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スターリングシルバー ホールマーク と ジョージアンの国王たち

アンティーク シルバー ホールマークの見方を説明しています。 またジョージ一世、ジョージ三世はどんな人たちだったのでしょうか。


英国の車のナンバープレートにはアンティーク シルバーの伝統が息づいています。
この国のナンバーは例えばR651NLBとなっています。先頭のRは1998年に新車登録がなされたことを示し、その後に数字3つ、さらにアルファベット3つが続きます。

林望氏は著書の『リンボウ先生イギリスへ帰る』の中で、日英両国のナンバープレートを比較し、“地域の車の増加に伴いイタチごっこのように新しい登録事務所を開設する日本のシステム”に対し、“数字3つとアルファベット3つの組み合わせで約1700万通りの組み合わせが得られ、それに年次記号を備えた英国式登録システムはこの先何年でも手を加えることなく使い得る合理的なやり方で、この年次記号のアルファベット一文字がイギリスの大発明”だと解説されています。

この年次記号のアルファベット一字は英国アンティークシルバーの世界では、銀製品の製作年を示すデイトレターとして500年以上前から使われてきたやり方で、自動車登録システムに同じ方法を利用したのは、ちょっとした応用だったとも思われます。

それでは英国のシルバーホールマークについて説明してみましょう。
ホールマークとはイギリスのアセイオフィスという銀製品の検定機関が14世紀以来用いてきた純銀の品質を保証する刻印です。

歴史の変遷とともにいくつかのホールマークが順次導入され現在に至っており、アンティークシルバーを手に取ると通常4つないし5つのホールマークを目にします。

(写真1)


(写真2)


(1)Lion Passant / ライオンパサント (1544年導入)
写真1,2ともに左から二番目のライオンの刻印で、その製品がスターリング スタンダードの銀であることを示します。スターリング スタンダードとは、92.5%が銀、残りの7.5%は主に銅からなる合金で適度な強度を保ちながら、加工もしやすいことから英国ではこれをもって純銀とされてきました。

(2)Assay mark / アセイオフィス マーク
英国内のどのアセイオフィスで検定を受けたかを示します。
写真1左の「王冠」はシェフィールドを、写真2左から三番目の「豹の頭」はロンドンを示します。
他に「いかり」でバーミンガム、「城とアザミ」でエディンバラ、「ハープ」でダブリンなどがあります。

(3)Date Letter / デイトレター (1463年導入)
アルファベット一文字で検定を受けた登録年を示します、字体を変えてサイクルさせます。
写真1左から三番目のkはシェフィールド アセイ オフィスの1902年登録を示します。

(4) Maker's mark / メーカーズマーク (1363年導入)
製作業者のマークで、例えば写真1の CB&Sは Cooper
Brothers & Sonを示します。

(5)Duty mark / デューティ マーク (1784―1890年)
さらに下の写真3で男性の横顔の刻印がご覧いただけると思います。ジョージアンからヴィクトリアンにかけての百年ほどの間、銀製品に税金がかけられ、この刻印は税金支払済を示すデューティ マークです。この時代のアンティークには私たちも出会うことが多い為、この刻印を見かける機会も多いかと思います。ただしヴィクトリア女王の時代になるとデューティ マークは女王の横顔の刻印に変わります。

(写真3)


横顔の男性は当時の国王ジョージ三世(在位1760−1820年)で、彼の在位中にアメリカ独立戦争が起こり、英国が使った戦費を穴埋めする為に導入したのが銀への課税でした。
アンティークを扱っていると、ジョージアン(1714−1830年)という時代区分によく行き当たりますが、ジョージアンの国王達はどんな人達だったのでしょうか。『The
Kings and Queens of England』という英国の歴代国王を紹介したコンパクトで便利な本があります。この本によれば、先々代のジョージ一世はドイツから招かれて英国の国王となりましたが、英語を学ぼうとしませんでした。気難しい人で、招かれた英国での暮らしを終生楽しめなかったようです。ジョージ三世はハノーバー家で初めて外国なまりの無い英語を話した国王だったとされています、誠実な人柄で国民にも人気があったようです。

アメリカの独立は200年以上前の出来事で、私にとっては教科書で学んだ歴史の一部であり、振り返って疑問をさしはさむ余地のない事実です。独立をゆるした英国人にはまた別の感慨があるようで、こんな解説がしてありました、「ジョージ三世の最大の失敗はアメリカを独立させたことである。彼がもう少し上手く対処していたら、アメリカ植民地は失われずにすんだ可能性が高い」。いまさら悔やんでもどうにもならない気がしますが、我々以上に古いものを大切にし、古いものに囲まれて暮らす英国人の時間感覚は、もしかすると私達よりも長いのかもしれません。

(6)Britannia mark / ブリタニア マーク(1697−1720年)
18世紀初頭の約20年間、英国はスターリング スタンダードにかえてブリタニア スタンダードを採用しました。銀の純度を95.8%に上げましたが、軟らか過ぎて実用に耐えず、その後またスターリングスタンダードに復帰しました。 女神ブリタニアの刻印ですが、時代も古く、私たちがシルバーを集めていく上であまり見かけることはないと思います。

(7)Millennium mark / ミレニアム マーク
ミレニアムを記念してアセイオフィスでは1999年と2000年に製作された銀製品ついて、通常のデイトレターにかえて、写真4中央のような2000の数字をあしらったミレニアムクロスを特別なデイトレターとすることとしました。 ミレニアムの限定品ということで、コレクターの需要があります。

(写真4)


[参考]
『The Kings and Queens of England』 Weidenfeld
& Nicolson Ltd, London
Text by Nicholas Best
Portraits courtesy of the National Portrait
Gallery, London
11世紀のノルマンディ公ウィリアムから現在のエリザベス2世まで、歴代国王の人となりと当時の歴史を肖像画付きで解説しています。

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