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アンティーク新着品 その1


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4/18
No. 20208 J. Hudson & Co ARP ウィッスル(Air Raid Precautions)
長さ 8.3cm、直径 1.5cm、重さ 26g、1930年代から1940年代の英国製、一万一千円

写真の品はハドソン商会の笛になります。 

ウィッスルの胴体には、
A. R. P.
J. Hudson & Co
Barr St. Hockley
Birmingham
の表示が見えています。 

歴史的にみて、このウィッスルはイギリスでもかなり強力な笛になります。 防犯用や緊急援助の要請、あるいは野生の動物よけなど、日本でも使える場面は多いだろうと思います。 

A. R. P.= Air Raid Precautions とは戦時の空襲監視員あるいは防空指導員のことです。 空襲に備えるべく、警官や予備役の人たちを中心に組織されたと聞きました。 

以前に扱った ARP銀製品には1936年作がありました。1936年は英国にとってまだ戦時下ではないのですが、このとき既にARPが組織され備えを始めていたことが分かります。 この笛も1930年代から1940年代の品と思います。 

このタイプのWhistle(笛)はヴィクトリアン後期の1880年代に初めて英国のお巡りさん用に作られたもので、もともとの用途である防犯用に携帯したら、かなり力強い味方となるでしょう。 小さく吹くとそれなりの音ですが、力いっぱい吹くと、鼓膜がビリビリするほどの結構なすごい音になります。  

ヴィクトリア時代にイギリスの警察がクラッパムコモンの野原でこの笛の使用実験をしたら、1マイル(約1.6km)先まで音が届く優れものという結果が出たと聞きました。 

ハドソン商会の笛がヴィクトリア時代に開発された当時のエピソードを聞きましたので、ご紹介させていただきましょう。 イギリスの警察がお巡りさん用のウィッスルを新規に買い入れようということになって、業者に新製品開発を公募することになりました。 いくつかの業者が企画に参加して、この笛を考案したハドソン商会も試作品を警察に届けて、テストが行なわれたのです。 ところがその後、いつまで待っても、採用されたのかされなかったのか、結果の通知が届きません。 

さらに時間が経って、驚いたことには、試作品だったはずのこの笛を、街でお巡りさんが使い始めているのがハドソン氏の目に留まったのです。 びっくりしたハドソン氏はどうしたことかと、警察に事情を尋ねに出かけました。 そこでの回答はあらまし以下のようであったのでした。

「いやあ、ハドソンさん、よく警察に尋ねて来ていただきました。 実は貴方にお作りいただいたウィッスルは、テストの結果とても性能が良いということで、警官携帯用の笛として採用となりました。 ところが貴方から提出いただいた関係書類いっさいを失くしてしまいまして、この試作品を作った業者が誰だったのか、分からなくなってしまったのです。 ただ、警察としては、このウィッスルは素晴しい出来なので是非とも使っていきたい。 そんなわけで、貴方には申し訳なかったのですが、他の出入り業者に頼んで、試作品をまねて作らせた次第だったのです。」

本当の発明者がハドソン氏と分かって、仕事はハドソン商会に引き継がれることになって、めでたし めでたしのエンディングとなったそうです。 パテントなど権利の扱いがあまりにもずさんで、今日では考えられないようなお話ですが、資本主義の本家ともいうべきイギリスでも、ヴィクトリア時代にはこんなことがまかり通っていたのでした。

でもイギリスという国では、こういうイージーというか、おおらかというか、いいかげんなことによく出会うのも確かなことで、根っこの部分は今も昔もあまり変わっていないようにも思うのです。 英国アンティーク情報欄にあります「27. ホールマーク漏れと英国人気質」解説記事もご参考まで。

ヴィクトリア時代のお巡りさんについて、情報を得ました。 『What the Victorians Did for Us(Adam Hart-Davis著)』という本によると、ハドソン商会のウィッスルが採用される以前のお巡りさんは、笛の代わりにRattle(ガラガラ)を持ち歩いていたそうです。 

緊急事態が発生したときにはガラガラを振り鳴らして、周囲を警戒中の仲間に知らせたのです。 ところが、やはりガラガラでは、遠くまで音を届かせるという点で性能がいま一つでした。 

そこで、ハドソン商会の笛となったわけです。 ちなみにヴィクトリアン終わり頃における緊急時の支援要請サインは、この笛を三回短く吹き鳴らすことであったそうです。
J. Hudson & Co ARP ウィッスル(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

No. 20113 ハドソン商会 イギリス陸軍仕様 ウィッスル with ブロードアロー SOLD
長さ 8.1cm、最大直径 1.5cm、重さ 26g、ロイヤルアーミー (イギリス陸軍)仕様、一万一千円 SOLD

歴史的にみて、写真の笛はイギリスでもかなり強力な笛になります。 防犯用や緊急援助の要請、あるいは野生の動物よけなど、日本でも使える場面は多いだろうと思います。 

このタイプのWhistle(笛)はヴィクトリアン後期の1880年代に初めて英国のお巡りさん用に作られたもの。小さく吹くとそれなりの音ですが、力いっぱい吹くと、鼓膜がビリビリするほどの結構なすごい音になります。  

ヴィクトリア時代にイギリスの警察がクラッパムコモンの野原でこの笛の使用実験をしたら、1マイル(約1.6km)先まで音が届く優れものという結果が出たと聞きました。 

関連記事:
【銀刻印のないアンティークシルバーを見て、英国人気質について思うこと】
防犯笛 ハドソン商会 イギリス陸軍仕様 ウィッスル with ブロードアロー(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20207 Hope, Charity & Faith 三つのクリスチャンモチーフ ゴールド ペンダントヘッド
ハートの横幅 0.8cm、ハートの厚み 3mm、アンカーの長さ 1.15cm、クロスの長さ 1.25cm、二万一千円

ハート、アンカー、クロスの三種セットは、クリスチャンモチーフの組み合わせになり、ハートにはCharity(思いやり)、アンカーにはHope(希望)、そしてクロスにはFaith(誠実)の意味合いがあります。

留め具の部分に「750」刻印があって、素材が18CT ゴールドであることを示しています。

ふっくら系のハート飾りは品のよい感じで、気に入っています。

現代でも馴染み深いハートのデザインですが、その歴史をたどりますと、英国におけるハートのモチーフはジョージアンの頃登場し、ヴィクトリア期に大流行した経緯があります。 

私は海や波や船が好きなので、アンカーというモチーフには特に惹かれるのですが、モチーフとしてのアンカーにはかなり古い歴史があります。 世界史で習ったローマ時代のカタコンベには、クロスに見立てたアンカーがありました。 当時はキリスト教が国教となる以前のことで、アンカーをクロスの代用とすることで信仰を守る必要があった時代でした。

そうした背景があって、アンカーは初期のクリスチャンモチーフとなりました。 そしてアンカーのクロス的側面を重視する場合には、アンカーのことを「聖クレメントのクロス」とか、「マリナーズ(船乗りの)クロス」と呼びます。 さらに時代が下って、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃になると、イギリスではシーサイドリゾートが人気となり、マリンモチーフのファッション性が好まれました。 

クリスチャンモチーフとしてのアンカーには、クロスの代用という意味合いの他にも、「Hope(希望)」や「Steadfastness(しっかりしていること)」を表象する意味合いも含まれています。 あるいはまた、船が抜錨して次の目的地に向かうという連想から、「Fresh Start(新たな出発)」をシンボライズするモチーフともなっています。

『私はキリスト教の信仰者ではありませんが、何故かクロスにとても惹かれます。』というお便りをいただきました。 

英吉利物屋ではアンティークのクロスを扱っておりますので、関心のある方から、そういうお話があるのは珍しいことではないかも知れません。 けれども、クロスに惹かれるという話はこれが初めてというわけでなく、多くの方からお聞きしてきましたし、私もそう感じることがあるので、なぜだろうかと考えたくなるのです。

英国アンティーク情報欄にあります「40. 何故かクロスにとても惹かれます。 その理由を英吉利物屋風に考えてみました。」をご覧いただければ幸いです。

Hope, Charity & Faith 三つのクリスチャンモチーフ ゴールド ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20180 ガーネットの小花 15カラット ゴールド ヴィクトリアン ピン
長さ 5.1cm、飾り部分の最大直径 1.05cm、オリジナルケース入り、ヴィクトリアン後期の英国製、二万二千円

15カラット ゴールドで出来たヴィクトリアンのピンです。 写真三番目で見て、小花の裏面下方に15カラットゴールドを示す 15CTの刻印があります。

小花の中央にはブリリアントカットされたガーネットが入っています。

木製のオリジナルケースに入れてお送りします。

この木製ケースも味わい深くて、いい感じと思います。
ガーネットの小花 15カラット ゴールド ヴィクトリアン ピン(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20174 アーツ & クラフツ ヴィクトリアン シルバープレート ピアストワーク ベルト
長さ 69cm、重さ 111g、バックル部分の最大ピース縦横 5.6cm*4.1cm、ベルトの帯幅 2.8cm、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の英国製、二万二千円

ヴィクトリアン シルバープレートのアクセサリーです。 作られたのはヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃となりますので、今から一世紀以上も前の作品になります。

それぞれのピースを詳しく見てみましょう。 中央のバックル部分には三つ葉のデザインが上下にあって、中ほどのフラワーデザインと相まって、ゴージャスなピアストワークを構成しています。 ベルトの帯部分には、上下にハートがあしらわれ、左右上下にはCスクロールの複合デザインが効いています。 ハートもCスクロールも、ヴィクトリアン アンティークに典型的に見られるデザインです。 

もともとの用途は、百数十年前には女性用のベルトとして使われた品になります。 当時はベルトと言っても、長さの短い品が多く、例えば 「16651 ヴィクトリアンベルト」と同じタイプのアクセサリーと言えましょう。

写真四番目をご覧いただくと、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の様子ですが、なるほど、納得です。

そこで、今日的な使い方としては、ネックレスにするのもありかなと。
長さは69センチでネックレスにすると、とてもゴージャスなヴィクトリアン アンティークと感じます。 ゴージャスなヴィクトリアン アンティークで、もともとの用途と歴史的背景が興味深く、話題性も抜群なアンティークと思います

写真三番目は裏面の様子になります、しっかり作り込まれたクォーリティーの高さを感じます。 また、それぞれのピースの裏面には刻印が見えており、これは「EPNS」の刻印です。 EPNSとは、Electro-plated Nickel Silverを意味しています。

シルバープレートの品になりますが、手にしてみると、その存在感は圧倒的で、現代では作りえないアンティークであると感じられます。 品物自体が長い年月の経過を示しているという意味で、得がたいアンティークであると思います。

シルバープレートについて詳しくは、アンティーク情報欄にあります 「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事もご参考ください。

アーツ & クラフツ ヴィクトリアン シルバープレート ピアストワーク ベルト(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)アーツ & クラフツ ヴィクトリアン シルバープレート ピアストワーク ベルト(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)アーツ & クラフツ ヴィクトリアン シルバープレート ピアストワーク ベルト(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20094 ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ 『ジョン王』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス
縦 15.4cm、横 10.4cm、厚さ 1.1cm、115ページ、重さ 160g、1899年 George Bell & Sons ロンドン、Chiswick Press 印刷、一万二千円

イギリスの劇作家シェイクスピアの歴史劇 『ジョン王』 のヴィクトリアン アンティーク本になります。 

シェイクスピア史劇『ジョン王』については、探してみたら、こんなのもありました。 ちょっと、雰囲気を感じてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=tm5WVxlJ__8

ジョン王といえば、1215年のマグナ・カルタ(大憲章)が有名で、歴史の授業で習ってきたので、日本人の私たちにもなじみがあります。

日本の文庫本サイズですが、ハードカバーの布張り装丁本で、たいへん格調高いアンティーク本と感じます。 扉を開いてみると、写真三番目の下方に見えるように、『London George Bell & Sons 1901』とあります。 このシェイクスピア シリーズは、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃にかけて、順に出版されましたが、この本はヴィクトリア時代の終りからエドワーディアン初年にあたる1901年に出たものと分かります。 百年以上前の本ですが、コンディション良好で、手元において眺めていても満足です。

このシリーズ書籍は夏目漱石と大いに関係ありと、私は考えております。 ロンドン留学中に英文学書籍を買い集めていた漱石が、書店で見て手にして、おそらくは求めて日本に持ち帰った一冊だろうと推理しています。 詳しくは以下をご覧ください。

【このアンティーク本を夏目漱石がヴィクトリアン ロンドンで手にしたに違いないと推理するわけ。】
モスグリーンの布張り装丁には、アーツ・アンド・クラフツのチューリップ & フォーリッジ インターレーシング パターンが綺麗です。 印刷元のチズウィック・プレスは、ウィリアム・モリスの初期デザインを世に知らしめたことで名を成して、イギリスにおける印刷の歴史に大きな足跡を残しました。 

また、挿絵を描いている Byam Shaw はヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃に活躍したラファエル前派からつらなる画家で、シェイクスピアの挿絵画家としても人気がありました。 1910年には Byam Shaw School of Arts を創立しています。 現在ではこのアート・スクールは芸術分野において世界でも有数なCentral Saint Martins の一部になっています。

本文および用語解説の本体部は115ページありますが、それ以外に巻頭部には挿絵とイントロダクションが十ページほどあって、その後に登場人物説明、そして本文にあたる第一幕が始まっていきます。 

写真四番目は第一幕の始まり部分で、合計五幕構成の各幕始めにはそれぞれに違っていて楽しめるちょっとした挿絵があります。 その他に写真五、六番目のような大きな挿絵が合計六ページあるのも嬉しいところです。 

最終幕の後に写真七番目のような挿絵と『The End』が見えます。 さらにその後に続いているのが、「Glossary and Notes」の巻末用語解説で、六ページあって昔の用語について参考になります。 

英国BBC製作テレビシリーズの一つである『ジョン王』 を手助けにして、ヴィクトリアン・アンティーク本を読んでみるのも面白いと思います。 百年以上の古さを持ったアンティークなテキストは、ちょっと立派過ぎるかも知れませんが、英語シェイクスピアの鑑賞&学習、まずは形から入るやり方もありでしょう。 

【関連記事】

【シェイクスピア英語原典の読み方(イギリスの学習参考書から眺めた英国における古典教育)】
【このアンティーク本を夏目漱石がヴィクトリアン ロンドンで手にしたに違いないと推理するわけ。】
ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ 『ジョン王』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレスヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ 『ジョン王』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス


No.20190 MADE IN ENGLAND ロールド ゴールド クリップ
長さ 7.1cm、最大横幅 1.3cm、重さ 5g、英国製、一万二千円

ロールド ゴールドの装飾クリップで、素材とコンディションのよさを兼ね備えています。 

サイドから見たのが写真二番目の様子で、ヘアピン状のカーブがお分かりいただけるかと思います。 写真三番目にあるように、裏面には素材を示す「ROLLED GOLD」の表示と、「MADE IN ENGLAND」の刻印があります。

Rolled Goldとはベースメタルに9金や18金の薄金板を重ねた構造の素材で、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の英国で流行ったアンティークな素材です。 カラット数は表示がないのですが、イギリスでは一番多く見かける9カラット ゴールドでありましょう。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。
MADE IN ENGLAND ロールド ゴールド クリップ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)MADE IN ENGLAND ロールド ゴールド クリップ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


アンティークな英国パブ

英国アンティーク好きな方には見逃せない(と私は思うのですが、)イギリスのパブについてご案内します。 

アンティークな英国のパブ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20200 スターリングシルバー ハノーベリアン パターン ティースプーン with ラットテール SOLD
長さ 11.9cm、重さ 16g、最大幅 2.4cm、柄の最大幅 1.15cm、柄の最大厚み 2mm強、1914年 シェフィールド、五千円(3本あります-->SOLD)

今から百年以上前に作られたスターリングシルバー スプーンで、細身なタイプで品のいい銀製品と感じます。 柄先が少し手前に曲がったタイプで、ハノーベリアンパターンと呼ばれます。 写真二番目でボール裏面を見ていただくと、先が細くなったネズミの尻尾のようなデザインになっており、これがラットテールと呼ばれる構造です。 ラットテールはハノーベリアン パターンに付随して現れることが多いデザインです。

ラットテールはハノーベリアン パターンと、それより以前のドッグノーズやトレフィッド パターンで見られる構造ですが、元々は柄とボールの接合部分を補強するために採用された手法でした。 スプーンの歴史を考えてみると、棒状の柄の先にボールを取り付けたスプーンという道具は、技術レベルが低かった初期段階においては、柄とボールの接合部から壊れることが多かったのです。 

そこで考えられたのが、ラットテールという梁を付けて補強する方法でした。 そのうちに、素材の質や工作技術のレベルが向上してくると、ラットテールは実用上の必要性が薄くなってきましたが、今度は装飾的な観点から、ラットテールが採用されることも出てきました。 

さらに後の時代になると、まさにこの写真のティースプーンがそれにあたるわけですが、昔風なラットテールはノスタルジーを感じさせてくれることから、時に選好されたものと考えられます。

なお、イギリスにおけるスプーンパターンの歴史については、英国アンティーク情報欄にあります「4. イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご参考ください。

柄の裏面にはブリティッシュ ホールマークが、どれもしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1914年のデートレターになります。

スターリングシルバー ハノーベリアン パターン ティースプーン with ラットテール(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20187 スターリングシルバー ティースプーン一部 SOLD
長さ 10.7cm、重さ 11g、ボール部分の長さ 3.8cm、最大幅 2.1cm、ボールの深さ 7mm、柄の最大幅 1.1cm、1930年 ロンドン、五千円 (6本あります-->2本あります。)

柄先に向うウェイヴのフォルムがエレガントな印象です。

いろいろ銀スプーンを見てきましたが、ボール部分の深さが特徴となっており、ちょっと珍しいなと思って見ております。

ボール部分の全体として細身なフォルムが、この銀スプーンの優雅さが増しているように思います。

ボール部分の裏面には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。

写真二番目の見えるホールマークは順に、メーカーズマーク、1930年のデートレター、ロンドン アセイオフィスのレオパードヘッド、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 写真の品は正式な‘アンティーク’の仲間入りを果たすまで、あと十年ほど、節目の百年が見えてきております。 

気に入った古いものを身近で使っていくうちに、一世紀という節目の年月を迎えられることはコレクターの喜びとも言え、このシルバー アンティークにはそんな楽しみ方もあると思うのです。
スターリングシルバー ティースプーン(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20086 エドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーン SOLD
長さ 11.0cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.5cm、最大幅 2.3cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.1cm、1913年 シェフィールド、五千円(2本あります-->SOLD)

百年以上前に作られた銀のスプーンで、手彫りの装飾が見事な品と思います。

植物文様 ウェーブパターンの基本デザインは、深めなタッチで彫られています。 その背景に色合いが濃く見える部分は微細な彫刻で影を付けた細工です。 波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。

柄元に向かってのブライトカットは光の反射が綺麗です。 ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 この品はもうすでに ‘アンティーク’になっている古さで、時の流れを感じさせてくれますし、ほぼ未使用と思われるコンディションの良さもポイントになっています。

エドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーンエドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーン


銀のスプーンが、アイスクリームを美味しくするわけ


アイスクリームを食べるとき、味覚のみならず、銀に伝わる涼を触覚で、露点に達する冷たさを視覚で、五感を多く使えば、それだけ美味しさが増す。
銀の熱伝導率の高さが大きく関与しています。
銀のスプーンが、アイスクリームを美味しくするわけ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)銀のスプーンが、アイスクリームを美味しくするわけ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)




No. 20201 かもめ 帆船 くじら マリン モチーフ スターリングシルバー リング with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
リングの最大外径 2.1cm、リング内径 1.75cm、重さ 10g、帯幅 1.25cm、1993年 ロンドン アセイオフィス、一万四千円 SOLD

ごっつい感じのスターリングシルバー リングです。 写真一番目は、かもめ、波、そして帆船です。 写真二番目では、くじらが跳ねています。 

見る方向によって、銀リングの表情が変わってきますので、いろいろな楽しみ方があるのはポイントです。

ヴィクトリア時代の終わり頃からエドワーディアンの頃にかけて、ブライトンなどの海浜リゾートが賑わって、ロープや船の舵、波、シーガル、ヨットといったマリンモチーフが人気となりました。この品は1993年の作ですが、英国におけるマリンモチーフのこういった歴史にインスパイアされて出来た銀製品とも考えられます。

ゴロンとした銀塊のような風情に惹かれました。リングであることはもちろんですが、このタイプの銀リングですと、イギリスではペンダントヘッドとして身に着けている方もいらっしゃいます。そういう使い方も素敵だなと思います。

それから、写真三番目でリング内側に見えているのは、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、1993年のデートレターです。 リングの反対サイド内側にはメーカーズマークの刻印もあります。

横歩きライオンの刻印が英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになりますが、このライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。

この歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から五百年ほど前の1544年のことになります。これは当時チューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけなのです。

歴史や伝統に格別なこだわりを持つイギリス人は、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)にも特別な愛着があって、五百年の長きにわたって、この刻印を使い続けて今日に到っています。

ところで、写真のような銀はいつどこで出来たのでしょうか。
石見銀山とか聞いたことあるし、地球の内部で出来たのだろうと思いがちですが、それは違います。 地球のようなヤワな環境では銀は生まれません。 太陽の中でさえ銀は生まれません。もっと大きい星が必要です。 遠い昔に宇宙で起こった超新星爆発の途方もないエネルギーの中で銀ができたのです。

だから、写真の銀が出来たのは、地球が生まれるよりもずっと前のことです。 そして、運が良ければ、もうすぐ銀が生まれる大イベントが目撃できるかもしれないと言われています。 オリオン座の一等星ベテルギウスの大爆発がいつ起こってもおかしくない時期に差し掛かっているからです。

ベテルギウスの寿命は一千万年、そしてそろそろ一千万年が過ぎようとしています。 ただし、誤差としてたったの0.1%爆発時期がずれたとしても、それは一万年、人間にとってはどうしょもないほど長い年月になっちゃいます。 だから運がよければ。。

地球が生まれた45億年前より、さらに昔に起こった超新星爆発で出来た銀です、悠久の時の流れに思いをいたすきっかけに如何でしょう。

かもめ 帆船 くじら マリン モチーフ スターリングシルバー リング with ブリティッシュ ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)かもめ 帆船 くじら マリン モチーフ スターリングシルバー リング with ブリティッシュ ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)かもめ 帆船 くじら マリン モチーフ スターリングシルバー リング with ブリティッシュ ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20103 ピンチバック アンカー ペンダントヘッド
縦の長さ(留め具含まず) 1.9cm、全長(留め具含む) 2.3cm、最大横幅 1.3cm、厚み 1mm強、アンカー 五千円、クロス 五千円

小振りなピンチバック素材のアンカー ペンダントヘッドです。 中まで稠密なソリッド構造でしっかり出来ています。 

アンカーの素材はピンチバックと呼ばれるアンティークな素材です。 この素材は銅と亜鉛の合金で、ゴールドの色あいをもたらすジュエリー素材として、ヴィクトリアンの英国で好まれてしばしば使われました。 元々は1720年ごろにロンドンの時計メーカーであったクリストファー ピンチバックという人が発明したことから、ピンチバックの名で呼ばれるようになったのでした。

モチーフとしてのアンカーにはかなり古い歴史があります。 世界史で習ったローマ時代のカタコンベには、クロスに見立てたアンカーがありました。 当時はキリスト教が国教となる以前のことで、アンカーをクロスの代用とすることで信仰を守る必要があった時代でした。

そうした背景があって、アンカーは初期のクリスチャンモチーフとなりました。 そしてアンカーのクロス的側面を重視する場合には、アンカーのことを「聖クレメント クロス」とか、「マリナーズ(船乗りの)クロス」と呼びます。 さらに時代が下って、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃になると、イギリスではシーサイドリゾートが人気となり、マリンモチーフのファッション性が好まれました。 

クリスチャンモチーフとしてのアンカーには、クロスの代用という意味合いの他にも、「Hope(希望)」や「Steadfastness(しっかりしていること)」を表象する意味合いも含まれています。 あるいはまた、船が抜錨して次の目的地に向かうという連想から、「Fresh Start(新たな出発)」をシンボライズするモチーフともなっています。

『私はキリスト教の信仰者ではありませんが、何故かクロスにとても惹かれます。』というお便りをいただきました。 

英吉利物屋ではアンティークのクロスを扱っておりますので、関心のある方から、そういうお話があるのは珍しいことではないかも知れません。 けれども、クロスに惹かれるという話はこれが初めてというわけでなく、多くの方からお聞きしてきましたし、私もそう感じることがあるので、なぜだろうかと考えたくなるのです。

【関連記事】英国 アンティーク情報欄
なぜかクロスにとても惹かれます。その理由をアンティーク 英吉利物屋 風に考えてみました。
ピンチバック アンカー &クロス ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20065 ヴィクトリア女王 戴冠50周年記念 ゴールデンジュビリー シリング銀貨 ペンダントヘッド
ペンダントヘッド縦の長さ(留め具を含む) 3.2cm、銀貨の直径 2.35cm、重さ 6g、厚さ 1.5mm、シリング銀貨は1887年鋳造、一万一千円

『裸の王様』、『みにくいアヒルの子』、『人魚姫』などで有名なアンデルセンの作品の中に、19世紀半ばに書かれた『シリング銀貨』というおとぎ話があります。 外国旅行に出かけた英国紳士の財布にあった一枚のシリング銀貨が、異国の地で財布からこぼれてしまい、いろいろな人たちを巡りめぐって、最後には元々の持ち主であった英国紳士のもとに戻ってくるというストーリーです。 

物語の中で、シリング銀貨に穴をあけて糸を通し「Lucky Shilling」として身に着けるという話が出てきます。 シリング銀貨は大き過ぎず、小さ過ぎず、ペンダントヘッドにちょうど良いサイズであることと、シルバーという素材は幸福に通じることから、遠いヴィクトリアンの時代よりラッキーシリングとして好まれてきた背景があるようです。 

写真のアクセサリーは、ヴィクトリア女王の戴冠50周年を記念したゴールド ジュビリー コメモレーションの「One Shilling」 銀貨をペンダントヘッドにしたものです。 シールドリバース エンブレムと、裏面にはヴィクトリア女王のポートレートが入っています。 シールドリバースのエンブレムが素敵で好きなこともあって求めました。

ヴィクトリア女王時代に好まれたシールド リバースが表側のデザインに採用されています。 描かれているのは、右上にライオンの立ち姿でライオンランパント、左下にはハープクラウンド、そして三頭のライオンは『ライオンハート(獅子心王)』の愛称で知られる12世紀の英国王リチャード一世時代からのエンブレムです。 銀貨の下部には1887年の年号が見えます。

余談ですが、リチャード一世は十年間の治世中に国内にいたのがたったの六ヶ月という王様で、海外での戦いに明け暮れた英国王でした。 戦いで名を馳せ、ライオンハートの称号を得て、その勇気と生きざまは騎士の模範とされています。 そして現代ではサッカーのイングランド代表が使うエンブレムが、まさにこのスリーライオンなのです。

クイーン ヴィクトリアが若干18歳の若さで英国王位を継承したのは1837年のことで、この年から1900年までの64年間がヴィクトリア時代にあたります。 ヴィクトリア女王は在位期間が長かったことと、その時代は英国の国力が格段に伸張した時期と重なっていた為に、イギリス史の中でも特にポピュラーな国王となりました。 アンティークの分野にあっても、この時代の物品を指すヴィクトリアーナ(Victoriana)という用語もあって、ヴィクトリア時代を専門とするコレクタターが大勢いるわけなのです。

ヴィクトリア時代のイギリスについては、「英国アンティーク情報」欄にあります「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14. Still Victorian」の解説記事も合わせてご覧ください。

シリング銀貨の周りにはギザギザが付いており、これはよく見かける硬貨の特徴ですので、当たり前のように思われるかも知れません。 ギザギザがあった方が滑り難くて、失いにくいからでしょうか。 それもあるかも分かりませんが、最初にギザギザ銀貨が鋳造されたのは三百五十年ほど前の1663年のことで、それにはもっと大事な理由がありました。

銀貨の歴史を紐解くと、遠い昔には銀の重量そのもので商取引が行われた時代もありました。 しかしこれでは取引毎に重さを量ったり、銀の純度を疑ってみたりと、円滑な取引が出来ません。 そこで銀貨が発明されました。 時の為政者が銀貨の質を保証して、人々は銀の重量ではなくて、銀貨の刻印を信じて商取引をするようになりました。 

銀の重量ではなく、硬貨に刻まれた文字や数字による支払いは、商業活動を大いに伸ばしたわけですが、悪いことする人たちも出てきます。 銀貨の端から銀を少しずつ削り取って銀を盗むのです。 銀貨の重さが少し軽くなっても、表面に刻まれた価値で取引が出来ることを願いながら。 

しかしこうした泥棒行為が幅を利かせてくると、『グレシャムの法則』が働き始めます。 グレシャムは「悪貨は良貨を駆逐する。」と言いました。 綺麗で完全な銀貨と、軽くなった銀貨が手元に入ってくると、人々は綺麗な銀貨は手元に残し、軽くなった銀貨は取引に使おうとします。 こうして良貨は退蔵されて世の中から駆逐され、やがて流通する銀貨は悪貨ばかりになっていくというわけです。

銀貨のギザギザは、銀貨の周囲から少しずつ銀を削り盗る不正を予防するために、イギリスで1663年に初めて導入されたのでした。

最後に、イギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1シリング」=「12ペンス」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。
昔、サマセット・モームの「月と六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数字でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃止され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法時代の名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに、先日気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと落ち着かないのでしょう。 

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン時代のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服者が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。

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