英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 16809 ウェールズ製 ダブルハート&ホースシュー 木製 ラブスプーン
長さ 27.3cm、重さ 46g、ハートの横幅 5.0cm、最大厚み 8.5mm、ウェールズ製、一万三千円

ちょっと変わったアンティークを見つけましので、ご紹介しましょう。 

写真の品はウェールズのラブスプーンと呼ばれ、17世紀からのウェールズの習慣によれば、男性が好きな女性のために作ってプレゼントする木製スプーンなのです。 木の材質はおそらくオークと思われます。

ハートは『Love』を示しており、ハートが二つでラブラブ。 その間に挟んであるのは『Good Luck』のホーシュシューです。 「ラブラブ & グッドラック(幸運)」というメッセージものとして作られています。 壁にかけたりして、室内装飾品として使われるようです。

オーク材の落ち着いた輝きはとても英国風と感じます。 オーク材をふんだんに使ったマナーハウスでのアフタヌーンティー、優雅な「オークホール」を思い出しました。

ウェールズはイギリス連合王国の構成部分であり、イングランドとは地続きなので、ロンドンからそう遠くない旅先になります。 実際に行ってみると、イングランドとはいろいろ異なっており、文化や歴史の違いが感じられて楽しいし、田舎の人の良さかも知れませんが、親切な人が多いように思います。 お薦めしたい旅先です。 そうした背景があって、作られたラブスプーン、興味深い伝統工芸品と思っております。

ヴィクトリア時代に書かれた 『The Horse Shoe, The True Legend of St. Dunstan and The Devil』 という書物には、ホースシューにまつわる伝説が書かれています。 その概要をご紹介してみましょう。

後にカンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは、ハープを弾くのが上手で鍛冶屋の仕事もこなす器用な人でした。 ダンスタンが夜にハープを奏でていると、デビルがやって来て邪魔をするようになりました。 デビルの悪戯に困ったダンスタンは一計を案じて、蹄鉄を取替えに来たデビルの蹄足にホースシューの留め釘を深く打ち込んだのでした。 

痛がるデビルにダンスタンはこう言います。 「これからは礼拝の邪魔をしないこと、音楽を奏でる邪魔をしないこと、そしてホースシューを掲げた家には寄り付かないこと。 これを守るなら直して進ぜよう。」 デビルはダンスタンと契約をかわし、以降はホースシューが魔除けの役割を果たすようになり、さらには Good Luck をもたらすお守りとされるようになったのでした。

ホースシューはイギリスではグッドラックの意味があって人々に好まれます。 縁起のよさが好まれ、パブの看板に蹄鉄三つが描かれて、写真三番目のような「Three Horseshoes」なんていう名前のパブもありますので、「ホースシュー=幸運」の図式はイギリス人の暮らしに深く根ざしていることが分かります。

シャーロック・ホームズの『白銀号事件』を読んでいましたら、ホームズの「I think that I shall put this horseshoe into my pocket for luck.(このホースシューは幸運があるように、私が貰っておきましょう。)」という台詞に出会いました。 この探偵小説は1892年12月に発表されていますので、少なくともヴィクトリアンの頃には、「ホースシュー=グッドラック(幸運)」の連想があったことが分かります。 シャーロック・ホームズ シリーズには、アンティークなヴィクトリアンの暮らし向きが読み取れる場面が豊富なので、注意して読むと面白いようです。

ウェールズ製 木製 ラブスプーン

裏面の様子




イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ