND』 SOLD
長さ 8.2cm、直径 1.5cm、重さ 20g、五千円 SOLD

写真の品はハドソン商会の笛になります。 ウィッスルの胴体には、『MADE IN ENGLAND』の表示が見えています。 

歴史的にみて、このウィッスルはイギリスでもかなり強力な笛になります。 防犯用や緊急援助の要請、あるいは野生の動物よけなど、日本でも使える場面は多いだろうと思います。 

ヴィクトリア時代のお巡りさんについて、情報を得ました。 『What the Victorians Did for Us(Adam Hart-Davis著)』という本によると、ハドソン商会のウィッスルが採用される以前のお巡りさんは、笛の代わりにRattle(ガラガラ)を持ち歩いていたそうです。 

緊急事態が発生したときにはガラガラを振り鳴らして、周囲を警戒中の仲間に知らせたのです。 ところが、やはりガラガラでは、遠くまで音を届かせるという点で性能がいま一つでした。 

そこで、ハドソン商会の笛となったわけです。 ちなみにヴィクトリアン終わり頃における緊急時の支援要請サインは、この笛を三回短く吹き鳴らすことであったそうです。

ウィッスル with 『MADE IN ENGLAND』


No. 20094 ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ 『ジョン王』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス
縦 15.4cm、横 10.4cm、厚さ 1.1cm、115ページ、重さ 160g、1899年 George Bell & Sons ロンドン、Chiswick Press 印刷、一万二千円

イギリスの劇作家シェイクスピアの歴史劇 『ジョン王』 のヴィクトリアン アンティーク本になります。 

シェイクスピア史劇『ジョン王』については、探してみたら、こんなのもありました。 ちょっと、雰囲気を感じてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=tm5WVxlJ__8

ジョン王といえば、1215年のマグナ・カルタ(大憲章)が有名で、歴史の授業で習ってきたので、日本人の私たちにもなじみがあります。

日本の文庫本サイズですが、ハードカバーの布張り装丁本で、たいへん格調高いアンティーク本と感じます。 扉を開いてみると、写真三番目の下方に見えるように、『London George Bell & Sons 1901』とあります。 このシェイクスピア シリーズは、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃にかけて、順に出版されましたが、この本はヴィクトリア時代の終りからエドワーディアン初年にあたる1901年に出たものと分かります。 百年以上前の本ですが、コンディション良好で、手元において眺めていても満足です。

このシリーズ書籍は夏目漱石と大いに関係ありと、私は考えております。 ロンドン留学中に英文学書籍を買い集めていた漱石が、書店で見て手にして、おそらくは求めて日本に持ち帰った一冊だろうと推理しています。 詳しくは以下をご覧ください。

【このアンティーク本を夏目漱石がヴィクトリアン ロンドンで手にしたに違いないと推理するわけ。】
モスグリーンの布張り装丁には、アーツ・アンド・クラフツのチューリップ & フォーリッジ インターレーシング パターンが綺麗です。 印刷元のチズウィック・プレスは、ウィリアム・モリスの初期デザインを世に知らしめたことで名を成して、イギリスにおける印刷の歴史に大きな足跡を残しました。 

また、挿絵を描いている Byam Shaw はヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃に活躍したラファエル前派からつらなる画家で、シェイクスピアの挿絵画家としても人気がありました。 1910年には Byam Shaw School of Arts を創立しています。 現在ではこのアート・スクールは芸術分野において世界でも有数なCentral Saint Martins の一部になっています。

本文および用語解説の本体部は115ページありますが、それ以外に巻頭部には挿絵とイントロダクションが十ページほどあって、その後に登場人物説明、そして本文にあたる第一幕が始まっていきます。 

写真四番目は第一幕の始まり部分で、合計五幕構成の各幕始めにはそれぞれに違っていて楽しめるちょっとした挿絵があります。 その他に写真五、六番目のような大きな挿絵が合計六ページあるのも嬉しいところです。 

最終幕の後に写真七番目のような挿絵と『The End』が見えます。 さらにその後に続いているのが、「Glossary and Notes」の巻末用語解説で、六ページあって昔の用語について参考になります。 

英国BBC製作テレビシリーズの一つである『ジョン王』 を手助けにして、ヴィクトリアン・アンティーク本を読んでみるのも面白いと思います。 百年以上の古さを持ったアンティークなテキストは、ちょっと立派過ぎるかも知れませんが、英語シェイクスピアの鑑賞&学習、まずは形から入るやり方もありでしょう。 

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【シェイクスピア英語原典の読み方(イギリスの学習参考書から眺めた英国における古典教育)】
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ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ 『ジョン王』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレスヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ 『ジョン王』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス


No. 20119 ロザリオ クロス with スタンホープ
クロスの縦 4.1cm、横 2.7cm、厚さ 0.6cm、ロザリオ一周の長さ 57cm、1910年代、英国製、二万五千円

クロス中央にある直径わずか1.5mmほどのレンズを覗き込むと、「幼子のキリストを膝に抱いて座った聖母マリアの前に跪く聖ドミニクの図」のマイクロフィルム写真がとてもはっきりくっきりと見えます。どんな絵かお伝えしようと思いざっと描いてみました、本当はもっと精密な宗教画なのですが、ご参考まで。

この仕掛けはスタンホープと呼ばれます。ヴィクトリア中期にクリスタル素材のスタンホープレンズとマイクロフォト技術が開発されたことによって、ピンの頭ほどのマイクロフォト写真に、お祈りの図などを撮って、それを拡大して見せる仕掛けが可能になったものです。スタンホープは1870年頃から1920年頃まで主に作られていました。

その後はスタンホープレンズを作るメーカーがなくなってしまい、この技術も絶えました。今日では技術を復活させてスタンホープを作っている愛好家のメーカーがアメリカに一社だけあるそうです。

先日、英国でスタンホープ研究の第一人者の方とお話させていただく機会があって、いろいろ教えていただきました。何でもその道の専門家がいて、ずいぶんマイナーなことでも調べている人がいるというのが、イギリスという国の面白いところだと思います。また、イギリスにはスタンホープ コレクターズクラブがあって、年に一度はミーティングを開いて、セミナーや情報交換をしているとのことでした。

このクロスはお祈りの際に用いる数珠(じゅず)でロザリオ(rosary)と呼ばれます。クロス本体の彫刻が美しく、数珠にも丸モチーフのデザインで統一された彫刻が施されています。

スタンホープが夏目漱石の『吾輩は猫である』に出ていると教えていただきました。

夏目漱石 『吾輩は猫である』六、迷亭君と細君の会話

迷亭君は今度は右の袂の中から赤いケース入りの鋏(はさみ)を取り出して細君に見せる。「奥さん… この鋏を御覧なさい… ここに蠅の眼玉くらいな大きさの球がありましょう、ちょっと、覗いて御覧なさい」 「おやまあ写真ですねえ。どうしてこんな小さな写真を張り付けたんでしょう。」

以上です。

私が思いますには、スタンホープが英国で流行っていた頃に、漱石はロンドン留学しておりますので、漱石はイギリスでスタンホープを見知る機会があって、そんな経験が『猫』にもあらわれているのだろうと考えます。

今ではあまり見かけないスタンホープ、漱石の時代には流行りものだったことが、うかがい知れるのは、このアンティークの面白さと感じます。

ロザリオ アイボリークロス with スタンホープ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ロザリオ アイボリークロス with スタンホープ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ロザリオ アイボリークロス with スタンホープ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20115 ハドソン商会 ウィッスル SOLD
長さ 7.8cm、ボディーの直径 1.5cm、重さ 18g、七千円 SOLD

歴史的にみて、写真の笛はイギリスでもかなり強力な笛になります。 防犯用や緊急援助の要請、あるいは野生の動物よけなど、日本でも使える場面は多いだろうと思います。 

色合いゴールドの金属製、無印ウィッスルになります。 ハドソン商会の定番品と構造が同じで、パテントに基づいた製品であろうことから、ハドソン製で間違いないでしょう。

お手入れ次第で、写真のように金属光沢が増しますが、時間をかけると、写真三番目のようなブラスの持ち味が活きた渋い色合いが楽しめるのもよろしいでしょう。
写真一番目、二番目のような光沢は、ピカールで磨くのが一般でしょうが、私の場合は銀磨き液につけたところ、わずか数秒で写真のようになりました。お試しください。

金属製のしっかりした作りで、手にした時の質感はやはり好印象と思います。 一方で、重さは18グラムですから、いつも持ち歩く携行品としては重過ぎず負担にならない上限にあたる持ちはかりとなっており、よく工夫された作りになっているように思います。

このタイプのWhistle(笛)はヴィクトリアン後期の1880年代に初めて英国のお巡りさん用に作られたもので、防犯用に携帯したら力強い味方となるでしょう。 小さく吹くとそれなりの音ですが、力いっぱい吹くと、鼓膜がビリビリするほどの結構なすごい音になります。  

ヴィクトリア時代にイギリスの警察がクラッパムコモンの野原でこの笛の使用実験をしたら、1マイル(約1.6km)先まで音が届く優れものという結果が出たと聞きました。 

写真のウィッスルは手元に置いて眺めても綺麗な品で楽しめますが、実用されると、なかなかにパワフルな笛でありますので、実際にお使いいただけたら、なおのことよろしいでしょう。 

ハドソン商会の笛がヴィクトリア時代に開発された当時のエピソードを聞きましたので、ご紹介させていただきましょう。 イギリスの警察がお巡りさん用のウィッスルを新規に買い入れようということになって、業者に新製品開発を公募することになりました。 いくつかの業者が企画に参加して、この笛を考案したハドソン商会も試作品を警察に届けて、テストが行なわれたのです。 ところがその後、いつまで待っても、採用されたのかされなかったのか、結果の通知が届きません。 

さらに時間が経って、驚いたことには、試作品だったはずのこの笛を、街でお巡りさんが使い始めているのがハドソン氏の目に留まったのです。 びっくりしたハドソン氏はどうしたことかと、警察に事情を尋ねに出かけました。 そこでの回答はあらまし以下のようであったのでした。

「いやあ、ハドソンさん、よく警察に尋ねて来ていただきました。 実は貴方にお作りいただいたウィッスルは、テストの結果とても性能が良いということで、警官携帯用の笛として採用となりました。 ところが貴方から提出いただいた関係書類いっさいを失くしてしまいまして、この試作品を作った業者が誰だったのか、分からなくなってしまったのです。 ただ、警察としては、このウィッスルは素晴しい出来なので是非とも使っていきたい。 そんなわけで、貴方には申し訳なかったのですが、他の出入り業者に頼んで、試作品をまねて作らせた次第だったのです。」

本当の発明者がハドソン氏と分かって、仕事はハドソン商会に引き継がれることになって、めでたし めでたしのエンディングとなったそうです。 パテントなど権利の扱いがあまりにもずさんで、今日では考えられないようなお話ですが、資本主義の本家ともいうべきイギリスでも、ヴィクトリア時代にはこんなことがまかり通っていたのでした。

でもイギリスという国では、こういうイージーというか、おおらかというか、いいかげんなことによく出会うのも確かなことで、根っこの部分は今も昔もあまり変わっていないようにも思うのです。 英国アンティーク情報欄にあります「27. ホールマーク漏れと英国人気質」解説記事もご参考まで。

ヴィクトリア時代のお巡りさんについて、情報を得ました。 『What the Victorians Did for Us(Adam Hart-Davis著)』という本によると、ハドソン商会のウィッスルが採用される以前のお巡りさんは、笛の代わりにRattle(ガラガラ)を持ち歩いていたそうです。 

緊急事態が発生したときにはガラガラを振り鳴らして、周囲を警戒中の仲間に知らせたのです。 ところが、やはりガラガラでは、遠くまで音を届かせるという点で性能がいま一つでした。 

そこで、ハドソン商会の笛となったわけです。 ちなみにヴィクトリアン終わり頃における緊急時の支援要請サインは、この笛を三回短く吹き鳴らすことであったそうです。

ハドソン商会 ウィッスル

お手入れ前の渋い色合いもグッドです。



No. 20113 ハドソン商会 イギリス陸軍仕様 ウィッスル with ブロードアロー SOLD
長さ 8.1cm、最大直径 1.5cm、重さ 26g、ロイヤルアーミー (イギリス陸軍)仕様、一万一千円 SOLD
防犯笛 ハドソン商会 イギリス陸軍仕様 ウィッスル with ブロードアロー(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20112 ヴィクトリアン アール・ヌーボー シェイクスピア 『恋の骨折り損』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス
縦 15.4cm、横 10.4cm、厚さ 1.1cm、123ページ、重さ 152g、1901年 George Bell & Sons ロンドン、Chiswick Press 印刷、一万二千円

イギリスの劇作家シェイクスピアの喜劇 『恋の骨折り損』 のヴィクトリアン アンティーク本になります。 

『ナヴァールの王様と友人たち4人は、学業に専念する誓いを立てた。その中には女性には会わないという誓いも。そんな折、フランス王女がナヴァールにやってくる。誓いをたてた4人であったが、王女と3人の侍女たちに一目惚れ。さてさて、、、』

日本の文庫本サイズですが、ハードカバーの布張り装丁本で、たいへん格調高いアンティーク本と感じます。 扉を開いてみると、写真三番目の下方に見えるように、『London
George Bell & Sons 1901』とあります。 このシェイクスピア シリーズは、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃にかけて、順に出版されましたが、この本はヴィクトリア時代の終りからエドワーディアン初年にあたる1901年に出たものと分かります。 百年以上前の本ですが、コンディション良好で、手元において眺めていても満足です。

このシリーズ書籍は夏目漱石と大いに関係ありと、私は考えております。 ロンドン留学中に英文学書籍を買い集めていた漱石が、書店で見て手にして、おそらくは求めて日本に持ち帰った一冊だろうと推理しています。 詳しくは以下をご覧ください。

関連記事:
【このアンティーク本を夏目漱石がヴィクトリアン ロンドンで手にしたに違いないと推理するわけ。】
モスグリーンの布張り装丁には、アーツ・アンド・クラフツのチューリップ & フォーリッジ インターレーシング パターンが綺麗です。 印刷元のチズウィック・プレスは、ウィリアム・モリスの初期デザインを世に知らしめたことで名を成して、イギリスにおける印刷の歴史に大きな足跡を残しました。 

また、挿絵を描いている Byam Shaw はヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃に活躍したラファエル前派からつらなる画家で、シェイクスピアの挿絵画家としても人気がありました。 1910年には Byam Shaw School of Arts を創立しています。 現在ではこのアート・スクールは芸術分野において世界でも有数なCentral Saint Martins の一部になっています。

本文および用語解説の本体部は123ページありますが、それ以外に巻頭部には挿絵とイントロダクションが十ページほどあって、その後に登場人物説明、そして本文にあたる第一幕が始まっていきます。 

写真四番目は第一幕の始まり部分で、合計五幕構成の各幕始めにはそれぞれに違っていて楽しめるちょっとした挿絵があります。 その他に写真五、六番目のような大きな挿絵が合計六ページあるのも嬉しいところです。 

最終幕の後に写真七番目のような挿絵と『The End』が見えます。 さらにその後に続いているのが、「Glossary
and Notes」の巻末用語解説で、七ページあって昔の用語について参考になります。 

英国BBC製作テレビシリーズの一つである『恋の骨折り損』 を手助けにして、ヴィクトリアン アンティーク本を読んでみるのも面白いと思います。 ユーチューブにアップされているので、手軽に利用可能です。 百年以上の古さを持ったアンティークなテキストは、ちょっと立派過ぎるかも知れませんが、英語シェイクスピアの鑑賞&学習、まずは形から入るやり方もありでしょう。 

関連記事:
【シェイクスピア英語原典の読み方(イギリスの学習参考書から眺めた英国における古典教育)】
ヴィクトリアン アール・ヌーボー シェイクスピア 『恋の骨折り損』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ヴィクトリアン アール・ヌーボー シェイクスピア 『恋の骨折り損』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ヴィクトリアン アール・ヌーボー シェイクスピア 『恋の骨折り損』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)



No.20038 革張りケース入り マザー オブ パール オペラグラス SOLD
伸ばした長さ 5.6cm、縮めた長さ 4.7cm、横幅 10.4cm、鏡筒部の最大外直径 3.8cm、対物レンズ直径 2.6cm、接眼レンズ直径 1.35cm、本体の重さ 155g、1900年前後の品、二万四千円 SOLD

マザーオブ パールという素材はミルクホワイトの輝きが内側からこぼれてくるようで、光に当たると見えてくるうっすらとした虹色の輝きが綺麗です。 

マザー オブ パールの品をお買い上げいただいたお客様から、次のようなお便りをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
『取手の白蝶貝のうっすらとした輝きがとても綺麗です。 まるで、嵐が来る前の空のようだと思いました。 上空を凄い速さで白い雲が流れていく中、時折、空全体がぱあっと明るくなる様子を髣髴とさせます。』

イギリスは一日の中でもお天気の移り変わりが激しくて、さっきまで晴れていたかと思うと、一転してにわかに雲が天を覆うことも多く、お客様からの文章にあったような光景をしばしば目にいたします。 なるほどと、マザーオブパールをとてもよく形容しているように思いました。

マザー オブ パールのオペラグラスでかなりの芸術品と思います。 飾っておいても美しく、楽しめるアンティークなオペラグラスですが、ピント合わせの操作もスムーズで実用上もよい品です。 

写真二番目に見えるように、接眼部にもマザー オブ パールが入っていて綺麗です。

観劇の季節になれば、お手元にアンティーク オペラグラスがあると楽しみも増えましょう。 また、私は自然観察用にもオペラグラスを使っています。 ちょっと散歩に出ましても、フィールドではリスが忙しそうですし、野うさぎはのんびり草を食べています。 夕方になると昼間は森に隠れていた鹿も出てきます。 庭の桜の木に餌場があり、いつも野鳥やリスがやって来て賑わいます。 オペラグラスを使うと、やはり肉眼よりよほどよく見えて楽しくなるのです。

革張りケース入り マザー オブ パール オペラグラス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)革張りケース入り マザー オブ パール オペラグラス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20030 『お気に召すまま』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ SOLD
縦 15.4cm、横 10.4cm、厚さ 1.1cm、119ページ、重さ 147g、1899年 George Bell & Sons ロンドン、Chiswick Press 印刷、SOLD

【シェイクスピア英語原典の読み方(イギリスの学習参考書から眺めた英国における古典教育)】の解説記事をご参考ください。 シェイクスピアは劇なので、本から入るより映像からとっかっかるのが一番というのが私の考えです。 

『お気に召すまま』 アーツ・アンド・クラフツ装丁 チズウィック・ プレス ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ『お気に召すまま』 アーツ・アンド・クラフツ装丁 チズウィック・ プレス ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ





No. 20101 アンカー モチーフ ブラス ボタン
直径 2.3cm、重さ 4g、本体の最大厚み(留め具含まず) 5.5mm、留め具を含む最大厚み 1.15cm、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製、一つ 八百円(六つあります。)

ロイヤルネービーのアンカー ブラスボタンです。 

モチーフとしてのアンカーにはかなり古い歴史があります。 世界史で習ったローマ時代のカタコンベには、クロスに見立てたアンカーがありました。 当時はキリスト教が国教となる以前のことで、アンカーをクロスの代用とすることで信仰を守る必要があった時代でした。

そうした背景があって、アンカーは初期のクリスチャンモチーフとなりました。 そしてアンカーのクロス的側面を重視する場合には、アンカーのことを「聖クレメントのクロス」とか、「マリナーズ(船乗りの)クロス」と呼びます。 さらに時代が下って、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃になると、イギリスではシーサイドリゾートが人気となり、マリンモチーフのファッション性が好まれました。 

クリスチャンモチーフとしてのアンカーには、クロスの代用という意味合いの他にも、「Hope(希望)」や「Steadfastness(しっかりしていること)」を表象する意味合いも含まれています。 あるいはまた、船が抜錨して次の目的地に向かうという連想から、「Fresh Start(新たな出発)」をシンボライズするモチーフともなっています。

アンカー モチーフ ブラス ボタン





No. 20003 英国製 ブラス オイルランプ
取っ手の先端までの高さ 29.5cm、本体の高さ 26cm、底面直径 12cm、重さ 1.6kg、ガラスの最大厚み 15 mm、英国製、二万八千円

英国製のブラス オイルランプです。 ガラス部分はドーナツを五つ重ねたようなフォルムで、真ん中辺りが最もふくらんだ構造です。 このあたりのガラスの厚みは1.5センチほどあると思いますが、この凸面状ガラスの厚みが、レンズの役割を果たしていて、実際に灯火をいれてみると、写真四番目のような効果を発揮します。

前面にあるつまみを回して、蓋を開けると、オイルタンクが取り出せます。 安定感は抜群で、どっしり、しっかり、質実剛健なランプと感じます。 英国製を示す「ENGLAND」の表示も見えています。

古い品ではありますが、今日でも実用可能な使えるアンティークです。 実際のところイギリスでは停電が起こることも稀ではないので、趣味で求めたアンティークランプを非常時の備えとされている方もあるのです。

私はアンティーク オイルランプのやわらかな灯火が好きなので、特に秋冬の夜長にはヴェスタマッチをシュッと擦っては、ランプに灯を入れるのが楽しみになっています。

燃料は灯油を使いますが、アウトドア用品店でランプ専用のオイルを買っても良いでしょう。 専用オイルの方が匂いやすすが少ないようです。

オイルランプは灯心を絞った方が、ほのかな灯火を眺めて落ち着いた気分に浸りやすいように思います。 

電灯もほとんどなかった時代、現代の暮らしからすると、想像するのも難しいのですが、夏目漱石の『琴のそら音』を読むと、そんな時代のアンティークな灯かり事情が見えてきて面白いです。

時代背景は日露戦争の頃と思いますが、アンティークな灯りについての記述が多くて、エドワーディアンの英国と重なる感じで、興味深く読みました。 物語ではいきなり最初の一行目から洋燈(ランプ)という言葉が出てきます。

「「珍らしいね、久しく来なかったじゃないか」と津田君が出過ぎた洋燈(ランプ)の穂を細めながら尋ねた。」

その他にも、いくつか灯りについての記述を抜き出してみました。 

「あるいは屋敷の門口に立ててある瓦斯燈ではないかと思ってみていると、」
「三分心の薄暗いランプを片手に奥から駆け出して来た婆さんが頓狂な声を張り上げて」
「天井に丸くランプの影が幽かに写る。見るとその丸い影が動いているようだ。」
「由公はランプのホヤを拭きながら真面目に質問する。」
「幽霊だの亡者だのって、そりゃ御前、昔しの事だあな。電気燈のつく今日そんなべら棒な話しがある訳がねえからな」

今日では電気や電灯が当たり前で、アンティークな昔を想像するのは難しいところがありますが、『琴のそら音』を読みますと、灯りについてノスタルジックな気分も味わえます。
ランプが身近な暮らしというのは、それほど昔のことではないのだなあと、あらためて思いました。 読後感も爽やかな短編小説です、よろしかったら、以下をご覧ください。

夏目漱石 『琴のそら音』 
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/1073_14944.html

こうしたアンティーク オイルランプを使いながら、その昔の時代に思いを馳せるのはアンティーク好きの楽しみであろうと思うのです。

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