*英国 アンティーク 英吉利物屋 トップへ 新着品物 一覧へ アンティーク情報一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No.19018 3つのどんぐり&英国王ジョージ5世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド
直径 2.4cm、留め具を含む縦長 3.0cm、厚み 1mm強、重さ 4g、3ペンス銀貨は1931年鋳造、

葉っぱのついた枝先にエイコーン(どんぐり)3つが三角井形に組まれたデザインは、1931年の3ペンス銀貨です。 コインの裏面には英国王ジョージ5世の横顔があります。 

ピアストワークのフレームにホールマークはありませんが、このフレーム素材も銀で間違いないでしょう。 銀のやわらかな輝きに惹かれる 『3つのどんぐり&英国王ジョージ5世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド 』と思います。

どんぐりのデザインが可愛らしい銀でありますが、このどんぐりには、歴史および文化的な背景からイギリスでは、なかなかに深遠な意味合いが含まれており、こうしたモチーフのよさがポイントになるペンダントヘッドと考えています。

どんぐり3つのスリーエイコーンは、繁栄を象徴するクリスチャンモチーフで、教会のステンドグラスなどでも、よく見かけます。

エイコーン(Acorn=どんぐり)は古代ローマまで遡れるモチーフの一つで、ケルティックやスカンジナビアン アートにおいても、Life(生命)、Fecundity(豊かさ、生産力)、Immortality(永久になくならないこと)を表象するモチーフとして好まれてきました。 そして繁栄をシンボライズするクリスチャンモチーフとして、今日にも引き継がれています。

英語には、『Every oak must be an Acorn.(樫の大樹も元々はみなどんぐり)』という諺があって、一粒の小さなどんぐりで、樫の大木をシンボライズしているケースもしばしば見受けます。

イギリスでは銀貨のペンダントヘッドを時に見かけます。 シリング銀貨と比べて、この銀貨は小振りなサイズになりますが、かえってこのくらいのサイズの方が使いやすいかも。 3ペンスは直径1.6センチと小さいですが、やはり銀貨であるところは嬉しいものです。 

ジョージ五世は1910年から1936年までの英国王で、その王妃がドールハウスでも有名なQueen Maryです。 メアリー王妃はアンティークや刺繍が趣味の奥方でした。 

ヴィクトリアンからエドワーディアン以降しばらくは、大はクラウン銀貨に始まって、いろいろな銀貨が使われましたが、3ペンス銀貨は銀貨としては最小額になります。 最少額とは言えども銀貨であるわけで、そのあたりに面白さを感じます。 

「3」という数、日本でもそうだと思いますが、英語ではラッキーナンバーに通じるものがあって、縁起物ではよく出会う数嘯ナす。 ホースシューでご紹介したことがある「Three Horseshoes」もそうですし、チェスター アセイオフィスの「Three Wheat Sheaves(3つの麦束)」も同様でしょう。 

キリストが生まれた時に訪ねてきたという「東方の3賢人」の例もあります。 マクベスの「Three Witches」はどうでしょうか、これはなにかと「3」だと、おちつきがよいということかも知れません。 日本でも「3度目の正直」、「仏の顔も三度」、「二度あることは三度ある」など馴染み深いもので、「3」にこだわる意味合いには納得感がありそうに思うのです。

最後に、イギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1シリング」=「12ペンス」になります。 ポンド、シリング、ペンスと3つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計Zするのも億劫です。

サマセット・モームの「撃ニ六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃~され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

十二進法を使っていた名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに、気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと気が済まないのでしょう。

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソンの頃のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい王様が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。

3つのどんぐり&英国王ジョージ5世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド


英国 アンティーク 英吉利物屋 トップへ 新着品物 一覧へ アンティーク情報一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ