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No. 16407 エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン
長さ 11.45cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.9cm、柄の最大幅 1.3cm、柄の最大厚み 2mm、1901年 シェフィールド、Millar Wilkinson作、五千円

今から百年以上前、ヴィクトリア時代が終わりエドワーディアンの時代が始まった年に作られたスターリングシルバー ティースプーンです。 13グラムと持ちはかりがあり、銀が厚めな作りとなっており、手にした時のしっかり感は好印象です。 また、両面にわたって装飾が施されているので、やはり見た感じがゴージャスに仕上げっており、こうしたデザイン性の高さはアンティークの特徴となっています。 

レリーフのデザインは植物模様と波模様もしくは渦模様の融合パターンとなっています。 もう少し詳しく見ていくと、Cスクロールが多用されているのが特徴的です。 スクロールパターン(渦模様)の中でもアルファベットの「C」の形状をしたものを Cスクロールと呼びます。 楕円の柄先のすぐ下にCスクロールが見えていますし、柄先の周辺部にも細かくCスクロールが見えています。 そしてボール部分に近い柄元に見える形も、背中合わせになって左右に開いた二つのCスクロールです。 

ボール裏面には四つのブリティッシュホールマークが刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順に、「Millar Wilkinson」のメーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1901年のデートレターになります。 

デコラティブで豪華な雰囲気の仕上がりになっているのは、この銀スプーンを作った Millar Wilkinsonというシルバースミスの特徴によるところ大でありましょう。

イギリスの銀工房を大きく二つに分けるとすれば、スプーンやフォークといったシルバーウェアの銀工房と、アクセサリーやジュエリーの銀工房に分けられるでしょう。 もちろん大きな工房になれば、どちらも扱ったわけですが、工房の歴史や起源をたどれば、シルバーウェア系とジュエリー系に大別できると考えられます。

写真のアンティークを作ったメーカーは、ジュエリー系の要素を多分に持ったシルバーウェアの作り手でありました。 Millar Wilkinsonはヴィクトリアン中期の1872年に始まるシルバースミスですが、ジュエラーとして事業登録していた経緯があり、シルバーウェアよりもジュエリー分野に強みを持つシルバースミスであったようです。 ホースシュー モチーフのジュエリーで人気があったことなど伝えられています。 

シルバースミスの Millar Wilkinsonは、ジュエリーを得意とする銀工房であったという背景があって、写真の銀スプーンがデザイン性の高いシルバーウェアとなっているものと考えられます。

ちなみに、Millar Wilkinsonのアドレスは、ケンジントン&チェルシー王立区のケンジントン駅の近くということで、ロンドンの中でいうと、ハイドパークの西側あたりでありました。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 この品は既に‘アンティーク’となっている古さを備えており、時の流れを感じさせてくれますし、と同時にコンディションの良さもポイントになっています。 

一言で百年といっても、やはりそれだけの時の経過は大変なことと思います。 この頃の歴史年表を眺めてみますと、当時の出来事として、1902年:日英同盟、1905年:日露戦争、1910年:エジソンが電球を発明などがあり、ずいぶん昔のことなのです。

このアンティークが作られ、使われていた時代というのは、電灯もなかった時代でありました。 こうしたアンティークを手にしながら、その昔の時代に思いを馳せてみることはアンティーク好きの楽しみでありましょう。

当時の時代背景については、「英国アンティーク情報」欄にあります「14. Still Victorian」の解説記事もご参考まで。

エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン


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