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16.ウィンザー城内、Queen Maryのアンティーク ドールハウス (アンティークの専門誌『オクルス』 に掲載)

英国アンティーク ドールハウスの最高峰、ウィンザー城にあるメアリー王妃のドールハウスをご紹介し、あわせて英国ドールハウス事情についてお伝えします。

メアリー王妃のアンティーク ドールハウス (英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

ドールハウスと言えばリカちゃんハウスなど子供のおもちゃを思い浮かべる方が多いかと思いますが、英国ではこれはもう、れっきとした大人のホビーです。 この道の専門店があり、どちらかと言えば年配のご婦人方が訪れています。 そして時間をかけて好みのドールハウスを仕上げていくのに情熱を傾ける方々がイギリスには多くいらっしゃいます。

今回はまず、英国アンティークドールハウスの最高峰をご紹介しましょう。 テムズ川を望む高台に建つウィンザー城は英国王室の離宮として知られる観光地です。 そのウィンザー城内の一室に、世界で最も素晴らしいと言われるメアリー王妃のドールハウスが公開されています。 メアリー王妃のドールハウスを見ると当時の貴族の生活を垣間見ることができます。 なにしろ1924年当時の最高の建築家、著名な作家、芸術家、職人が総力を結集して、調度品を何から何まで12分の1 縮小サイズにして、3年もかけて製作したものなのです。

酒蔵には本物の最高級酒が 2.5cmのボトルに詰め込まれて貯蔵されていますし、小さなナプキン類にはイニシャルの刺繍が施されています(一体どうやって!)。 貴重品保管室を見ると英国王室の財宝を保管するタワー オブ ロンドンのジュエルハウスにある品とまったく同じ王冠や宝石のミニチュアがありました。 図書室の棚に並ぶ革表紙の書物は当時の著名な作家達がこのドールハウスの為に特別に執筆したという凝り様です。 シャーロックホームズを書いたアーサー コナン ドイルの作品も含まれています。 図書室には精緻に描かれた多数の絵画コレクションもあり、よくぞここまで描けたなあと感心してしまいました。

ガレージにはロールスロイスなど当時のヴィンテージカーのミニチュアモデルが並び、これだけでもマニアの方には垂涎ものでしょう。 庭園は有名な庭師の設計によるもので、整然と刈り込まれた芝生の中にも花々が咲き乱れ、小さなキノコが頭を出していたりします。 水撒きした後なのかホースが芝生に投げ出してあったり、熊手とシャベルが塀に立てかけてあったりと、あたかもそこについ先ほどまで庭師がいたような気配が感じられる庭です。

1925年以来このドールハウスは老朽化を防ぐ為に、特別な注意を払って保存されており、写真撮影ができませんでした。 そこで必死に描き写してみましたが、その精緻さ、細工の美しさには圧倒されてしまいました。  いつもは大変に混雑しているので、今回はじっくりスケッチ出来て幸せでした。


(左):製作当時のスナップ写真。 (右):私が描き写した Queen Mary ドールハウス スケッチ。 
メアリー王妃のアンティーク ドールハウス (英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

もともとドールハウスは16世紀後半のドイツとオランダが発祥の地で、本物の家や家具を作る為に、雛型を作ったことが始まりではないかと言われています。 18世紀までのドールハウスは貴族の館を模倣したものが多く、持ち主は貴族や裕福な商家の奥様方でした。 ミニチュア製作には金、銀、鉄、木材、ガラスとあらゆる材料が用いられ、職人が技を競い合いました。

19世紀以降には、新たに裕福な中流階級が台頭して、ドールハウスは子供のおもちゃとしての意味合いも帯びてきました。 彼らはドールハウスを子供達に買い与え、専門店も増えていったようです。 そう言えば、メアリーポピンズの映画でも、雇い主のバンクス家の子供部屋にはドールハウスが置いてありました。 こうした歴史もあって、イギリスではドールハウスが子供にも、大人にも楽しめる趣味となって今日に至っています。

メアリー王妃のアンティーク ドールハウス (英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)
上の写真は、ロンドン郊外にあるドールハウス専門店の様子です。

メアリー王妃のドールハウスのような豪華な品はとても持てませんが、お好きな方向けに、ドールハウスのお店を一つご紹介しておきましょう。  『Enchanted Castles』はロンドン郊外のヘムルハムステッドにあるドールハウス専門店です。 フェイさんご夫婦が経営されていて、もとはといえば御主人のテリーさんがドールハウスやミニチュアを作るのが大好きで、7年半前にお店を始められたそうです。 店内には様々なタイプのドールハウス キットや内装品のミニチュア家具、小物、壁紙などが所狭しと置かれています。 人気のタイプはイングリッシュ ジョージアンハウスとカントリー コテージとのこと。 ドールハウス キットはテリーさんに頼んで組み立ててもらうことも出来ます。 テリーさんの作業室には、作りかけのドールハウスが置かれていました。あるお客様が奥様へのお誕生日プレゼントとして注文されたものだそうです。

ドールハウスには小さな縮尺の専用壁紙があって、お好みで絵柄も選べますが、普通に家庭で使う壁紙よりも値段は高めとのこと。 やはりドールハウスは子供の遊び物と言うよりも、大人のホビーという感じです、もちろんお店では子供向けの安価で丈夫なドールハウスセットも取り扱われているのですが。 アンティーク ドールハウスを見たり、お店の方からお話を伺っているうちに、私も娘たちと一緒にドールハウスを作ってみたくなりました。

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