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No. 15824 ジョージアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン with シェル
長さ 13.1cm、重さ 12g、ボール部分の長さ 4.35cm、最大幅 2.7cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.15cm、1824年 ロンドン、James Beebe作、一万二千円

最後の一本となりましたので、写真を撮り直してみました。

ほぼ同等品が六本ありましたが、製作年やシルバースミスが異なっています。 もともとのオーナーがリプレイスしたか、あるいは特別に注文してセットの本数を増やしていったものと思います。 二百年前の銀製品の扱われ方が分かって興味深いことです。 

今から二百年近く前に作られたオールドイングリッシュ パターン ブライトカットのアンティーク スターリングシルバー ティースプーンです。 ボール部分のシェルパターンも綺麗です。

シェルパターンは12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

写真二番目のホールマークは順に James Beebeのメーカーズマーク、ロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1824年のデートレター、そしてジョージ四世の横顔はデューティーマークです。

オールドイングリッシュ パターンについては英国アンティーク情報欄にあります「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご参考ください。

ほぼ同等品が六本ありますが、製作年やシルバースミスが異なっています。 製作年を調べてみると、1816年、1817年、1817年、1823年、1824年、1826年となっています。 さて、この事実をシャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロよろしく、どう解釈するかです。 

もともとのセットを使っていくうちに、紛失や破損があって、リプレイスする事例はよくある話です。 ただし製作年の間隔を見ていくと、どうもリプレイスのようには思えません。 さらに加えて、六本ともほぼ同等にコンディションがよろしくて、あまり使われた形跡がありません。 使い込んでいなかったら、破損も生じなかったと思います。 

おそらく、もともとのオーナーはセットの本数を少しずつ増やしていったものと考えます。 何かの記念ごとに増やしたのか、あるいは、当時の銀はかなりの貴重品ですから、単に本数を増やすのに年月がかかったのか、それは分かりません。 とても大切に扱われてきた品だということもよく伝わってきます。 もうひとつ、銀工房に頼んだら、十年かけてでも同じ品物が作っていただけたというのは、たいしたことだと思います。

二百年前のイギリスで銀製品がどのように扱われてきたのか、おぼろげながらも見えてくるという意味で、とても興味を惹かれるアンティークシルバーと思います。

これらの品が作られてから二百年後に、あれこれ推理されていようとは、もとのオーナーは思いもしなかったことでしょう。 年月を通じて残っていくアンティークの不思議と感じます。 またあと二百年が経ったら、誰かが手にとって思いをいたしているかも知れません、大事にしていきたいと思います。

大きな歴史の中でのアンティーク シルバーの位置づけについては、英国アンティーク情報欄にあります「37. アンティークと歴史経済の大循環について」もご参考まで。

No. 15824 ジョージアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン with シェル





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