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No. 15706 グラスゴー アセイオフィス エドワーディアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン 一部 SOLD
長さ 10.3cm、重さ 9g、ボール部分の長さ 3.5cm、最大幅 2.1cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 8.5mm、1908年 グラスゴー アセイオフィス、四千円 (6本あります-->4本あります-->3本あります-->1本あります。)

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバー オールドイングリッシュ パターンのティースプーンです。 やはり百年の時を経た古さというのは、アンティークとして大きな魅力になりましょう。 また、あまり見かけないことからレアものといってよい、スコットランドのグラスゴー アセイオフィスで検定を受けた品であることもポイントです。

しかし、写真のアンティークの最大のポイントは、柄の全面に施された繊細なハンドエングレービングの素晴らしさにあります。 複数本を求めたものですが、どの二本を比べてみても、彫刻の様子が微妙に違っており個性があります。 例えば写真三番目をご覧いただきますと、柄先に見える盾状飾りの大きさや形、柄の中ほどに見える渦巻きのサイズや巻き加減、そして柄の中間に見える四つ葉飾りの様子などなど。 

と言うことは、このシルバースプーンに施された装飾は、相当に微細な彫刻でありますが、これらが一本一本、シルバースミスのハンドエングレービングで仕上げられていったことを示しております。 まさに百年以上前の時代だからこそ出来た労働集約的な仕事振りであって、今日では手に入れにくいアンティークならではの魅力があるのです。

アンティークスプーンの個性と魅力については、やはり当時と現在では人手のかけ方が桁違いであることが背景にあろうかと思います。 シルバースプーンなどの分野では、百年前には労働集約的な職人さんの作業が大半でした。 現在では人件費の高騰から、人手をかけることはビジネスの弱点になりかねず、大半は機械化されております。 そう考えると、桁違いどころか、人手のかけ方はおそらく百倍あるいは千倍違うというのが本当でしょう。

ひるがえって現代の製品を考えますと、製品間の個体差を出来る限り除いていくことが、目標になってきました。 百年という月日の流れの中で、物作りの背景にある基本的な考え方にも、大きな変化が起こってきているように思います。

写真二番目に見えるブリティッシュ ホールマークは順にメーカーズマーク、1908年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンランパント、そしてグラスゴー アセイオフィス マークになります。

英国のホールマーク制度にあっては、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのアセイオフィスの役割が大きくて、三つを合わせたシェアは9割ほどになるでしょう。 逆に言えば、それ以外のアセイオフィス マークが刻印されたシルバーウェアは珍しいので、そこにレア物の価値を見出すコレクターがいるのです。

グラスゴー アセイオフィスで検定を受けたシルバーウェアは、ホールマークにも他と違った特徴がありますので、この機会にご紹介しておきましょう。 英国シルバーにおいて銀純度92.5%を示すスターリングシルバー マークは、普通はライオンが歩いている刻印で、「ライオンパサント(Lion Passant)」と呼ばれます。 ロンドン、シェフィールド、バーミンガム他のシルバーウェアをお持ちの方なら、おなじみのマークです。 ところがスコットランドではこれが、ライオンが後ろ足で立ち上がった姿になって、「ライオンランパント(Lion Rampant)」と呼ばれます。 英国アンティークシルバーの知識として覚えておかれてもよいでしょう。 1800年代からグラスゴー アセイオフィスが廃止された1964年まで、グラスゴーのシルバースタンダード マークは、このライオンランパントだったのです。

それから、グラスゴー アセイオフィスマークをルーペでご覧いただくと、樹木のてっぺんに鳥がとまっていて、樹の右サイドにベルが下がっていて、樹の下には魚がいるマークが見て取れます。 この「鳥、木、鐘、魚」がグラスゴーの象徴なのです。

キリスト教の聖人St.ムンゴがグラスゴーの街をつくったと言われていて、彼が起こしたと伝わる四つの奇跡をうたった以下の詩にちなんだデザインがグラスゴーのコートオブアームズになっているわけなのです。

Here's the bird that never flew
Here's the tree that never grew
Here's the bell that never rang
Here's the fish that never swam

アンティークを手にしていると、その品が作られた当時のイギリスとか、その頃の日本はどんなだったろうとか、あれこれ背景を考えてみたくなる性分です。 写真の銀スプーンが作られた1908年と言えば、朝日新聞に夏目漱石の『三四郎』が連載されていました。 『三四郎』は明治四十年(1907年)夏の終りから翌年初までの東京を舞台にして話が進んでいきますので、まさにこのアンティークが作られた頃のお話ということになります。

一言に百年といっても、やはりそれだけの時の経過は大変なことと思います。 ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。

このアンティークが作られ使われていた時代というのは、電灯もなかった時代なわけで、労働集約的な手仕事もさもありなんというところです。 こうしたアンティークを手にしながら、その昔の時代に思いを馳せるのはアンティーク好きの楽しみであろうと思うのです。

グラスゴー アセイオフィス エドワーディアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン





グラスゴー アセイオフィス エドワーディアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン

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