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No. 14995 ヴィクトリアン スターリングシルバー ブライトカット ティースプーン SOLD
長さ 13.3cm、重さ 19g、ボール部分の長さ 4.6cm、最大横幅 2.7cm、ボールの深さ 0.8cm、柄の最大幅 1.3cm、1894年ロンドン、George Maudsley Jackson作(=Josiah Williams & Co.作)、(6本あります-->5本あります-->4本あります-->3本あります-->SOLD)

ヴィクトリアン後期に作られたスターリングシルバーのティースプーンです。 柄の厚みは最大で3ミリほどありますし、19グラムという持ちはかりは、ティースプーンとしてはかなりなもので、銀の重みを感じさせてくれる重厚なヴィクトリアーナと思います。 今から百二十年近く前に作られたアンティークながら、コンディションが良好なところもポイントになりましょう。

ブライトカットの彫刻が美しく、英国風で重厚な作り、そして結構な古さと、三拍子揃った見所の多いよいアンティークシルバーと思い、気に入って求めました。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。 

この品は1894年の作なので、二百余年にわたるブライトカット装飾技法の歴史の中でも、技法の成熟&完成期につくられた品となります。 その後はイギリスの歴史が下り坂に入っていきますので、これほどの作品はあまり見かけなくなってゆくのは致し方ないところでしょう。 

お手元にルーペがあれば、眺めて楽しいアンティークに仕上がっております。 写真のティースプーンに施された彫刻を詳細に見ていくと、ブライトカットのみならず、その周辺に見られる彫刻の繊細な様子から、イギリスや英国銀製品がピークを迎えていた時代に作られたアンティークであることが、お分かりいただけると思います。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますが、この銀のスプーンが作られたのはヴィクトリアン後期の1894年のことですので、余裕でアンティークのカテゴリーに入るわけです。 

写真三番目のホールマークは順に、「GMJ (=George Maudsley Jackson)」のメーカーズマーク、ロンドンレオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1894年のデートレターです。 

George Maudsley JacksonはJosiah Williams & Co.の共同パートナーの一人であったことから、GMJはJosiah Williams & Co.と実質同体と考えてよいシルバースミスになります。
ホールマークのガイドブックである『JACKSON'S HALLMARKS』によれば、「GMJ」についてのコメントは「Wide range of particularly good flatware.」とありますので、GMJ単体の評価もかなり高いのですが、Josiah Williams & Co.も有名シルバースミスの一つです。

一般にヴィクトリア時代創業のシルバースミスが多い中にあって、Josiah Williams & Co.はジョージアンの時代に始まった老舗の一つになります。 1800年創業のJosiah Williams & Co.はブリストルのメーカーで、地方では最大のシルバースミスでした。 今日でも中世の街並みや大聖堂が美しいブリストルは、16世紀にはエイボン川河口の貿易港として栄え、その後はイングランド南西部の主要都市として発展しました。 しかし大きな都市であったがゆえに、第二次大戦中の1940年11月24日にはドイツ軍による空襲を受け、Josiah Williams & Co.も工房を失い、残念ながら140年の歴史に幕を閉じました。

それから、この品のデートレターをご覧いただくと、その形が盾状をしていて特徴があります。 ロンドンアセイオフィスにおける19世紀のほぼ第四四半期にあたる1877年から1895年までのデートレター サイクルは「盾」と覚えておかれると、アンティークハントの時には便利です。 この時代はイギリスの国力が大いに伸張した時期にあたることから、今日においてもこの頃のアンティークに出会う可能性も高いのです。 デートレターをすべて暗記することは難しくても、「ロンドンの盾はヴィクトリアン後期」と知っておく価値はあると思います。

ヴィクトリアン スターリングシルバー ブライトカット ティースプーン




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