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No. 4724 「Hand Tinted 」 アンティーク ポストカード
横の長さ 13.9cm、縦の長さ 8.8cm、一千五百円

写真のアンティーク ポストカードの興味深いところは、「Hand Tinted 」というノスタルジックな絵葉書の作り方が見られるところにあります。 ドレスや髪飾り、そしてブレスレットやランプの一部に金色の装飾があるのですが、これらはもともとの写真にはなかったもので、後から絵筆を使って描きこまれたものです。 かなり昔のポストカードだからこそ見られる手法で、いわば一枚一枚が手作りだったことが分かります。 

裏面をご覧いただくとポストカードと各国語で書かれておりますが、フランス語のCarte Postaleが最初で、英語のPostcardは四番目です。 この品はフランス製ということでしょう。 19世紀後半、イギリス絵葉書産業は欧州諸国に遅れをとっていた時代があって、輸入物が多かった事情がありました。

前に広瀬武夫について書きましたが、彼とポストカードは大いに関係があります。

『ロシアにおける広瀬武夫』(島田謹二著)によれば、「広瀬という人は、ことがあれば手紙を書き、ことがなければ手紙を書く。三十六年何ヶ月かの短生涯のうち書きしるした手紙の数は二千通に達する」らしいのです。 最初にこの本を読んだときには、昔の人はえらかった、とても真似は出来ないと思ったものですが、よく考えてみると、ポストカードの大流行という時代背景も大いに影響していたことが分かります。

世界的にみてポストカードの生産が特に多かった時代は1890年代から1910年代になります。 イギリスにおけるポストカード熱狂時代の頂点は1903年と言われます。 広瀬武夫がロシア留学そして駐在武官であったのは明治三十年(1897年)から明治三十五年(1902年)のことで、まさにこの時代と重なっているのです。

昔のポストカードをあれこれ見ていて感じるのですが、メッセージが短いものが多くて、それは見習ってみたいと思うのです。 私も旅に出かけた時には、なるべく絵葉書を送るように心がけています。 電話やインターネットの時代だからこそ、旅先から絵葉書を出してみる。 短い文章でさっと書いて、さっと出す。 これが極意なんだろうなと。

「Hand Tinted 」 アンティーク ポストカード




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