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アンティーク シルバー スプーン(1)


No. 19107 マッピン&ウェブ P&O シルバープレート テーブルスプーン
長さ 21.0cm、最大横幅 4.5cm、重さ 80g、ボール部分の長さ 7.6cm、ボールの深さ 1.2cm、柄の最大幅 1.35cm、柄の最大厚み 3mm、エドワーディアンから1930年代頃の英国製、Mappin & Webb作、一万二千円

マッピン&ウェブ作になるシルバープレートのテーブルスプーンです。 柄の裏面には「Mappin & Webb」の刻印と 「P&O」の刻印があることから、マッピン&ウェッブのシルバープレート テーブルスプーンで、「P&O」のオーシャンライナーで使われていた品と分かります。 

M&Wのシルバープレートでオーシャンライナー仕様品というのは、デートレターはなくても、M&Wや船会社の事業の盛衰から、年代がある程度推定できるという意味で、とても興味を惹かれます。 デートレターがなくても、歴史の流れを考察することによって、使われていた時代が見えてくる。 五十年、百年が経った時に、こういう品こそが、本当に興味深いアンティークなのではないかと思います。

詳しくは以下に述べるとして、使われていたのは、エドワーディアンから1930年代あたりまでの時代と考えられます。

なお、「P&O」とは、1822年創業のイギリスの船会社 Peninsular and Oriental Steam Navigation Company を意味しています。

旅客機が登場する前の時代においては、例えばイギリスからアメリカに向かう大西洋航路を行き交った豪華客船 オーシャンライナーは、映画 『タイタニック』を見るまでもなく、国と国を結ぶ交通の花形でありました。 

考えてみると、日本航空や全日空のなかった時代のことですから、文部省の官費留学生として英語研究の為にイギリス留学した夏目漱石などは、香港、シンガポール、インド洋、スエズ運河、地中海を経由して、フランス上陸後は鉄道を使って、三ヵ月ほどかけてイギリスまで旅しております。 

百年前の船会社と言うのは、やっぱり格好いい、憧れの職場だったことでしょう。 当時の船会社は、海外旅行をする人々を運ぶ旅客輸送と、船荷の輸送を合わせて行う会社であって、例えて言えば、日本航空と日本郵船と日本通運が一緒になったような役割を果たしていました。

旅客輸送を航空機に取って代わられる以前の、船会社のステイタスを想像してみることが、写真のアンティークを見る上で役に立ちます。 ノスタルジーを感じさせてくれる客船関連のアンティークとでも言いましょうか、私はこういう品が好きなので気になります。 旅が好きなもので、ノスタルジックな船旅には特に興味を惹かれます。 イギリスのサザンプトンからフランスのノルマンディーまで船でたびたび渡りました。 ドーバー海峡をフェリーで船旅というのも、時間はかかるけど味わいがあって楽しいものです。 そういえば、日本では横浜港からロシアのナホトカまで船旅したこともありました。 

M&Wのシルバープレートでオーシャンライナー仕様品というのは、デートレターはなくても、M&Wや船会社の事業の盛衰から、年代がある程度推定できるという意味で興味を惹かれます。

英米を結ぶ大西洋航路のオーシャンライナーは1960年代に、ついに消えてしまったわけですが、勢いがあったのは1930年代までで、その後は下り坂でした。 オーシャンライナーが衰退していく過程で、M&Wは高級品メーカーになっていく途上にありました。 下り坂と上り坂が交錯しあう辺りが、M&Wからオーシャンライナー仕様のシルバープレートウェア供給が止まった限界点だったと考えられます。

マッピン&ウェブについては以下の記事をご参考ください。
http://www.igirisumonya.com/punch.htm

ついでながら、旅客機について一つ思うこと。 1980年代には例えばルフトハンザの機内食で使われるスプーンやナイフやフォークは、エコノミークラスに到るまですべてスティール製が供されていたことを覚えています。 今ではコスト削減で、使い捨てのプラスチック製が普通でしょう。 それどころか、かつてオーシャンライナーを駆逐した航空会社そのものが、一国に一つの航空会社が必要なのかどうかまで問われる時代になってきました。 ナショナル・キャリヤーなんて言葉があったのは今は昔という感じで、欧州各国の航空会社は合併が進んでいます。

客船や旅客機で使われたスプーン一つから、ノスタルジックな昔を思い、世の中の動向についても、いろいろと考えてみることが出来るのは楽しいことと思います。

旅の手段と言えば、船、飛行機、鉄道、自動車でしょうか。 旅関連のアンティークで、客船もの、航空機もの、鉄道もの、自動車ものコーナーを作ってみたい気がしています。
マッピン&ウェブ P&O シルバープレート テーブルスプーン


No. 19191 シルバープレート ティーキャディー スプーン
長さ 7.6cm、重さ 18g、最大横幅 3.1cm、エドワーディアン頃の英国製、
エドワーディアンの頃に作られた英国製のティーキャディー スプーンです。

写真二番目に見えるフォルムからして、チーズスクープとして使ってもよさそうと思います。

柄の裏面には、メーカーズマークと「EPNS」の刻印があります。 EPNSとは、Electro-plated Nickel Silverを意味しています。
シルバープレート ティーキャディー スプーン


No.19308 ピアストワーク ブライトカット &シェルモチーフ シルバープレート サービングスプーン SOLD
長さ 15.4cm、重さ 24g、ボール部分の最大横幅 4.45cm、深さ 1.0cm、透かし柄の最大幅 2.2cm、SOLD

ジャムスプーンとしては、やや大きめなので、このアンティークの一番の特徴である豪華な雰囲気を最大限に活用して、パーティーの際にオードブルサーバーとしてお使いいただくのがよさそうです。

透かし柄の最大幅は2.2センチと、かなり幅広、ゴージャスなピアストワークが目立って、印象深いアンティークに仕上がっています。 シルバープレートの品ながら、これほど素晴らしい透かし細工のサーバーに出会える機会はそれほどなく、現代ではもはや作りえないという点で希少性を感じます。
ピアストワーク ブライトカット &シェルモチーフ シルバープレート サービングスプーンピアストワーク ブライトカット &シェルモチーフ シルバープレート サービングスプーン


No. 19313 ユリの花 モチーフ フレンチ アール・ヌーボー シルバー サービングスプーン with ゴールドギルト*
長さ 16.4cm、重さ 34g、ボール部分の直径 5.4cm、深さ 0.9cm、柄先部分の最大幅 1.15cm、19世紀終り頃のフランス製、
19世紀の終り頃に作られたフレンチ アール・ヌーボー アンティークになります。 フランス製シルバーであることを示すフレンチ シルバー ホールマークがしっかり深く刻印されていることはポイントです。

デザイン性の高いシルバー サービングスプーンで、全体にゴールドギルトが施してあります。 ボール部分の手彫りのエングレービングは、デフォルメされたユリの花 モチーフです。 いかにもなアール・ヌーボー デザインで、ゴールドギルトの装飾と合わせて、ゴージャスな雰囲気に仕上がっております。 

1838年に導入されたフランス製シルバーのスタンダードマークにはいくつかの種類があります。 大きめな銀には知恵と武勇の女神、ミネルバの横顔マークを、そして比較的小さな銀には「いのししの頭」あるいは「蟹」のマークが刻印されます。 また、大小ともに菱形のメーカーズマークを刻印するようにも定められています。 

このシルバーウェアは大きめな銀製品に分類され、ボール部分内側の柄元から右閧ノは、ミネルバの横顔マークがしっかり深く刻印されています。 また、同じくボール部分内側の柄元から左手には、菱形のメーカーズマークが見えます。

フランス アンティークのシルバーウェアは華麗だけれども華奢な雰囲気の品も多いものですが、このジャムスプーンはしっかり出来ています。 柄先の透かし飾りの下は、断面が一辺 5.5ミリの正方形になったソリッドシルバーで、閧ノしてみると重厚な銀の質感が伝わってきます。 また、ボール部分も1ミリ繧フ厚みがあることから、全体としてしっかり出来た印象の品になっています。 

上部の透かし飾りは、正方形の四頂点に対応した四本のブリッジで構成されており、珍しい細工と思います。 ボールはパラボラ状構造で、柄元からボールの先端に向かって三分の一ほど行った辺りが最も窪んだ形状になっています。
ユリの花 モチーフ フレンチ アール・ヌーボー シルバー サービングスプーン with ゴールドギルト


No.19110 スターリングシルバー ジャムスプーン with ピアストワーク
長さ 13.8cm、重さ 18g、最大幅 3.4cm、透かし柄の最大幅 1.7cm、ボールの深さ 6mm、1912年 シェフィールド、Martin, Hall & Co Ltd作、

今から百年以上前に作られたスターリングシルバーのジャムスプーンになります。 

柄に施されたピアストワークが印象的な美しさとなっていますが、幅のある柄先から一気にくびれたシェイプからみても、エドワーディアン好みに仕上げられたジャムスプーンと感じます。 正式にはエドワーディアンの時代が終ってから二年後に作られていますが、まだ第一次大戦が始まる前の頃で、様ョ的にも時代の雰囲気からみてもエドワーディアンの作と言ってよいでしょう。

ハ真O番目に見えるホールマークは順uAMartin, Hall & Co Ltd」のメーカーズマーク、1912年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークになります。

このジャムスプーンを作ったシルバースミスの歴史を知ると、ヴィクトリア梠繧フ銀工房のあり方の一端が分かって興味深いので、ご紹介してみましょう。 

「Martin, Hall & Co Ltd」の前身はジョン・ロバーツが1820年に始めた銀工房です。 ジョンには後継ぎがなかったので、ダービーシャーにあった中等学校の校長宛に、頭の良い若者がいたら後継ぎ候補に紹介してほしいと手紙を書きました。 学校長の紹介でジョンの徒弟に入ったのが、当・6歳のエベネザー・ホールで、1836年のことでした。 

彼は10年間の修業を積んだ後に、親方であるジョンと対等なパートナーに昇格して、工房名も「Roberts & Hall」となりました。 ロバーツの引退後には、新たにリチャード・マーチンをパートナーに迎えて、「Martin, Hall & Co Ltd」へと発展していきました。 そしてこの頃には1851年の万国迫莱・A1862年のインターナショナル エキシビジョン等に出展するシェフィールドの有名メーカーになっていたのです。

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in four years. (この品はあと四年でアンティークになります。)」というような言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年撃フ経過は大きなメルクマールになりますので、こういう会話がなされる機会も多いのです。 

ハ真の銀製品が作られたのは1912年ですから、正式なアンティークに昇格した物品ということになります。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この銀のジャムスプーンには、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

歴史を振り返ってみますと、この品が使われたのは第一次世界大戦の頃になります。 その頃の出来魔ニして、今から百年前の1912年にはタイタニック号氷Rに衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。
スターリングシルバー ジャムスプーン with ピアストワーク


No. 19109 スターリングシルバー ジャムスプーン
長さ 14.1cm、重さ 24g、ボール部分最大幅 3.1cm、柄の最大幅 1.4cm、柄の最大厚み 3mm縺A1921年 シェフィールド、James Deakin & Sons Ltd作、
今から九十年以上前に作られたスターリングシルバー ジャムスプーンです。 品のよさが感じられ、気に入りました。 ボール部分の手彫りエングレービングは美しく、柄の周囲に施されたブライトカット様の彫刻も光に映えr畉麗です。 ボールサイドに入った切れ込みのノッチ構造や、しっかりと持ちはかりのある作りなど、英国アンティーク ジャムスプーンの典型といえる雰囲気があります。 

柄は最大で3ミリほどの厚みがあって、ジャムスプーンとしては厚めに出来ており、ボール部分の銀の厚みなど含めて、純銀をしっかり使ったふっくら系のジャムスプーンと思います。 ハ真l番目で見えるように、柄の周囲にはフェザーエッジ様の彫刻が美しい光の反射をもたらして、品のよさを感じさせます。

ハ真二番目のように、裏面には四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順uAJames Deakin & Sons Ltd」のメーカーズマーク、1921年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークになります。

「James Deakin & Sons Ltd」は1865年にジェームス・ディーキンによってシェフィールドで創業されたのが始まりです。 1886年には彼の三人の息子達、ウィリアム、ジョン、アルバートもパートナーに加わり、ファミリービジネスとして上述の社名に変更し、幕ニは順調に発展していきました。 1888年にはロンドンx店開設、ヴィクトリア後期の1890年代には、スコットランドのグラスゴーとアイルランドのベルファストにも支店を開設しています。 

しかし多くのシルバースミスがそうであったように、幕ニのピークは英国の国力がピークであったビクトリア後期からエドワーディアンの時代にあったようです。 その後は事業を次第に縮小していき第二次世界大戦が始まった1940年には店を閉めました。 メーカーズマークの「JD WD」はJohn & William Deakinのイニシャルになっています。

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in ten years. (この品はあと十年でアンティークになります。)」という言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年撃フ経過は大きなメルクマールになりますので、上記のような会話がなされる機会も多いのです。 

このシルバーウェアが作られたのは1921年ですから、正式なアンティークに昇格するまでにあと数年が必要になる計Zです。 しかし、気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、このセットには、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

ハ真のジャムススプーンが作られた当桙フイギリスはどんな様qであったのか、アンティークの歴史的背景を知っていく上で参考になる、とてもよい映像送ソを一つご紹介しておきましょう。 デイビット・スーシェ蜑奄フポワロシリーズ『The Mysterious Affair at Styles (スタイルズ荘の怪事件)』です。 

原作は1920年に書かれており、梠辮ン定は第一次世界大戦(1914年-1919年)の後半、舞台はイギリスの美しい田園地帯にある村と、そこにあるマナーハウス(領主館)となっております。 一般にポワロシリーズは1930年代のイギリスに時代設定しているのですが、この話は「名探偵ポワロ登場」とも言うべき記念の第一作であって、原作通りに1917年か18年頃のイギリスを描いています。

そうなると、他の作品群と違って1910年代のイギリスが見られるのが著しい特徴です。 戦争のために祖国を離れて疎開してきている外国人たちの様qは、当桙フイギリスミ会の状況を映しております。 また、登場するクラシックカーを見るだけでも価値ありと言うイギリス人の友人もおります。 確かに1910年代のクラシックカーは、30年代と比べると一段とアンティークです。 クラシックカーのみならず、乗り合いバスや病院馬ヤなども登場して趣向が凝っています。 

また、マナーハウスの庭でのアフターヌーンティーの様qは楽しいですし、まだ電灯が普及していなかった時代ですので、ランプとロウソクというアンティークな暮らしの描かれ方にも興味を惹かれます。 ロウソク燭台やオイルランプ、夕方になって薄暗くなってもランプを付けない当桙フ暮らし、ディナーテーブルの様q、夜間も電灯はないのでロウソクを持ち歩いたり、ランプに灯を入れたりします。 梠纃l証のしっかりした映像作品を見ることは、アンティークの勉強に役立ちます。
スターリングシルバー ジャムスプーン


No.18939 アール・ヌーボー リリーパターン ヴィクトリアン シルバープレート テーブルスプーン エルキントン 1851年作
長さ 21.9cm、重さ 86g、ボール部分の最大幅 4.7cm、ボール部分の長さ 7.7cm、柄の最大横幅 2.7cm、1851年 エルキントン作、

ゆりモチーフのレリーフが華やかで、その優雅な曲線デザインを特徴とするシルバープレート テーブルスプーンです。 両面に見えるデザインの特徴から「Lily pattern(ゆりパターン)」と呼ばれます。 興味深いデザインであることに加えて、160年以上の時を経て現代に至っているアンティークであることも、この品の魅力を高めているように思います。 

キングスパターンやフィドルパターンといったメジャーなパターンではなく、マイナーパターンの一つなので、アンティーク シルバーウェアの参考書では紹介されることがあっても、タ際に見かける頻度はそう多くありません、その意味でもレア物アンティークの一つ言ってよいでしょう。 

アール・ヌーボーの歴史を紐解くと、ゆりデザインは大きな役割を果たしてきました。 「Lily pattern(ゆりパターン)」は、エルキントンという有名どころのシルバースミス(銀工房)が、1850年に考案しデザイン登録したのが始まりです。 そしてChawner & Co.のパターンブックでは 「Lily pattern」と名前が付けられて、世に知られるようになった経緯があります。 ヴィクトリアン中期のNaturalism(ゥ然蜍`)を代表するデザインで、アール・ヌーボーにダイレクトな影響を与えたデザインと言われます。

普段gいの一本として、例えばカレーを食べたり、タ用品としてお使いいただいてもかまいませんが、いくつかの点から見て、ハ真のアンティークはミュージアム ピースにもあたろうかと、考えております。

(1) 今から160年以上昔のヴィクトリアン初期にあたる1851年作と特定できること。
(2) エルキントンがエレクトロプレート技術を使い始めて、ごく初期のシルバープレート製品であること。
(3) アール・ヌーボーの潮流にダイレクトな影響を与えたとされるリリーパターンのデザインが考案された当桙フデビュー品であり、アール・ヌーボーの先駆けとなった品であること。

以前にリリーパターンのティースプーンをご紹介したことがありますが、そこで書かれていた内容が、裏付けられるヴィクトリアーナとして、レアな一品であります。 

ハ真l番目をご覧いただくと、「菱形にM」マークがエルキントンのデートレターで1851年作を示しており、このM刻印ははっきりと判読できます。 エルキントンのメーカーズマークは読み取りにくいところもありますは、17170 エルキントン スプーンと同型品であり、刻印の並び方や、読み取り可能な部分から判断して、1851年エルキントン作で間違いありません。

スプーンをテーブルに置いたときの接地面にあたる所にはシルバープレートが薄くなったりなかったりしますが、わずかな部分であり、全体として見て十分なる美しさをを備えています。

160年以上の年撃ェ経過して、このコンディションを保っているとは、エルキントンのシルバープレート技術の高さを伝えていますし、そもそもシルバープレートの銀がかなりの厚みをもっているのだろうと見ております。

菱形に「M」のマークが、1851年作であることを示す刻印で、これはエルキントン独自のデートレター システムによっています。 シルバープレートの品においては、その大半が、もっと言えばおそらく99%以上の品では、製作年を特定することは出来ません。 エルキントンの品であっても、デートレターのある場合と、ない場合があります。

そうした事情の中で、1851作と特定できる写真のテーブルスプーンは、アンティークとしてめったにない優れた特徴を有していると言えましょう。 1851年といえば、日本はまだ江戸時代、二年後の1853年にペリー率いる四隻の黒船が浦賀に来航しておりますので、まあ、とんでもなく古い品だと言えるでしょう。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 ハ真のスプーンは正式な‘アンティーク’の仲間入りを果たしているどころか、二百年も見えてきております。 気に入った古いものを使っていくうちに、さらに時を経ていくことはコレクターの喜びとも言え、このシルバープレート アンティークにはそんな楽しみ方もあると思うのです。

エルキントンのアンティークは、岩波文庫の『特命全権大使米欧回覧タ記(二)』を手元において楽しまれることをお勧めしたいと思います。 ヴィクトリア梠繧フイギリスの様qがサムライ梠繧フ日本人によって報告されたアンティークな読み物です。

ヴィクトリア梠繧フイギリスは資本蜍`の発展を背景に、新たな発見や発明が社会を引っ張っていった躍動的な時代でありました。 そうした中でこの品を作ったエルキントンは、当桙フ英国ミ会の雰囲気を体現するようなシルバースミスであったので、その歴史には大いに興味を惹かれるのです。 さらに明治時代の文明開化の頃の日本とも繋がりがあったことから親しみを感じます。

明治維新から数年後の1872年に、欧米の進んだ制度や技術について見聞を広げ、新政府の政策に活かすことを目的として、岩倉具視を代表とする使節団が欧米に派遣されました。 g節団は一年十ヶ撃ノ及ぶ大旅行をして、米、英、仏、独等、当桙フ先進国を見て回り、イギリスには四ヶ倦リ在しました。

イギリスでの見聞記録は岩波文庫の収録されており、『特命全権大使米欧回覧タ記(二)』として今日でも、この130年前のアンティークな記録を読み返すことが出来ます。 380ページに及ぶ大著ですが、すべては当桙フ英国の制度や技術を日本人の手で分析し報告したものです。 g節団は、先進的な制度や技術を見学させてもらいながら、ロンドンからスコットランドまで見て回っています。 当桙フ日英の格差は圧倒的でしたから、見るもの聞くもの、驚きの連続だったはずです、冷静な分析ながらこの書物の随所にその様qが現われています。

エルキントンミは当梔p国でも一流の会社に成長しており、エレクトロプレートの技術を独占する会社として、g節団の工場見学のスケジュールに加えられていました。
報告書はエレクトロプレート技術にページを割いて詳細な報告を行っていますが、今読んで興味深いのはその先のくだりです。

『エルキントンの金銀器製造場に至る……(エレクトロプレート技術に関する詳細な報告は中略)……また、この場に日本の銅器、象嵌細工、オ宝塗り等をあまた蓄え、苦心して模造をなせり。銅細工の場に、日本の紫銅の火鉢に、・部石山日記の図を彫刻したるものあり、……(中略)……その模鋳せるあり、その顔貌は真物に異ならず。凡そ西洋にて模造をなすものは、その原品の名誉ある証なり。ミ中の人より、日本にて象嵌の細工は、いかなる秘術ありて之をなすや、この場にて種々に術をかえて、模造すれども似ずとて、しきりにその術を学ばんことを望めり。また七宝塗りを模造せる場において、贋造と真物とを並列して、覧定せんことを要求せしによって、之を見るに鳳凰桐葉の画なるを、只に一の花紋を模するかの如くに模描し、一目にて真仮は判然なりしかば、皆その似ざることを嘆息せり。また柿本人麻呂像を持ち出して、その人は何人にて、略伝如何を問いけるにより、千二百年前の高名な歌人であることを述べたれば、喜びて筆記し、之に付甕したり。』

英国の先進技術を見学に行った使節団が、逆に日本の工芸技術について、エルキントンのイギリス人技術メから質問攻めにあって、多いに面目をほどこした様qが見て取れます。 柿本人麻呂の挿話に至ってはそのほほえましい情景が眼に浮かび、当桙フ日本人でなくても鼻が高い思いです。

エルキントンについては、英国アンティーク情報欄にあります「31. 『Punch:1873年2・2日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」と「10. エルキントンミのシルバープレート技術と明治新政府の岩倉g節団」の解説記魔烽イ参考ください。
アール・ヌーボー リリーパターン ヴィクトリアン シルバープレート テーブルスプーン エルキントン 1851年作


No. 19108 ヴィクトリアン シルバープレート スプーン (ヴィクトリア女王 ダイヤモンド ジュビリー コメモレーション) 一部 SOLD
長さ 13.4cm、重さ 23g、ボール部分長さ 4.5cm、最大幅 2.8cm、深さ 7mm、柄の最大幅 1.9cm、1897年 英国製、 (6本あります-->4本あります-->2本あります。)
ヴィクトリア女王の戴冠60・Nを記念したダイヤモンド ジュビリー コメモレーションのシルバープレート スプーンです。 柄先にはヴィクトリア女王が即位した1837年とダイヤモンドジュビリーの年である1897年の二つの年が、王冠とヴィクトリア女王の横顔と共にレリーフしてあります。 

シルバープレートものではありますが、23グラムと持ちはかりがあって、柄のデザインもよろしい、重厚な雰囲気のスプーンに仕上がっております。 コメモレーションものであることから製作年が特定できることもアンティークとして良い特徴になっています。 イギリスにはヴィクトリア梠繧フアンティークを指して「Victoriana」というアンティーク分野がありますが、この品はヴィクトリアーナのベーシックとも言えましょう。

重さが23グラムというと、かなりの持ちはかりであり、ティースプーンとして使うには、ちょっと大き過ぎると感じるのが、現代人の感覚かと思います。 ヨーグルトを食べたり、普段gいの一本としてお使いいただけるでしょう。 お茶にあわせて使ってみると、その存在感は圧倒的なので、これまたヴィクトリア梠繧ノ思いを馳せるに、よきアンティークであって、話題性の面でもおすすめできるヴィクトリアーナです。 

ダイヤモンド ジュビリーの盛大な催しは1897年6・2日に行われました。 ヴィクトリア女王のパレードはバッキンガム宮殿からセントポール實@を経て、ロンドンブリッジを渡り、テムズ川の南にまで進み、沿道は大変な賑わいだったようです。 女王は日記に以下のように記しています。 『今日私が人々から受けたような熱烈な喝采を、これまで受けた者はいないだろうと思う。 沿道の人たちの歓喜は大変なもので、人々の顔は真の喜びで満ち溢れていた。 рヘとても心を動かされ、満たされた気揩ソになった。』

ヴィクトリア女王は若干18歳で英国王になりました、それから1901年までの64年間がヴィクトリア梠繧ナす。 彼女が国王になった時、彼女ゥ身も、また多くの英国民も、その後のこの国の大発展を予期していなかったろうと言われています。 しかし実際にはヴィクトリア女王の治世に、英国は大いに伸長し、世界j上これまでなかった規模の大帝国となりました。
テクノロジーの面でもヴィクトリアンの頃は大発明時代で、今見ても驚くような立派な発明から、笑ってしまうような発明までいろいろあって、この時代のダイナミックさには大きな魅力があるのです。 「Victoriana」というアンティーク分野があるのも、さもありなんです。

1861年にはヴィクトリア女王の夫君であったアルバート公が亡くなっています。この年を境にクィーン・ヴィクトリアの人生に大きな変化があったことは想像に難くないでしょう。 タ際のところ、その変化はとても大きなものでした。 ヴィクトリア女王はそれから二十年以上の長きにわたって喪に服したのです。 晩年のヴィクトリア女王というと、黒い衣装を着た姿を思い浮かべる英国民が多いのはそのためです。 

しかしそれはヴィクトリア女王のアルバート公との暮らしがそれだけ幸せであったことの裏返しでもあります。 ドイツ出身のアルバート公は「simple & strict」な家庭生活をとても大切にする夫君でした。 二人の間には九人の子供が生まれ、家族ともどものFamily Excursion(遠足)のほほえましい様qなどは、当桙フ英国民にとって良き模範となったのです。

ついでに、今では世界中に広まったクリスマスツリーは、元々はドイツのローカルな風習で、それをまずイギリスで普及させたのはヴィクトリア&アルバート夫妻です。

当桙フ英国の様qについては、「英国アンティーク情報」欄 「13. 英国陶器の街とクリスマスのアンティークな見方」と「14. Still Victorian」の解説記魔熏椹てご覧ください。
ヴィクトリアン シルバープレート ティースプーン (ヴィクトリア女王 ダイヤモンド ジュビリー コメモレーション)


No. 19219 フランス製 アール・ヌーボー バターナイフ、ジャムスプーン with シルバーハンドル
バターナイフ長さ 19.1cm、重さ 35g、スプーンの長さ 16.3cm、重さ 36g、19世紀終りころのフランス製、

フレンチ アール・ヌーボーのバターナイフと、コンポートスプーンで、ハンドルはともに銀製です。

バターナイフの用途は、バター以外にも、カマンベールチーズなどにチーズスクープ代わりにもよさそうです。 スプーンは果物のコンポートをサーブ、ジャムスプーンとして、そしてオリーブサーバーにもよいでしょう。

二点ともブレード左の柄に近い辺りに長方形のメーカーズマークが刻印されています。 また、柄の付け根部分には、フランス製シルバーのスタンダードマークである知恵と武勇の女神、ミネルバの横顔が刻印されています。

歴史的に見てフランスは英国と同程度の富と力を持った国ですが、シルバーウェアという観点からは、英国と比べてその数がとても少ないのは不v議なことです。 パリで有数と言われるクリニャンクールのアンティークマーケットに行っても、シルバーウェア部門の貧繧ウには驚かされます。

政治や経済が安定していた英国と比べて、歴史上大きな革命を繰り返してきたフランスでは、銀器が受け継がれていく伝統が薄かったのでないかと思われます。

セットでないバラの品は時に見かけますが、そうは言っても、フランス製シルバーは英国製と比べて、数は圧倒的に少ないようです。 これは私の居所がイギリスだからというわけではなく、フランス国内でもパリのクリニャンクールのみならず、地方のアンティークフェアにも行ってみましたが、フランス銀器はあまりないというのが印象です。 ただ、これは比較の問題で、英国アンティーク銀器の豊富さがむしろ異常で、フランスは普通なのかも知れませんが。
フランス製 アール・ヌーボー バターナイフ、ジャムスプーン with シルバーハンドル


No. 19111 ヴィクトリアン スターリングシルバー スプーン with ピアストワーク SOLD
長さ 8.9cm、重さ 8g、ボール部分の長さ 2.4cm、透かし柄の最大幅 1.85cm、ボールの深さ 5mm、1900年 ロンドン、Goldsmiths & Silversmiths Company作、SOLD

今から百二十年近く前に作られたヴィクトリアン スターリングシルバーの薬味匙です。 ブリティッシュ ホールマークは順にメーカーズマーク、1900年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてロンドン アセイオフィスのレオパードヘッド マークになります。

ヴィクトリア梠繧フイギリスでは、マスタードやホースラディッシュ用だったと思いますが、今日の日本で使うなら、オ味唐辛qなどにもよさそうです。 薬味の好きな方なら、毎日手にするお気に入りの銀になるでしょう。

あるいはまた、現代のコーヒースプーンは、ヴィクトリア梠繧ニ違って、小振りなものが多いですから、21世紀の今日では、コーヒー用のスプーンという用途もありかと思います。

小振りな銀でありますが、タ際に手にしてみると、透かしや柄の部分の銀には厚みが感じられて、けっこうしっかり出来ているのは好印象です。

さらには、有名メーカーである「Goldsmiths & Silversmiths Company」の作であることも気に入りました。 

ヴィクトリアン後期にあたる1880年当栫A「Goldsmiths & Silversmiths Company」はリージェント・ストリート 112番地に店を構えておりました。

リージェント ストリートは、東京の銀座通りのようなもので、ヴィクトリア梠繧ノあってもロンドンで最もポッシュな界隈であったわけで、そこに店を構えていたこと自体が、「Goldsmiths & Silversmiths Company」の規模の大きさを示していると言えます。 エドワーディアンの時代には、クライアントはふかふeグ毯とダーク マホガニーの階段を上って、その先の素晴らしく豪華な専用ティールームに案内されたということで、当桙フゴージャスな雰囲気を伝えるエピソードです。

ちなみに現在のリージェント ストリート112番地は、地下鉄のオックスフォード サーカス駅から、ピカデリー サーカス駅に向かって、リージェント ストリートを下って歩いていくと、左手にLibertyがあって、もう少し先におもちゃ屋さんのHamleysがありますが、さらに歩いていって、ピカデリーの手前で通りが大きく左に曲がっていくあたりになります。

ロンドンに行かれた方なら、まず間違いなく観光で歩いている界隈と思います。 今でも立派な建物が左右に立ち並ぶ界隈ですが、リージェント ストリートの外観は写真の銀スプーンが作られた当桙ニほとんど変わっていません。 アンティークを手にしながら、そんなこんなに思いをいたしてみるのは楽しいものです。

「Goldsmiths & Silversmiths Company」は1880年創業のシルバースミスですが、銀製品の他にゴールドやジュエリーの分野でも名を馳せていて、チャールズ・ウォーラル≠フように40年以上にわたって人気を狽オたデザイナーも抱えていました。 また、この会社のビジネスはそれだけに止まらず、ウォッチやクロックのメーカーでもありましたし、さらには貴金属やダイヤモンドのトレーディングも手がけていました。 「Goldsmiths & Silversmiths Company」という名前から、ちょっと普通の銀工房ではないような、大きなビジネスの規模を感じるのですが、それはまさにその通りであったわけです。

この品が作られたヴィクトリア梠繧フ背景については、「英国アンティーク情報」欄の「31. 『Punch:1873年2・2日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14.Still Victorian」の解説記魔烽イ参考ください。

ヴィクトリアン スターリングシルバー マスタード スプーン with ピアスト ワーク


No. 19194 シェルデザイン & ピアストワーク 花一輪 シルバー スプーン with クラウン&ムーン シルバーホールマーク
長さ 11.3cm、重さ 12g、ボール部分の最大幅 2.8cm、透かし柄の最大幅 1.45cm、柄の最大厚み 2mm、ドイツ製シルバーホールマーク付、
ボール部分のシェルデザインと、柄先に見える透かし細工に特徴があり、透かし下方にはワンポイントの小花デザインが可愛らしく、バランスのよさを感じさせるシルバー スプーンです。 

柄の裏面にはドイツ製シルバーのスタンダードマークである「クラウン&ムーン」刻印されています。 また、その横には銀純度80%を示す「800」マークの刻印があります。

小振りな品ながら、素材の銀が厚めで手にしたときのしっかり感は好印象と思います。

シェルのモチーフは、12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。
シェルデザイン & ピアストワーク 花一輪 シルバー ジャムスプーン with クラウン&ムーン シルバーホールマーク



No. 19106 Mappin & Webb ヴィクトリアン シルバープレート ジャムスプーン
長さ 15.3cm、重さ 35g、ボール部分の最大横幅 3.6m、深さ 6mm、柄の最大厚み 3.5mm、透かし柄の最大幅 1.8cm、Mappin & Webb作、1887年から数年以内に作られた英国製、
一般にシルバープレートの品においては、メーカー名が分からないことの方が多いものです。 しかし、このジャムスプーンの場合には、柄の裏面に「Mappin & Webb」のメーカーズマークがあって、アンティークとして好ましい特徴になっています。

マッピン&ウェブの作ということで、しっかり出来たジャムスプーンとなっており、メーカーの名前の良さもありますので、рヘお薦めしたいと思います。 

ハ真二番目でボール裏面に見える小さな文字は、「MAPPIN & WEBB」と「PRINCES PLATE」です。 さらにデザイン登録番号「Rd.71552」が刻印されていて、この番号から1887年4撃ノ登録されたMappin & Webbのデザインであることが分かります。

「Mappin & Webb」は言わずと知れた有名メーカーですが、その歴史は興味深いので、少し振り返って見ておきましょう。

マッピン関連のアンティークを扱っていると、「Mappin & Webb」とよく似た名前の「Mappin Brothers」というシルバースミスに出会うことがあります。 「Mappin Brothers」は1810年にジョセフ マッピンが創業した工房で、彼には四人の後継ぎ息子がありました。l人は上から順にフレデリック、エドワード、チャールズ、そしてジョンで、年長の者から順番に父親の見習いを勤めて成長し、1850年頃には引退した父ジョセフに代わって、l兄弟が工房を支えていました。

ところが末っ子のジョンは、工房の運営をめぐって次第に兄たちと意見が合わなくなり、ついに1859年には「Mappin Brothers」を辞めて独立し、「Mappin & Co」という銀工房を立ち上げました。 以後しばらくの間、「Mappin Brothers」と「Mappin & Co」は「元祖マッピン家」を主張しあって争うことになります。

しかし最初のうちは「Mappin Brothers」の方が勢力があったこともあり、1863年には末っ子ジョンの「Mappin & Co」は「Mappin & Webb」に改名することとなりました。 Webbというのはジョンのパートナーであったジョージ ウェブの名から来ています。

「元祖マッピン家」問題では遅れをとったジョンでしたが、兄たちよりも商売センスがあったようです。 スターリングシルバー製品以外に、シルバープレートの品にも力を入れ、目新しい趣向を凝らした品や新鮮なデザインの品を次々と打ち出し、しかも宣伝上手だったのです。 ヴィクトリアン後期には当桙フ新興階級の間でもっとも受け入れられるメーカーに成長し、それ以降のさらなる飛躍に向けて磐石な基盤が整いました。

20世紀に入ってからの「Mappin & Webb」は、「Walker & Hall」や「Goldsmiths & Silversmiths Co」といったライバルの有名メーカーを次々にその傘下に収めて大きくなり、今日に至っています。 また「Mappin Brothers」ですが、梠繧フ波に乗り切れなかったのか、1902年には「Mappin & Webb」に吸されてしまっています。

シルバープレートウェアについては、アンティーク情報欄にあります「10.エルキントンミのシルバープレート技術と明治新政府の岩倉g節団」の解説記魔烽イ参考ください。
Mappin & Webb ヴィクトリアン シルバープレート ジャムスプーン


No. 19057 エルキントン (Elkington) スターリングシルバー スプーン
長さ 14.4cm、重さ 33g、ボール部分の長さ 5.1cm、最大横幅 3.0cm、ボール部分深さ 0.9cm、柄の最大幅 1.7cm、柄の最大厚み 3mm縺A1936年 バーミンガム、Elkington & Co作、

ボール部分が細身かつ深めなタイプで、品のよさを感じさせます。 銀が厚くてふっくらした仕上がりは、シルバースミスの良さから来ているかも知れません。 今から八十年ほど前に作られた銀のスプーンです。

33グラムと持ちはかりがあって、閧ノしてみると、銀の質感が心地よいスターリングシルバー デザートスプーンです。 銀がたっぷり使われていることは、柄の部分のふっくらした銀の厚みを感じると分かりますし、ボール部分をさわってみても、同様に銀が厚いと思います。

昔のイギリス スタンダードではデザートスプーンの迫‘に入りますが、ボール部分の長さが5センチもあるのは、かなりの大きさで、現代の日本基準でいえば、カレーライスを食べたりするにも十分なサイズと思います。 

柄の部分にみえる植物は、バラの花、アザミの花、そして三つ葉のクローバーです。 シルバースミスの名前のよさと、ゴージャスでデザイン性の高いことから、パーティー用のオードブルサーバーとしてお使いいただくのも、話題性のある銀となって、よさそうに思います。 

ディナー or デザート用の普段gいとして、あるいはパーティーなど賑やかな席でオードブルサーバーとして、さらにはアイスクリームスプーンにも、多目的にお使いいただける一本になりましょう。

ハ真O番目に見えるように、ボール部分の裏面には、Elkington & Coのメーカーズマーク、バーミンガムアセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1936年のデートレターがしっかり深く刻印されています。 

エルキントンのアンティークは、岩波文庫の『特命全権大使米欧回覧タ記(二)』を手元において楽しまれることをお勧めしたいと思います。 ヴィクトリア梠繧フイギリスの様qがサムライ梠繧フ日本人によって報告されたアンティークな読み物です。

ヴィクトリア梠繧フイギリスは資本蜍`の発展を背景に、新たな発見や発明が社会を引っ張っていった躍動的な時代でありました。 そうした中でこの品を作ったエルキントンは、当桙フ英国ミ会の雰囲気を体現するようなシルバースミスであったので、その歴史には大いに興味を惹かれるのです。 さらに明治時代の文明開化の頃の日本とも繋がりがあったことから親しみを感じます。

明治維新から数年後の1872年に、欧米の進んだ制度や技術について見聞を広げ、新政府の政策に活かすことを目的として、岩倉具視を代表とする使節団が欧米に派遣されました。 g節団は一年十ヶ撃ノ及ぶ大旅行をして、米、英、仏、独等、当桙フ先進国を見て回り、イギリスには四ヶ倦リ在しました。

イギリスでの見聞記録は岩波文庫の収録されており、『特命全権大使米欧回覧タ記(二)』として今日でも、この130年前のアンティークな記録を読み返すことが出来ます。 380ページに及ぶ大著ですが、すべては当桙フ英国の制度や技術を日本人の手で分析し報告したものです。 g節団は、先進的な制度や技術を見学させてもらいながら、ロンドンからスコットランドまで見て回っています。 当桙フ日英の格差は圧倒的でしたから、見るもの聞くもの、驚きの連続だったはずです、冷静な分析ながらこの書物の随所にその様qが現われています。

エルキントンミは当梔p国でも一流の会社に成長しており、エレクトロプレートの技術を独占する会社として、g節団の工場見学のスケジュールに加えられていました。
報告書はエレクトロプレート技術にページを割いて詳細な報告を行っていますが、今読んで興味深いのはその先のくだりです。

『エルキントン♂・ミの金銀器製造場に至る……(エレクトロプレート技術に関する詳細な報告は中略)……また、この場に日本の銅器、象嵌細工、オ宝塗り等をあまた蓄え、苦心して模造をなせり。銅細工の場に、日本の紫銅の火鉢に、・部石山日記の図を彫刻したるものあり、……(中略)……その模鋳せるあり、その顔貌は真物に異ならず。凡そ西洋にて模造をなすものは、その原品の名誉ある証なり。ミ中の人より、日本にて象嵌の細工は、いかなる秘術ありて之をなすや、この場にて種々に術をかえて、模造すれども似ずとて、しきりにその術を学ばんことを望めり。また七宝塗りを模造せる場において、贋造と真物とを並列して、覧定せんことを要求せしによって、之を見るに鳳凰桐葉の画なるを、只に一の花紋を模するかの如くに模描し、一目にて真仮は判然なりしかば、皆その似ざることを嘆息せり。また柿本人麻呂像を持ち出して、その人は何人にて、略伝如何を問いけるにより、千二百年前の高名な歌人であることを述べたれば、喜びて筆記し、之に付甕したり。』

英国の先進技術を見学に行った使節団が、逆に日本の工芸技術について、エルキントンのイギリス人技術メから質問攻めにあって、多いに面目をほどこした様qが見て取れます。 柿本人麻呂の挿話に至ってはそのほほえましい情景が眼に浮かび、当桙フ日本人でなくても鼻が高い思いです。

エルキントンについては、英国アンティーク情報欄にあります「31. 『Punch:1873年2・2日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」と「10. エルキントンミのシルバープレート技術と明治新政府の岩倉g節団」の解説記魔烽イ参考ください。
エルキントン (Elkington) スターリングシルバー スプーン





No. 19330 ノルウェー製 シルバー サーバー with ゴールドギルト and ハンドエングレービング *
長さ 21.2cm、重さ 37g、最大幅 5.7cm、柄の最大幅 2.3cm、柄の最大厚み 4mm、M. OLSEN作、

北欧製のシルバーサーバーで、優美な曲線ラインが美しく、エングレービングもンY麗と思います。 裏面のホールマークはノルウェーシルバーの銀純度を示す「830」刻印と、M. OLSENのメーカーズマークになります。
ノルウェー製 シルバー サービングスプーン with ゴールドギルト and ハンドエングレービング

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