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新着情報 その1

新着のアンティークは、8/16   アップ分が最新です。 (下線付き品物名をクリックして、詳細画像と説明をご覧ください。)


8/16

No. 20025 ハート&アイビー モチーフ エドワーディアン スターリングシルバー ブローチ
横の長さ 4.9cm、最大縦長 1.9cm、ハートの横幅 1.85cm、厚み(ピンと留め具含まず) 2.5mm、重さ 4g、1908年 バーミンガム、一万四千円

この分野のアンティークは現代の品には見られない雰囲気と、一つ一つが個性的で同じものをまず見かけないのが特徴で、ホールマークから製作年やメーカーの特定が可能なことも多いので、私は興味深いアンティーク分野と思っています。

くり貫きハートの内側にアイビーの葉っぱが三枚、そして蔦が伸びていって左右に大きめなアイビーの葉っぱがついています。 ハート&アイビーはともにヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に流行ったモチーフなのです。

現代でも馴染み深いハートのデザインですが、その歴史をたどりますと、英国におけるハートのモチーフはジョージアンの頃登場し、ヴィクトリア期に大流行した経緯があります。 

また、19世紀後半からしばらく、ヴィクトリアンやエドワーディアンのイギリスでは、当時の自然主義的傾向にアイビーがよくマッチした為、バルコニーやガーデンファーニチャーに絡まるアイビーが大変好まれました。 アイビーは蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 そしていつも緑であることから、Immortality(不滅)や Eternal Life(永遠の魂)を表すクリスチャンモチーフともなっています。

四つのブリティッシュホールマークがしっかり刻印されているのも、この品の優れた特徴です。 ホールマークは順に メーカーズマーク、バーミンガムアセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1908年のデートレターになります。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 この銀のブローチが作られたのは1908年ですから、正式な‘アンティーク’に晴れて昇格したばかりの品ということになります。 

一言に百年といっても、やはりそれだけの時の経過は大変なことと思います。 ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。

このアンティークが作られた時代というのは、電灯もなかった時代なわけで、こうしたアンティークを手にしながら、その昔の時代に思いを馳せるのはアンティーク好きの楽しみであろうと思うのです。

写真の銀ブローチが作られた1908年は明治四十一年にあたっており、この年の九月から十二月まで漱石の『三四郎』が朝日新聞に連載されておりました。 この小説は明治四十年夏の終りから翌年初までの東京を舞台にして話が進んでいきますので、『三四郎』はアンティークな当時の暮らしを知る資料になりえます。
エドワーディアン スターリングシルバー ハート&アイビー ブローチ


No.20002 スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド
ホースシューの横の長さ 2.4cm、縦 2.3cm、最大厚み 3mm、1941年 バーミンガム、一万四千円

銀のホースシューにはいくつかタイプがありますが、こちらのホースシューは写真二番目に見えるように、『GOOD LUCK』のレリーフ文字付きという特徴があります。 

このスターリングシルバー ホースシュー(馬の蹄鉄)のペンダントヘッドが作られたのは今から八十年ほど前の1941年です。 銀地金の雰囲気がよく出たリアルな蹄鉄のデザインになっています。 ライオンパサントの横の長さは3ミリほどあって、大きめなホールマークが刻印されているのは、ホールマーク自体を見て楽しむという作り手の意図を反映しているのでしょう。

裏面には「GOOD LUCK」の文字をはじめとして、デザイン登録したレジスター番号と、「ENGLAND」の刻印が見えています。 裏面に見えるホールマークは順にHG&Sのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1941年のデートレター「R」になります。 

ヴィクトリアンやエドワーディアンの作ではありませんが、それでも1941年作といえば、かなり古い品であることがお分かりいただけると思います。 

ホースシューはイギリスではグッドラックの意味があって人々に好まれます。 縁起のよさが好まれ、パブの看板に蹄鉄3つが描かれて、「Three Horseshoes」なんていう名前のパブもありますので、「ホースシュー=幸運」の連想はイギリス人の暮らしに深く根ざしていることが分かります。

ついでながら、シャーロック・ホームズの『白銀号事件』を読んでいましたら、ホームズの「I think that I shall put this horseshoe into my pocket for luck.(このホースシューは幸運があるように、私が貰っておきましょう。)」という台詞に出会いました。 この探偵小説は1892年12月に発表されていますので、少なくともヴィクトリアンの頃には、「ホースシュー=グッドラック(幸運)」の連想があったことが分かります。 シャーロック・ホームズ シリーズには、アンティークなヴィクトリアンの暮らし向きが読み取れる場面が豊富なので、注意して読むと面白いようです。

それから、蹄鉄の滑り止めはカルカン(Calkin)と呼ばれるのですが、ちょっと注意して見てみると、このホースシューのカルカンは上側に三つと下側に四つの合わせてラッキーセブンになっています。 ホースシューが本来持っている幸運の意味合いに、カルカンのラッキーセブンが掛け合わされて、ラッキーの二乗になっていることから、より効果のありそうなホースシューに作られているのです。 

それでは、なぜホースシューが好まれるようになったのか。 ヴィクトリア時代に書かれた『The Horse Shoe, The True Legend of St. Dunstan and The Devil』 という書物には、ホースシューにまつわる伝説が書かれています。 その概要をご紹介してみましょう。

後にカンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは、ハープを弾くのが上手で鍛冶屋の仕事もこなす器用な人でした。 ダンスタンが夜にハープを奏でていると、デビルがやって来て邪魔をするようになりました。 デビルの悪戯に困ったダンスタンは一計を案じて、蹄鉄を取替えに来たデビルの蹄足にホースシューの留め釘を深く打ち込んだのでした。 

痛がるデビルにダンスタンはこう言います。 「これからは礼拝の邪魔をしないこと、音楽を奏でる邪魔をしないこと、そしてホースシューを掲げた家には寄り付かないこと。 これを守るなら直して進ぜよう。」 デビルはダンスタンと契約をかわし、以降はホースシューが魔除けの役割を果たすようになり、さらには Good Luck をもたらすお守りとされるようになったのでした。


写真二番目で見て、右から三つ目にあるライオンの刻印が、英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになり、重要な刻印です。 このライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 

横歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から500年ほど前の1544年のことになります。 これは当時のチューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 

銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

歴史や伝統に格別なこだわりを持つイギリス人は、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)にも特別な愛着があって、五百年の長きにわたって、この刻印を使い続けて今日に到っております。

スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド


No. 19382 ヴィクトリアン 銅製&シルバープレート ハンドヘルド 蝋燭立て &キャンドルスナッファー
高さ 10.5cm、上から見た最大直径 16.5cm、重さ 512g、帽子の高さ 7.1cm、蝋燭穴の直径 2.2cm、ヴィクトリアン後期の英国製、一万二千八百円

今から百年以上前に作られたヴィクトリアン シルバープレート 手持ち式 蝋燭立てです。 消灯帽子(キャンドルスナッファー)を置く専用部分があります。 このとんがり帽子を蝋燭の灯火にかぶせて、火を消す仕組みです。 蝋燭立て本体部分の波模様レリーフも美しく、なかなかに渋いアンティークと思います。

人差し指と中指をハンドルに絡めて、上部の指置き部分に親指をのせて押さえる格好で手に持つ仕組みですが、手になじんでしっかり運べるハンドヘルド タイプの蝋燭立てです。

シルバープレートが薄くなったところから、地の金属が見えますが、ベースメタルは銅と分かります。 銅ベースにシルバープレートは、当時の高級品です。 銅ベースの品は、持ちはかりがほどよくて、たとえシルバープレートが薄くなっても、それがまた古い品の格調と感じられて、品物のよさを感じます。 


ヴィクトリアンの波模様の優雅さとともに、専用キャンドルスナッファーが付属している様子など、現代の品とはどこか違う、まことに昔風なデザインと作りであって、ヴィクトリアン アンティークならではの、たたずまいを感じさせてくれます。 もちろん、実際に蝋燭を挿して実用可能な使えるアンティークでありますが、このまま飾っておかれても、格調高いヴィクトリアーナでありましょう。

波模様を詳しく見ていくと、Cスクロールも見えています。 スクロールパターン(渦模様)の中でもアルファベットの「C」の形状をしたものを Cスクロールと呼びます。 スクロールは波模様デザインの派生形でもあり、また重要なケルティック モチーフでもあります。

波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。 また、渦巻き模様は「Growth(成長)」や「Energy(活力)」を象徴し、ケルティックアートのベーシックとも言われます。 


クイーン・ヴィクトリアが若干18歳の若さで英国王位を継承したのは1837年のことで、この年から1900年までの64年間がヴィクトリア時代にあたります。 ヴィクトリア女王は在位期間が長かったことと、その時代は英国の国力が格段に伸張した時期と重なっていた為に、イギリス史の中でも特にポピュラーな国王となりました。 アンティークの分野にあっても、この時代の物品を指すヴィクトリアーナ(Victoriana)という用語もあって、ヴィクトリア時代を専門とするコレクタターが大勢いるわけなのです。

この品が作られたヴィクトリア時代の背景については、英国アンティーク情報欄にあります「14.Still Victorian」や「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」の解説記事もご参考ください。 


昔はこんな品を使って暮らしていたわけですが、今使ってみても、たいへんに趣深い道具で楽しめます。 

灯りものアンティークとしては、オイルランプもいいですが、手持ち式 蝋燭立てというのも、これまたお勧めできると考えています。 蝋燭の灯りは見ていて落ち着きます。 オイルランプよりずっと手軽に使えるので、使用頻度が高まります。 そしていつも手軽に使っていると、ますます愛着が湧いてくるという好循環です。

ポワロ シリーズの『スタイルズ荘の怪事件』でも、手持ち式 蝋燭立て が出てきて、ポワロの推理で重要な役割を担っていました。


ヴィクトリアン シルバープレート 蝋燭立て & キャンドルスナッファー(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ヴィクトリアン シルバープレート 蝋燭立て & キャンドルスナッファー(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 19023 エドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーン
長さ 11.0cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.5cm、最大幅 2.3cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.1cm、1913年 シェフィールド、5,800円
エドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーンエドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーンエドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーン


No. 19352 ティー サーヴィス 五点 英国製 シルバープレート  一部 SOLD
トレーの上に、ティーポット、コーヒーポット、ミルク入れ、砂糖入れの計五点。
1930年代から1940年代にかけての英国製、POSTON & CO LTD作、

五点ともに底面にはPOSTON & CO LTDのメーカーズマークが刻印されています。
さらに、MADE IN SHEFFIELD ENGLANDの表示もあります。
 

トレーはTray decorated with engraving and scroll and shell borderと呼ばれます。 

ティーポット:重さ 720g、注ぎ口からハンドルまでの長さ 31.0m、最大横幅13.0cm、高さ14.5cm、SOLD
コーヒーポット:重さ 665g、注ぎ口からハンドルまでの長さ21.7cm、最大横幅12.0cm、高さ22.5cm、二万一千八百円
トレー:直径43.5cm、重さ2.1kg、SOLD
ミルク入れ:重さ188g、長さ14.0cm、最大横幅8.0cm、高さ8.8cm、四千八百円
シュガー入れ:重さ213g、長さ16.5cm、最大横幅8.5cm、高さ9.5cm、四千八百円

アンティーク ティー サーヴィス 五点セット 英国製 シルバープレート(英国 アンティーク シルバー いぎりすもんや)




No. 20015 9カラット ローズゴールド & ヘマタイト ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク
留め具を含む全長 4.0cm、最大横幅 2.05cm、ヘマタイトの長径 1.35cm、短径 0.9cm、最大厚み 3.5mm、1993年 バーミンガム、一万八千円

9カラット ローズゴールドの透かしフレームに、黒い金属光沢のヘマタイトが入って、落ち着いた色合いながらも、鏡のような輝きが美しいペンダントヘッドです。 

ペンダントヘッド先端部と、反対サイドの留め具に近い辺りには、ハートシェイプが見えております。 これはケルティック アートで云うところの鏃(やじり)デザインかも知れません。

ハートは現代でも馴染み深いデザインですが、その歴史をたどりますと、英国におけるハートのモチーフはジョージアンの頃登場し、ヴィクトリア期に大流行した経緯があって現代に至っております。

ハートの横にはCスクロールもありますし、複合スパイラルのようにも見えますことから、ケルティック モチーフを反映している可能性が高いと感じます。 スクロールパターン(渦模様)の中でもアルファベットの「C」の形状をしたものをCスクロールと呼びます。 

ハートの中にダブルスパイラルが入ったデザインはケルティック シェブロン スパイラルと見るのが妥当という気もします。 渦巻き模様は「Growth(成長)」や「Energy(活力)」を象徴し、ケルティックアートのベーシックです。 さらに、ハートの中にダブルスパイラルが入ったケルティック シェブロン スパイラルは、遠い昔のケルトの人たちにとっては「Power(力)」の象徴であり、転じて「計画、実行、そして完成」を意味するシンボルでした。 ハートの形に見えますが、実はその由来は弓矢の先に付ける鏃(やじり)であり、そこからパワーの意味合いが生まれています。

写真二番目をご覧いただくと、留め具部分にはブリティッシュ ホールマークが刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、9カラットゴールドを示す「王冠と375」マーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、そして1993年のデートレターになります。

透かし部分フレームの厚みは1ミリ強、ヘマタイトを囲む部分のゴールドフレーム厚みは3ミリ弱、ペンダントヘッド全体の最大厚みは4ミリ弱となっています。

ヘマタイトのうちでも輝きのよい結晶は、Specular Hematite(鏡のようなヘマタイト)と呼ばれますが、このペンダントヘッドに使われているヘマタイトは、まさに黒色金属の表面を鏡のように磨き上げた色合いに見えます。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。

このペンダントヘッドの色合いは、イエローゴールドではないのですが、そうは言ってもローズの赤みはさほど強くもありません。 典型的なイエローゴールド色とローズゴールド色の間を3:2に分けた時に、ローズゴールドにより近い辺りの色合いと思います。 

9カラット ゴールドは銅が多い素材ですので、お手入れすると、ゴールドの色合いが増しますが、しばらく放って置くと銅の赤みが出てくる傾向があります。 お手入れ次第で色味の違いが楽しめるのもよいでしょう。

9カラット ローズゴールド & ヘマタイト ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク


No.19362 ハートシェイプ & 四つ葉のクローバー ライオンランパント、ハープ & スリーライオン エナメルワーク ヴィクトリアン ロケット
縦の長さ (留め具含む) 2.7cm、ハートの横幅 1.8cm、厚み 5mm弱、四つ葉の最大横幅 3.9cm、重さ 10g、ヴィクトリアン後期の英国製、二万四千円

デザインはヴィクトリアン シリング銀貨と同じものです。

描かれているのは、右上にライオンの立ち姿でライオンランパント、左下にはハープクラウンド、そして三頭のライオンは『ライオンハート(獅子心王)』の愛称で知られる12世紀の英国王リチャード一世時代からのエンブレムです。 

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後、七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説がありますので、ご参考まで。 

写真一番目でハートの左側にポッチがあって、ここに爪をかけてスライドさせていくと、写真二番目のように開いて、四つ葉のクローバーの形状になります。

四葉のクローバーは幸運をもたらすラッキーモチーフと言われますが、クローバーの葉っぱにはそれぞれ役どころがあります。 葉っぱの一枚目がHope(希望)、二枚目はFaith(信頼)、三枚目はLove(愛情)、そして四枚目がLuck(幸運)なのです。 そんなわけで四枚目の葉っぱがあるクローバーは、Luck(幸運)を持ってくると考えられるわけです。

また、そもそも英語には「live in the clover (安楽、あるいは幸せに暮らす)」という言い回しがあり、こうしたクローバーの良い意味合いが、このヴィクトリアン アンティーク ロケットには込められています。 

クローバーと幸せの繋がりについて、牧草の刈り入れをしていたファーマーの方から教えていただいたので、ご紹介しておきましょう。 牧草など植物の成長には土中の窒素分が必要ですが、クローバーは進化した植物で、大気中の窒素を直接に取り込んで養分に出来るのだそうです、そのため、クローバーのある畑は肥沃になります。 また家畜の飼料としてもクローバーの繊維質とプロテインが動物たちの成長に欠かせないのだそうです。 と言うわけで、クローバーに恵まれた農場は栄え、幸せに暮らしてゆけるということでした。


ハートシェイプ & 四つ葉のクローバー ライオンランパント、ハープ & スリーライオン エナメルワーク ヴィクトリアン ロケット(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ハートシェイプ & 四つ葉のクローバー ライオンランパント、ハープ & スリーライオン エナメルワーク ヴィクトリアン ロケット(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 19152 スターリングシルバー ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク
インゴットの縦(留め具含まず) 3.6cm、横 1.6cm、厚さ 2mm弱、重さ 11g、1978年 バーミンガム、一万四千円

このペンダントヘッドは大きなブリティッシュ ホールマークが刻印されているわけではないので、インゴット型の本流と呼べるかどうか分かりませんが、本体部分の形状や作られた年代から考えると、インゴット型の派生系シルバー アクセサリーと言ってよいでしょう。

植物模様とウェーブパターンの融合デザインはオーソドックスな英国風と感じます。 手彫り彫刻の背景部分には微細な彫刻線も見られ、手間のかかった仕事になっております。 上部のクルッとした飾りや、留め具に施された三箇所の透かし細工も凝っていて、ハンドエングレービングと合わせて綺麗なペンダントヘッドと思います。

波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフであって、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代から好まれて現在に至っております。 

裏面の下のほうにはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1978年のデートレターが刻印されています。 ホールマークは通常版の小さなタイプで、ライオンパサントの横幅は2ミリほどになります。

ひとつ不思議に思うのは、このタイプのインゴット型ペンダントヘッドは、1970年代に作られたものがほとんど大半で、それ以前の1960年代では見かけませんし、それ以後の1980年代にも見かけないことです。 

そういえば、ブリティッシュ ホールマークの刻印された銀のアクセサリーには、ある特定年代にかたまって見られる傾向のある品が他にもあります。 例えばグッドラック ホースシューのペンダントヘッドを見かければ、それはまず1930年代から40年代の作で間違いなしですし、銀ボタンなどは1900年を中心とした前後10年にかたまっています。

ホールマークを判読することなしに、その品物のおおよその製作年代が即座に言い当てられるわけですから、おもしろいことだと思います。 英国で作られた銀製品の特徴として、頭の片隅に記憶を留めておかれてもよさそうです。
スターリングシルバー ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク


No. 19370 グッドラック 六ペンス銀貨&スモールキー ペンダントヘッド
六ペンス銀貨の直径 1.95cm、鍵の長さ 2.6cm、鍵ハンドル部分の最大幅 1.2cm、全体の重さ 6g、六ペンス銀貨の鋳造年 1935年、一万一千円

六ペンス銀貨とスモールキーのペンダントヘッドです。 鍵のサイズが小さく、可愛らしくて気に入りました。 小箱の鍵と考えられますが、鍵だけですと紛失しやすいのでキーホルダーとして使われたか、あるいはフォブのような役割の実用&装飾だったと思います。 銀貨とキーが触れ合ってコロコロと音がするのも楽しいものです。

これがサマセット・モーム『月と六ペンス』に言われる六ペンス銀貨なわけですが、六つのどんぐりモチーフも興味深いと思います。

エイコーン(Acorn=どんぐり)は古くはローマ時代にまで遡れるモチーフの一つで、ケルティックやスカンジナビアン アートにおいても、Life(生命)、Fecundity(豊かさ、生産力)、Immortality(永久になくならないこと)を表象するモチーフとして好まれてきました。 そして繁栄をシンボライズするクリスチャンモチーフとして、今日にも引き継がれています。

英語には、『Every oak must be an Acorn.(樫の大樹も元々はみなどんぐり)』という諺があって、一粒の小さなどんぐりで、樫の大木をシンボライズしているケースもしばしば見受けます。

あるいはまた、マザーグースのナーサリーライムに、花嫁が身につけると幸せになれるといわれるサムシング・フォーに続いて、以下のように一節があり、六ペンスが好まれる背景になっています。

Something old, something new, 
something borrowed, something blue, 
and a sixpence in her shoe. 


それから、写真二番目に見えるのは英国王ジョージ五世のポートレートです。 ジョージ五世は1910年から1936年までの英国王で、その王妃がドールハウスでも有名なQueen Maryになります。 メアリー王妃はアンティークや刺繍が趣味の奥方でした。

余談ながら、『月と六ペンス』という対比的な題名になんとも惹かれるのですが、皆さん如何でしょうか。 この小説を読むと六ペンス銀貨を持ってみたい気がしてくるように思うのです。 ちなみにモームは「幻想と現実」を表象する二つのものとして月と六ペンスを選んだようです。
六ペンス銀貨とスモールキーのペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 19325 ヴィクトリアン スターリングシルバー ヴェスタ
縦 3.9cm、横(留め具含まず) 3.2cm、厚み 1.1cm、重さ 18g、1899年 バーミンガム アセイオフィス、26800円
写真の品はヴェスタと言って、スターリングシルバーのマッチケースです、スワンマッチという特別なマッチを入れて使います。 小花や葉っぱの植物文様やウェーブパターンのエングレービングが素晴らしく、背景部分の彫刻も繊細そのものと言えましょう。 スワンマッチの長さを切り揃えて収納する手間がかかりますが、そうした少しの世話というのがまたアンティークを扱う楽しみとも思うのです。

写真一番目で見て、中央に盾状部分がありますが、ここは本来ですとイニシャルなど刻むスペースです。 何も刻まれていない状態ですので、新しいオーナーの方がネームを入れることも出来るでしょう。

縦の長さが 3.9センチあって、持ちはかりは18グラムの銀ですので、いつも持ち歩く銀としては、しっかりぎゅっとした銀塊の風情を醸しております。 しかし、ヴェスタとしては、小振りな銀であり、スモールサイズの銀製ヴェスタはあまり見かけないことから、レアものアンティーク シルバーと言ってよいでしょう。

両面に施された手彫りの彫刻レベルは素晴らしく、百年以上前の銀職人さんの匠の技が堪能できる、そんなヴィクトリアーナの銀であります。 

クイーン・ヴィクトリアが若干18歳の若さで英国王位を継承したのは1837年のことで、この年から1900年までの64年間がヴィクトリア時代にあたります。ヴィクトリア女王は在位期間が長かったことと、その時代は英国の国力が格段に伸張した時期と重なっていた為に、イギリスの中でも特にポピュラーな国王となりました。アンティークの分野にあっても、この時代の物品を指すヴィクトリアーナ(Victoriana)という用語もあって、ヴィクトリア時代の品物を専門に集めるコレクタターが大勢いるわけなのです。

スワンマッチはそのまま入れると、ちょっと長いので、3ミリほど切り揃えが必要で、収納できるマッチは十数本です。こういう世話は、身の周り品として面倒ではないかと思われるかも知れませんし、マッチの切り揃えは、無駄な時間の使い方のようにも思えますが、またそれが楽しくもあります。ほっと一息できるときに、アンティークと一緒にゆっくり時間を過ごしてみる、そういう昔道具ではないかなと思っております。 

マッチを入れて、ヴェスタを振るとシャカシャカと音がして気分がいいし、彫刻が綺麗な一級品、かわいらしい銀製ボックスです。エングレービングが美しい品なので、見ているだけで楽しく、そして百年以上前のアンティークになりますが、今でも実用に問題なしです。ヴェスタのエングレービングにもいろいろありますが、この品の彫刻の繊細さはかなりレベルが高いと思います。 

蓋を開けると、ブリティッシュ ホールマークが刻印されているのが分かります。ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1899年のデートレター、そしてバーミンガム アセイオフィスのアンカーマークになります。 

深めなタッチで彫られた植物文様やウェーブの背景に影のように見える部分は、1ミリ間隔に何本もの細かさで彫刻線を引いた仕事です。それがほぼ全面にわたって施されている訳で、時間と手間のかかったアンティークであることが分かります。ルーペを使って鑑賞いただくと当時の限界的な手仕事のレベルの高さに驚かれると思います。

スワンマッチはマッチ箱で擦るのではなく、映画などで見たことがあると思いますが、靴の裏などザラザラしたところに擦りつけて発火させるマッチで、日本ではロウマッチとも呼ばれます。ヴェスタの底はギザギザになっているので、スワンマッチならこのギザギザ底での摩擦で火がつくのです。

私はタバコは吸いませんが、アンティーク ランプやキャンドルの灯火を見ていると落ち着いた気分になれるので、これが日課のようになっていて、灯を入れるにはやはりヴェスタがよろしくて、そのため必需品になっています。また、ロウマッチをシュッと擦ると映画の主人公みたいな気分にもなれるので、何は無くとも火をつけてみたりもします(少し変ですが。)。 

以前にヴェスタをお買い上げいただいたお客様からは、「アクセサリーとして使用しますが、スワンマッチを収納させておいてサプライズを楽しもうと考えています。」ということで、タバコ以外の使い途という点で私と同じだったのは嬉しく思いました。

スワンマッチは英国では簡単に手に入ります。 ニュース エージェントやスーパーマーケットでも売っていることからして、愛好家が多いのだろうと思います。スワンマッチの箱には「since 1883」とありますので、ヴィクトリアン以来の伝統というわけです。

日本でスワンマッチを入手する方法について、お客様から以下の情報をいただきましたので、ご参考ください。
『畑様
仕事におわれてメールチェックが遅れましてすいませんでした。スワンマッチですが、兼松日産農林というマッチ会社が日本に輸入しております。そこはマッチ愛好家のホームページを持っていて、マッチ取扱店の案内や通信販売も行っています。アドレスはhttp://www.nostalgia.co.jpです。
東京都内に販売店があるので都内の方は直接買いに行くのもいいと思います。私も行ってみましたが、いろんなマッチがあって楽しかったですよ。店の主人と話をしてみると意外とマッチ愛好家と言うのは多いようです。愛好家が増えれば入手しやすくなると思うので宣伝どうぞよろしくお願いします。(笑)
新潟は夏から冬へまっしぐらと言う感じで、日に日に寒くなっております。晩酌の酒が、焼酎の水割りからお湯割に変わるのももうすぐでしょう。それではまた』

いつも英吉利物屋をご贔屓いただくお客様からの最新情報によりますと、兼松日産農林のマッチ部に問い合わせたところ、スワンマッチが販売終了になっているそうです。イギリスではどこでも手に入るようなマッチでありますことから、日本の販売店が入手することも難しいことではないように思います。日本でもどこかで取り扱いがあるよう願っています。国際郵便ではマッチをお送りすることは出来ませんが、スワンマッチの画像もご参考まで。
ヴィクトリアン スターリングシルバー ヴェスタ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ヴィクトリアン スターリングシルバー ヴェスタ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)



No. 19328 ヴィクトリアン カメオ 9カラット ローズ ゴールド リング
内径1.55 cm、外径1.85 cm(飾り部の厚みを含む)、飾り部分の縦1.5 cm、飾り部分の横1.1 cm、ヴィクトリアン後期の英国製、五万六千円

ヴィクトリアン後期に作られたカメオリングで、素材は9カラットゴールドになります。 カメオ女性の顔立ちの良さに惹かれました。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 

英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。




No. 19381 ハート飾り スターリングシルバー ブレスレット
楕円内周の長径 6.2cm、短径 5.2cm、重さ 21g、ハート横幅 2.2cm、ハート厚み 4mm、ブレスレット帯幅 5mm弱、、一万二千八百円

ソリッドなスターリングシルバーで、ハート飾りは銀の厚みが4ミリと厚みがあって、しっかり感のある銀です。 ちなみにソリッド(solid)とは、このブレスレットがホロー(中空)構造ではなくて、中まですべてが銀の稠密構造であることを言います。

ハートの裏側と、ブレスレットの内側には、素材がスターリングシルバーであることを示す925刻印があります。 またメーカーズマークのTSも読み取れます。

現代でも馴染み深いハートのデザインですが、その歴史をたどりますと、英国におけるハートのモチーフはジョージアンの頃登場し、ヴィクトリア期に大流行した経緯があります。 

どちらかと言うとプレーンタイプの純銀ブレスレットとなりましょうが、ふっくら品のよいフォルムは感じがよくて美しく、磨きぬかれたソリッドシルバーの輝きを楽しむのも、またよいのではと思わせてくれる銀製品と思います。

お客様から、なるほどと思わせていただいたお話がありますので、ご紹介させていただきましょう。 
『先日北海道では珍しい大型台風が通過し、短時間ですが停電となってしまいました。夜、仕方がないので古い灯油ランプを持ち出し屋内の照明としたのですが、以前手配いただいたティースプーンをランプの光にかざしてみたところ、ほの暗い明るさの中、スプーンのボウル内や彫刻の輝きにしばし見とれました。銀のアンティークには点光源の古い照明が合うようです。また昔の貴族が銀器を重用したのもうなずける気がします。』

私はアンティーク ランプ ファンで、早速に試してみたのですが、シルバーにアンティークランプの灯がほんのりと映って揺れているのを見ていると、なんだか心が落ち着くものでした。

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45. 夏目漱石のイギリス留学、アーツ・アンド・クラフツ ヴィクトリアン シェイクスピア本、そして漾虚集(ようきょ集)
文豪 夏目漱石はヴィクトリア時代のロンドンで二年間暮らしておりました。 漱石のイギリス暮らしはどんな様子であったのか。 帰国後に出版された 『漾虚集』にあらわれている漱石のイギリス経験について考えてみました。
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No.20017 女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク
直径 3.1cm、重さ 11g、最大厚み 2mm弱、銅貨は1967年 鋳造、一万四千円

エナメルワークの美しいグッドラック ペニーです。 幸運を呼ぶお守りのように扱われてきた品と思います。 エナメルの上からカバーグラスがかかっていて、エナメルのコンディションがよいままずっと保てるようになっています。 手にした時の重厚感に惹かれるよい品と感じています。

イギリスには現在の最小通貨単位である1ペニー硬貨について、『Find a penny, Pick it up, and then all day, You'll have good luck.』 (ペニーを見つけて、持っとけば、そしたらその日は一日グッドラックあり。)という言いまわしがあります。 

Good Luck ペニーコインは1967年の銅貨で、ヘッド(表)側はエリザベス二世の若かりし頃のポートレート、テイル(裏)側はイギリス国家の守り神とされる女神ブリタニアのデザインです。 

そして、エリザベス二世といえば、イギリスの現女王であり、ロンドン オリンピックの開会式ではジェームス・ボンドとの共演も話題となりました。 戴冠六十周年のゴールデンジュビリーを迎えても、まだまだお元気で、パワーを与えてくれそうです。 写真のコインは今から半世紀ほど前のもので、その頃から女王を続けてきたことは、やはり凄いことだと思います。

イギリスは1971年の通貨制度変更で、それまでの12進法から10進法に改めましたので、旧制度のペニーコインは1970年を最後にイギリスで七世紀から続く歴史を閉じました。 そういう事情で、1967年の貨幣ではありますが、現在のイギリスでは通用しません。

写真のペニーが使われていた時代は、イギリスで通貨制度改革が行われた1971年より前の時代になります。 当時は1ポンドが240ペンスでありました。 1970年に役割を終えていますから、今日では存在しないのが当たり前ですが、素材となっている銅の価格が今では高騰している為に、ペニーの製造原価という側面から見ても、今ではとてもじゃないけど存在し得ないコインとなっていることも興味深く思います。

もう少し詳しく計算してみましょう。 ペニー銅貨は9.4グラム、そのほとんどが銅というコインでした。 ニューヨーク マーカンタイル取引所における直近の銅価格は453gあたり3.1ドルでした。 英貨で1ポンドにあたる240枚のペニーを作る為には重さにして2.256kg、銅価格にして15.4ドル。 ポンドドル相場 1.62$/£でポンドになおすと、9.5ポンドになります。 

1ポンド分のペニーを鋳造するのに、素材の銅価格だけで9.5ポンドのコストがかかるとしたら、そんなコインはとてもじゃないけど存在し得ないでしょう。 銅価格の変遷という事情が背景にあって、写真のペニーには、今となってはアンティークでしか手に入らない希少性が備わっているとも思うのです。

あらためて詳細に見てみると、なかなか細工のよいアクセサリーであることが分かります。 女神ブリタニアや女王が浮き出す形でエナメルがきっちり入っていますし、奥ゆきの感じられるエナメルワークは、光にあたった反射光が綺麗です。 エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金銀などの貴金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説がありますので、ご参考まで。

最後にイギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1ポンド」=「ペニー銅貨240枚」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。

昔、サマセット・モームの「月と六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数字でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃止され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法時代の名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと落ち着かないのでしょう。

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン時代のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服者が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。
女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク女神 ブリタニア &エリザベス二世 グッドラック ペニー コイン with エナメルワーク


No. 20016 スターリングシルバー サラダ サーバー with ピアストワーク
長さ 21.4cm、重さ 54g、ボール部分の長さ 7.7cm、最大幅 4.6cm、深さ 1.2cm、柄の最大幅 2.8cm、柄の最大厚み 2.5mm、1943年 バーミンガム、二万七千円

今から七十年以上前に作られたスターリングシルバーのサービングスプーンで、元々サイズの大きなシルバーですが、透かし柄部分も大きめで、迫力のある仕上がりになっています。 柄元の方は最大で2.5ミリほどの厚みがあります。 ピアストワークが施されたあたりも2ミリ弱の厚みがあって、透かしを切り出していく作業には時間と労力がかかったと思います。 

ピアストワークは手仕事で、糸鋸を引いたギザギザ跡が残っています。 ルーペを使って詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 

現代のシルバースミスの方からお聞きしたことがありますが、作業にかなりの時間を要するこうした透かし細工は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのことでした。 そして、そもそもこれだけの技術を持った職人さんが現代ではいなくなっているのです。 

写真三番目に見えるように、柄の裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1943年のデートレターになります。

写真のタイプのシルバーウェアのことを、イギリスではサラダ サーバーと呼ばれます。 英国アンティーク シルバーウェアの参考書に記述があったので、写真四番目でご紹介しています。
サラダ サーバーは1750年頃からイギリスで作られるようになりました。 写真四番目で右側に見えているのは、18世紀後半 ジョージ三世の頃のオールドイングリッシュ パターン サラダサーバーです。 写真左側に見えるのはやはりオールド イングリッシュ パターンのサラダサーバーで、こちらは19世紀の作になります。

この品が作られた1943年は第二次大戦の最中になります。 英国は戦勝国とはなったものの、大変な時期であったことは間違いありません。 ロンドンはドイツから弾道ミサイルの攻撃を受けたり、爆撃機による空襲も頻繁にありました。 私の住む町はロンドンの北の郊外で爆撃の目標にはならなかったようですが、近所のお年寄りの話では、ロンドンを空襲した帰りの爆撃機が、残った爆弾を燃料節約の為に落としていくコースに当たっていて、怖かったとのこと。 

とは言うものの、写真のようなピアストワークの素晴しい不要不急品を作っていたとは、当時のイギリスは結構余裕もあったんだなあ、と思うのです。

スターリングシルバー サラダ サーバー with ピアストワーク


No. 19071 三色ゴールド装飾 ヴィクトリアン フロント&バック 9カラット ゴールド ロケット

直径 3.8cm、最大厚み 4mm、重さ 17g、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の英国製、二万四千円

このロケットは見ていて楽しくなれるアンティークと思います。 表と裏に9カラットゴールドの薄板を被せた作りで、「フロント&バック 9カラットゴールド」と呼ばれる素材で出来ています。 

デートレター等のホールマークが無いので年代特定が難しいのですが、フロント&バック 9カラットゴールドという素材や、多色構造のゴールド装飾、そしてデザインの様子などからみて、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の品と思われます。

表側のフラワーデザインには、ローズゴールドの他にイエローゴールドやホワイトゴールドも使われていて綺麗で、三色ゴールド装飾もゴージャスな雰囲気に惹かれました。 ロケット上部に見える大きめな花はイエローゴールド装飾で中央部にはローズゴールドがワンポイントで効いています。 大きな花を一段目とすると、二段目と四段目はホワイトゴールドの飾りで、三段目と五段目の小さな花はローズゴールドの装飾になります。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外に銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドとも呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドアクセサリーでもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも温かみがあるローズゴールドは、ベリーブリティッシュな装飾素材なのです。

中央には三日月の飾りがあって、そこから旭日旗のように帯状飾りが四方向に伸びております。 当時のイギリスで流行ったジャポニスムのモチーフブックから影響を受けているように思います。

どうして、こういった和風モチーフのゴールドジュエリーがヴィクトリア時代のイギリスで見られるかというと、それは百五十年以上にわたる日本美術研究の蓄積がイギリスにあるからです。 

1853年のペリー来航以来、日本の工芸が広く西欧に紹介され、英国シルバーの世界にも日本の伝統的なモチーフとして蝶などの虫、飛翔する鳥、扇、竹、さくら等のデザインが取り入れられていきました。1870年代、80年代のこうした潮流はオーセンティック ムーブメントとして知られています。

サムライの時代が終わった頃、1870年代前半における英国のジャポニスム取り込みについては、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」記事後半で詳しく解説していますのでご覧になってください。

その後のジャポニスム研究は、モチーフブックなどの成果となって、以下のような書籍が次々と発表されていきます。
「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」、 「A Grammar of Japanese Ornament and Design(1880年、Cutler)」、「Book of Japanese Ornamentation(1880年、D.H.Moser)」

そして1880年代の後半にはジャポニスム モチーフブックの集大成である「Japanese Encyclopedias of Design(Batsford)」が出て、Japanese craze(日本趣味の大流行)のピークとなりました。

ヴィクトリアン後期の英国にあってはジャポニスムが新鮮で、大きな顧客需要があり、モチーフブック等の基礎資料も充実していたことが、今日私たちが日本趣味な英国アンティークにお目にかかれる理由なのです。 百数十年も前に多くのイギリス人たちが日本に大いなる関心を持っていたことには驚かされます。

ちなみに、イギリスにおけるジャポニスム研究書のさきがけとなった「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」の著者であるオールコックという名前、聞いた覚えのある方もいらっしゃるかと思います。

サー・ラザフォード・オールコックは、幕末の日本で数年間暮らしたイギリスの初代駐日公使です。 当時のイギリス公使館は、現在の品川駅から徒歩七分、港区高輪の東禅寺に置かれていましたが、オールコック在任中には、攘夷派浪士が英国公使館を襲撃した東禅寺事件など起こっています。 まさに命がけの日本勤務であったろうと思います。 彼は幕末日本滞在記である 『大君の都 (岩波文庫 上・中・下)』も残しています。

オールコックと言えば、幕末期のイギリス外交官としての仕事に注意が向きがちですが、一方では日本美術に傾倒し、「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」という著作も残しているわけで、日本のよさを広く海外に紹介してくれた、よき広報官という側面もあったのでした。

オールコック初代駐日公使、「Art and Art Industries of Japan」、ヴィクトリア時代のJapanese craze(日本趣味の大流行)、ジャポニスム研究、数多くのモチーフブック等々、こういう歴史的な背景があって、イギリスで作られ、現代に到っているゴールド ジュエリーというわけです。
O色ゴールド装飾 ヴィクトリアン フロント&バック 9カラット ゴールド ロケット


No.19018 3つのどんぐり&英国王ジョージ5世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド
直径 2.4cm、留め具を含む縦長 3.0cm、厚み 1mm強、重さ 4g、3ペンス銀貨は1931年鋳造、7,800円

葉っぱのついた枝先にエイコーン(どんぐり)3つが三角井形に組まれたデザインは、1931年の3ペンス銀貨です。 コインの裏面には英国王ジョージ5世の横顔があります。 

ピアストワークのフレームにホールマークはありませんが、このフレーム素材も銀で間違いないでしょう。 銀のやわらかな輝きに惹かれる 『3つのどんぐり&英国王ジョージ5世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド 』と思います。

どんぐりのデザインが可愛らしい銀でありますが、このどんぐりには、歴史および文化的な背景からイギリスでは、なかなかに深遠な意味合いが含まれており、こうしたモチーフのよさがポイントになるペンダントヘッドと考えています。

どんぐり3つのスリーエイコーンは、繁栄を象徴するクリスチャンモチーフで、教会のステンドグラスなどでも、よく見かけます。

エイコーン(Acorn=どんぐり)は古代ローマまで遡れるモチーフの一つで、ケルティックやスカンジナビアン アートにおいても、Life(生命)、Fecundity(豊かさ、生産力)、Immortality(永久になくならないこと)を表象するモチーフとして好まれてきました。 そして繁栄をシンボライズするクリスチャンモチーフとして、今日にも引き継がれています。

英語には、『Every oak must be an Acorn.(樫の大樹も元々はみなどんぐり)』という諺があって、一粒の小さなどんぐりで、樫の大木をシンボライズしているケースもしばしば見受けます。

イギリスでは銀貨のペンダントヘッドを時に見かけます。 シリング銀貨と比べて、この銀貨は小振りなサイズになりますが、かえってこのくらいのサイズの方が使いやすいかも。 3ペンスは直径1.6センチと小さいですが、やはり銀貨であるところは嬉しいものです。 

ジョージ五世は1910年から1936年までの英国王で、その王妃がドールハウスでも有名なQueen Maryです。 メアリー王妃はアンティークや刺繍が趣味の奥方でした。 

ヴィクトリアンからエドワーディアン以降しばらくは、大はクラウン銀貨に始まって、いろいろな銀貨が使われましたが、3ペンス銀貨は銀貨としては最小額になります。 最少額とは言えども銀貨であるわけで、そのあたりに面白さを感じます。 

「3」という数、日本でもそうだと思いますが、英語ではラッキーナンバーに通じるものがあって、縁起物ではよく出会う数嘯ナす。 ホースシューでご紹介したことがある「Three Horseshoes」もそうですし、チェスター アセイオフィスの「Three Wheat Sheaves(3つの麦束)」も同様でしょう。 

キリストが生まれた時に訪ねてきたという「東方の3賢人」の例もあります。 マクベスの「Three Witches」はどうでしょうか、これはなにかと「3」だと、おちつきがよいということかも知れません。 日本でも「3度目の正直」、「仏の顔も三度」、「二度あることは三度ある」など馴染み深いもので、「3」にこだわる意味合いには納得感がありそうに思うのです。

最後に、イギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1シリング」=「12ペンス」になります。 ポンド、シリング、ペンスと3つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計Zするのも億劫です。

サマセット・モームの「撃ニ六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃~され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

十二進法を使っていた名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに、気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと気が済まないのでしょう。

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソンの頃のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい王様が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。
Oつのどんぐり&英国王ジョージ五世 Oペンス銀貨 ペンダントヘッド


42. エルダーフラワー コーディアル(エルダーフラワーのシロップ)の作り方
庭の木にエルダーフラワーが咲いたので、コーディアルを作ってみました。 とても英国風な季節の飲み物です。 上の娘が好きなので、これまでは市販のボトルを時々買っていましたが、今回は自家製を作ってみました。
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