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アンティーク シルバー ティースプーン (3)

あるお客様から、「バラ売りされているティースプーンはないでしょうか。ちがった年代、デザインを1本ずつ集めるのも楽しいのでは・・・」とお便りいただきました。

実は私も以前にティースプーンをちがった年代、デザインで1本ずつ集めるのも楽しいのではと思ったことがあったのです。 知り合いのアンティークディーラーのお宅にお邪魔してお茶をご馳走になった時、出てきたティースプーンが、プレーンなジョージアンスプーンでしたが、セットではなくちがった年代とデザインでした。 そのことでかえってスプーン一本一本を眺めたり、ホールマークを見比べたりと話が弾み、セットのティースプーンであったら出来なかったような会話を楽しむことが出来たのです。 この時、セットよりバラのアンティークの魅力を確かに感じたのですが、頭が固いと言いましょうか、英吉利物屋でティースプーンをご紹介するとなると、「ティースプーンはセットで」という先入観から抜け出せぬままに今日まで来てしまいました。 一方で仕入れの際に綺麗なティースプーンを一本見つけると、つい求めてしまうのですが、その後はサイトアップすることなくそのままになっていたのです。

お客様からのお便りでハッといたしました。 アンティークティースプーンをバラで集める魅力は確かにあるとあらためて思いました。 以下のコーナーでバラのティースプーンを少しずつご紹介していけたらと思います。

(下線付き太字の品物名をクリックいただくと、拡大写真とその他の説明写真がご覧いただけます。)


No. 15710 スターリングシルバー ハノーベリアン パターン ティースプーン with ラットテール SOLD
長さ 11.3cm、重さ 12g、最大幅 2.1cm、柄の最大幅 1.0cm、柄の最大厚み 2mm、1924年 バーミンガム、Henry Williamson Ltd作、SOLD
今から九十年近く前に作られたスターリングシルバー スプーンで、細身なタイプで品のいい銀製品と感じます。 柄先が少し手前に曲がったタイプで、ハノーベリアンパターンと呼ばれます。 ハ真二番目でボール裏面を見ていただくと、先が細くなったネズミの尻尾のようなデザインになっており、これがラットテールと呼ばれる構造です。 ラットテールはハノーベリアン パターンに付随して現れることが多いデザインです。

ラットテールはハノーベリアン パターンと、それより以前のドッグノーズやトレフィッド パターンで見られる構造ですが、元々は柄とボールの接合部分を補強するために採用された手法でした。 スプーンの歴史を考えてみると、棒状の柄の先にボールを取り付けたスプーンという道具は、技術レベルが低かった初期段階においては、柄とボールの接合部から壊れることが多かったのです。 

そこで考えられたのが、ラットテールという梁を付けて補強する方法でした。 そのうちに、素材の質や工作技術のレベルが向上してくると、ラットテールは実用上の必要性が薄くなってきましたが、今度は装飾的な観点から、ラットテールが採用されることも出てきました。 

さらに後の時代になると、まさにこの写真のティースプーンがそれにあたるわけですが、昔風なラットテールはノスタルジーを感じさせてくれることから、桙ノ選好されたものと考えられます。

なお、イギリスにおけるスプーンパターンの歴史については、英国アンティーク情報欄にあります「4. イングリッシュ スプーン パターン」の解説記魔烽イ参考ください。

シルバースミスのHenry Williamson Ltdは、ヴィクトリアン中期の1865年にヘンリー・ウィリアムソンが創業した銀工房です。 1895年には時計店を買して小売部門を拡張し、1899年に今度はファクトリーを買して製作部門を強化しています。 ヴィクトリア期の最後の頃には、シルバー部、シルバープレート部、ジュエリー部、梃v部、眼鏡部等を抱える大きなビジネスに成長していたようです。 1920年代には、英国Y業フェアやスペイン バルセロナのフェアに出展したりと活躍しましたが、1929年世界大恐慌のあおりを受けて店を閉じました。 

ボール部分の裏面にはブリティッシュ ホールマークが、どれもしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にHenry Williamson Ltdのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカー、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1924年のデートレターになります。
スターリングシルバー ハノーベリアン パターン ティースプーン with ラットテール


No. 18005 『LOOK FORWARD (前を見よ)』 スターリングシルバー ティースプーン with ブリティッシュ シルバー ホールマーク
長さ 10.9cm、重さ 14g、ボール部分の長さ 3.5cm、柄先の飾り直径 1.9cm、1922年 シェフィールド アセイオフィス、(五本あります。)

今から百年近く前に作られたスターリングシルバーのティースプーンです。 かなりな古さの銀ではありますが、コンディションがよろしくて、綺麗なアンティーク シルバーと感じます。 同様なタイプの銀スプーンがあと五本あります。

柄先の飾り部分は直径は2センチほどありゴージャスな雰囲気に仕上げっています。 この飾り部分の大きさもあって、銀が多めに使われていることから、揩ソはかりは14グラムと、けっこうな銀の重さになっているようです。

英国ライフル協会の関連アンティークと思われ、ハンドル表側の中ほどには『LOOK FORWARD (前を見よ)』という言葉のレリーフがあります。 「LOOK FORWARD」というポジティブな言葉の響きに好感が持てました。 

ハ真O番目に見えるように、ボール裏面には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてデートレターです。 

それから、柄の裏面に見える数嘯ヘデザイン登録の番号で、「RD No. 502958」とあります。 イギリスのパテントオフィスに登録して、特許を取ったことが示されています。

ハ真のアンティーク シルバーの作り手が、このデザインをパテント登録オフィスに持ち込んで、わざわざ特許申請をしていることから考えても、ほぼ一世紀の昔に、ゥ信を持って世に送り出した意匠の一つだったろうと理解できます。

ハ真の品の場合はブリティッシュ シルバーホールマークの刻印がありますので、製作年の特定が出来るわけですが、このデザイン登録番号をたどっていっても、やはり1922年から数年前の登録年にたどり着けるはずです。 このアンティーク シルバーには製作年を示す手掛かりが多く残されており、こういうことが可能なのは、過拒料の整っている英国アンティークならではの面白さの一つであろうとも思うのです。
『LOOK FORWARD (前を見よ)』 スターリングシルバー ティースプーン with ブリティッシュ シルバー ホールマーク


No. 16154 ジョージO世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 13.3cm、重さ 12g、ボール部分の長さ 4.5cm、最大横幅 2.6cm、柄の最大厚み 2 mm、1798年 ロンドン、Samuel Godbehere & Edward Wigan作、SOLD
このスターリングシルバー ティースプーンは、今から210年以上前の1798年作で、世界jで言えばフランス革命の頃にあたりますので、英吉利物屋の扱い品でもかなり古い品になります。

二世紀以上前にはティースプーンとして使われた品ですが、全長が13.3センチにボール部分の長さが4.5センチもあり、現代的な感覚からはティースプーンとしてはかなり大きいので、デザートスプーンやジャムスプーンとしてもお使いいただけるでしょう。 また、タ際にお茶の席でティースプーンとして見かけると、その存在感が印象的で、裏面のブリティッシュホールマークとあわせて、珍しくて話題性のあるアンティークとなります。

ハ真二番目に見えるホールマークは順に、Samuel Godbehere & Edward Wiganのメーカーズマーク、ジョージO世の横顔でデュティーマーク、1798年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

二十一世紀に入り2012年ともなった今日から振り返ると、1900年代の品でもなく、1800年代の品でもない、1798年に作られているのは、やはり飛び切り古いアンティークという気がします。 そして、舶ィ館に飾られるようなアンティークシルバーはいざ知らず、рスちが収集していけるアンティークシルバーウェアとしては、その出現頻度には1780年辺りにボーダーラインがありますので、その意味でも写真の銀スプーンの古さは一級品といえましょう。

大きな時代の流れのなかで、このアンティークの位置づけについては、英国アンティーク情報欄にあります「37. アンティークと歴史経済の大循環について」をご覧になってください。

英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、この銀のスプーンが作られた時代は、イギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。 

一つには産業革命の影響で英国ミ会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージO世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍ヤをかけました。 

18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死メが五百人を超える惨魔ニなって革命一歩手前だったようです。 さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが使われていた頃というのは、おっかなびっくり隣国フランスの様qを窺いながら、当桙フイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国jがそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。

それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当棊ャ行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心v考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄にあります「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記魔、またジョージO世とデュティーマークについては、 「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記魔フ後半もご参考ください。

ジョージO世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


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