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No. 15565 Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 12.9cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.7cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.25cm、1806年 ロンドン、Peter & William Bateman作、SOLD

このスターリングシルバー ティースプーンは今から二百年ちょっと前の1806年作で、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。 

19世紀初めの品でありながら、エッジ部分の磨耗がほとんど感じられず、コンディションのよさから判断するに、あまり使われることなく現在に至っているものと思われます。 持ちはかりがあって、しっかり銀が使われていることもグッドです。

写真三番目のホールマークは順に メーカーズマーク、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、1806年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

メーカーズマークの一部に読み取りが難しいところがありますが、四角い刻印の中にアルファベット四文字で、判読可能な文字から判断するに、Peter & William Batemanで間違いないでしょう。 また、スプーン先端の優美さから見てもその判断でよろしいと思います。

このティースプーンを見ていく場合、アン・ベイトマンが引退した頃に作られたアンティークであることに興味を覚えます。 それまでの十年ほどはベイトマン ファミリーにとって大変な時でありました。

1790年にヘスター・ベイトマンが引退し、彼女の二人の息子達であったピーターとジョナサンによってファミリービジネスは引き継がれました。 ところが翌1791年にはジョナサンが亡くなってしまいます。 ジョナサンの奥方であったアンがご主人に代わり、ピーターとビジネスパートナーを組み、PB,AB(ピーター&アン ベイトマン)のマークで工房は引き継がれました。 大御所へスターの引退と、息子ジョナサンの不幸、そしてジョナサンの奥方アンの登場という工房の歴史を、私はアンの立場から見てしまい、大変な時であったろうと想像するのです。

その後、アンと亡くなったご主人ジョナサンの息子であったウィリアムが大きくなって新たにパートナーに加わり、PB,AB,WB(ピーター、アン& ウィリアム ベイトマン)のマークが使われる時代になりました。 そして息子のウィリアムが一人前になった1805年をもって、アンはようやく引退できる運びとなりました。 それまで工房を支えてがんばってきたアンも一安心だったろうと思うのです。

数多いシルバーウェアの中でもベイトマン ファミリーの品は別格に扱われることが多いようです。 一つには二百年に近い年月を経ているということがあるでしょう。 しかしそれでも、なぜ?と思われる方も多いはずです。 手にとって直に見てみると、ボール部分が先細なタイプで品の良さを感じ、柄の曲線のなんとも言えない優雅さ、手仕事のみが生み出す温かさが多くの人を惹きつけてきた要因であることがわかります。 

そうは言っても、ベイトマン以外のオールドイングリッシュ パターンの品とここがどうしても違うとは私は思わないのですが。 結局のところベイトマンがアンティークシルバーにおいて別格なのは、鶏が先か卵が先かの議論にもなりますが、コレクターの需要が強いからということになるのでは、と思います。

ベイトマン ファミリーの系譜については、 「19.ベイトマン ファミリーのメーカーズマーク」の解説記事もご参考ください。 また、オールド イングリッシュ パターンについては、「4.イングリッシュ スプーン パターン」を、そしてデューティーマークについては、「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記事の後半もご覧ください。

Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


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