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No. 4163 With Kindest Thoughts エドワーディアン ポストカード with King Edward Z blue-green Half Penny 切手
横の長さ 8.7cm、縦の長さ 13.9cm、1906年、三千円

可愛らしい女の子とエンジェルに惹かれて求めました。 エドワーディアンのアンティーク ポストカードで、「With Kindest Thoughts」と題名がついています。 消印は「4:30PM、DEC 18、06」とありますので、1906年12月18日午後4時30分ということで、ロンドンから投函されています。 裏面にはエドワード七世のblue-green Half Pennyスタンプが貼ってあるのもポイントです。 

アンティークのポストカードをいろいろ見ていて思うのですが、メッセージが短いものが多くて、カードに親しむあり方として見習ってみたいと、以前に書きました。 調べるうちに、なぜ短いメッセージのアンティーク ポストカードが多いのか、その背景が分かってきました。 

『The Victorian House(Judith Flanders著)』という本によると、ヴィクトリア時代のイギリスにおいては、ものすごい数のポストカードが行き来していたようです。 当時のイギリス都市部では、郵便配達が一日に五、六回に及んでいました。 職場で働く旦那さんが、ランチタイムの頃に、奥様宛に「今日の帰宅は午後六時の予定です。Love」とか書いてポストカードを送れば、夕方までに届くという状況だったのです。

電話が広く普及する前のことで、多くの人たちにとって、ちょっとした用事を伝える手段として、郵便システムがこれほどに発達していたのです。 ヴィクトリア時代でもまだ前期にあたる1851年の新聞 『The Times』に掲載された投書の例がありました。 それによると、ロンドンで午後一時半に投函された手紙が、その日の午後四時になっても、3キロ離れた宛先に届かなかったという苦情だったのです。 逆に言うと、当時のロンドンではそれが当たり前だったわけで、百五十年前のイギリス郵便、恐るべしだったのです。

それから、もう一つ、1900年頃のイギリスは高度に発達した郵便システムに支えられて、Postcard Craze(郵便はがき大流行)と呼ばれる状況になっていました。 街角のどこのお店でもポストカードが売られていて、早くて楽しいコミュニケーションツールとして、もてはやされていたのです。 それから百年後のインターネットブームを考えてみれば、当時の状況もあるていど想像が出来るように思います。

Postcard Crazeの中で、何でも集めることが好きなイギリス人たちのあいだでは、ポストカード収集も広く始まっていたようです。 おもしろいことに、写真のポストカードは、まさにその実例となっています。 写真二番目をご覧いただくと、裏面のメッセージ欄にあるのは、「このポストカード、あなたのコレクションにどうかしら。 気に入ってもらえるといいんだけど。」とあって、用事はそれだけなのです。

博物学を生み出したイギリス人の収集癖については、「英吉利物屋のご紹介」にあります記事もご参考まで。

アンティーク ポストカードは昔の暮らしが分かって楽しいですし、やはり絵や写真など見るアンティークの華やかさは良いものです。 少しずつコレクションをご紹介していけたらと思います。





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