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No. 17313 William Bateman スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン
長さ 13.8cm、重さ 18g、ボール部分長さ 4.7cm、横幅 2.9cm、ボールの深さ 7mm、柄の最大幅 1.5cm、1821年 ロンドン、William Bateman作、一万二千円

今から194年前の1821年に作られたオールドイングリッシュ パターンのティースプーンで、William Batemanの作になります。 写真三番目で見えるように、ブリティッシュホールマークがしっかり刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順に「William Bateman」のメーカーズマーク、ロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1821年のデートレター、そしてジョージ四世の横顔マークはデューティーマークです。 

英国アンティークの時代別カテゴリーで言えば、エドワーディアンやヴィクトリアンよりも、さらにもう一つ古いジョージアン アンティークであることは、やはり大きなポイントになりましょう。

ジョージアンの時代にはティースプーンとして使われた品ですが、全長が14センチ近くにボール部分の長さが5.0センチ近くもあり、実際のところ現代的な感覚からはティースプーンとしてはかなり大きい感じです。 この品の重さは通常のティースプーンの範疇を超えていると思いますので、普段使いの一本として、デザートスプーンやプリザーブスプーンとしてもお使いいただけると思います。 また、お茶の席でティースプーンとして見かけると、その存在感は圧倒的で、裏面のブリティッシュホールマークとも併せて、珍しくて話題性のあるアンティークとなります。

ホールマークのガイドブック 『Jackson's Hallmarks』によれば、William Batemanについて 「Very good (best of the Batemans)」 とコメントされており、この品の場合はシルバースミスの名前も大きなポイントになっています。

数多いシルバーウェアの中でもベイトマン ファミリーの品は別格に扱われることが多いようです。 一つには二百年近い年月を経ているということがあるでしょう。 しかしそれでも、なぜ?と思われる方も多いはずです。 手にとって直に見てみると、ボール部分が先細なタイプで品の良さを感じ、柄の曲線のなんとも言えない優雅さ、手仕事のみが生み出す温かさが多くの人を惹きつけてきた要因であることがわかります。 

そうは言っても、ベイトマン以外のフィドルパターン ティースプーンの品とここがどうしても違うとは私は思わないのですが。 結局のところベイトマンがアンティークシルバーにおいて別格なのは、鶏が先か卵が先かの議論にもなりますが、コレクターの需要が強いからということになるのでは、と思います。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますが、このスプーンが作られたのは1821年ですから、余裕でアンティークのカテゴリーに入るどころか、あとしばらくでダブルアンティークにもなるわけで、やはりこれほどの古さは大きな魅力と言えましょう。

この品が作られた1810年代から20年代というのは、どんな時代であったのか。 イギリスではスティーブンソンが蒸気機関車を発明しています。  さらにはアメリカとイギリスは二年にわたる米英戦争をしており、現代における米英の結束を鑑みるに、まさに隔世の感があります。 

日本では十一代将軍徳川家斉の時代で、伊能忠敬が地図を完成させています。  またこの頃はイギリス船がしばしば日本近海に出没して問題となっておりました。 1816年イギリス船琉球に来航、1817年イギリス船浦賀に来航、1818年浦賀にまた来る、1824年イギリス捕鯨船が水戸藩の大津浜に来る、1824年イギリス船員が薩摩の南西諸島に上陸し牛を奪おうとして島民に射殺される。 イギリス人の活発な動きには驚かされますが、それに対する幕府の対応は、『異国船打ち払い令』というものでした。 日本へやってくる外国船は見つけ次第、大砲を撃って追い返せという政府の命令でありました。

アンティークを手にして、その品が作られた時代に思いを馳せてみることはアンティークコレクターの大いなる喜びであり、遠い昔が身近に感じられるのは、とても楽しいことだと思うのです。






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