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No.20017 女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク
直径 3.1cm、重さ 11g、最大厚み 2mm弱、銅貨は1967年 鋳造、一万四千円

エナメルワークの美しいグッドラック ペニーです。 幸運を呼ぶお守りのように扱われてきた品と思います。 エナメルの上からカバーグラスがかかっていて、エナメルのコンディションがよいままずっと保てるようになっています。 手にした時の重厚感に惹かれるよい品と感じています。

イギリスには現在の最小通貨単位である1ペニー硬貨について、『Find a penny, Pick it up, and then all day, You'll have good luck.』 (ペニーを見つけて、持っとけば、そしたらその日は一日グッドラックあり。)という言いまわしがあります。 

Good Luck ペニーコインは1967年の銅貨で、ヘッド(表)側はエリザベス二世の若かりし頃のポートレート、テイル(裏)側はイギリス国家の守り神とされる女神ブリタニアのデザインです。 

そして、エリザベス二世といえば、イギリスの現女王であり、ロンドン オリンピックの開会式ではジェームス・ボンドとの共演も話題となりました。 戴冠六十周年のゴールデンジュビリーを迎えても、まだまだお元気で、パワーを与えてくれそうです。 写真のコインは今から半世紀ほど前のもので、その頃から女王を続けてきたことは、やはり凄いことだと思います。

イギリスは1971年の通貨制度変更で、それまでの12進法から10進法に改めましたので、旧制度のペニーコインは1970年を最後にイギリスで七世紀から続く歴史を閉じました。 そういう事情で、1967年の貨幣ではありますが、現在のイギリスでは通用しません。

写真のペニーが使われていた時代は、イギリスで通貨制度改革が行われた1971年より前の時代になります。 当時は1ポンドが240ペンスでありました。 1970年に役割を終えていますから、今日では存在しないのが当たり前ですが、素材となっている銅の価格が今では高騰している為に、ペニーの製造原価という側面から見ても、今ではとてもじゃないけど存在し得ないコインとなっていることも興味深く思います。

もう少し詳しく計算してみましょう。 ペニー銅貨は9.4グラム、そのほとんどが銅というコインでした。 ニューヨーク マーカンタイル取引所における直近の銅価格は453gあたり3.1ドルでした。 英貨で1ポンドにあたる240枚のペニーを作る為には重さにして2.256kg、銅価格にして15.4ドル。 ポンドドル相場 1.62$/£でポンドになおすと、9.5ポンドになります。 

1ポンド分のペニーを鋳造するのに、素材の銅価格だけで9.5ポンドのコストがかかるとしたら、そんなコインはとてもじゃないけど存在し得ないでしょう。 銅価格の変遷という事情が背景にあって、写真のペニーには、今となってはアンティークでしか手に入らない希少性が備わっているとも思うのです。

あらためて詳細に見てみると、なかなか細工のよいアクセサリーであることが分かります。 女神ブリタニアや女王が浮き出す形でエナメルがきっちり入っていますし、奥ゆきの感じられるエナメルワークは、光にあたった反射光が綺麗です。 エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金銀などの貴金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説がありますので、ご参考まで。

最後にイギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1ポンド」=「ペニー銅貨240枚」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。

昔、サマセット・モームの「月と六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数字でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃止され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法時代の名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと落ち着かないのでしょう。

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン時代のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服者が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。

女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク

女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク

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