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No. 4507 チューダーローズ モチーフ スターリングシルバー シュガートング
長さ 10.3cm、チューダーローズの直径 1.45cm、重さ 25g、つまみの間隔 2.4cm、アーム背の最大横幅 1.5cm、1932年 シェフィールド、八千八百円

チューダーローズが表と裏に付いたスターリングシルバー シュガートングになります。 アームの厚みが最大で2.5ミリほどあって、銀が厚めに出来ていることが、25グラムと持ちはかりあるしっかりタイプの銀器に仕上がっている原因でしょう。

なお、この品はバターナイフとジャムスプーンを合わせた三点セットとして求めました、順にサイトアップを予定しております。

作られたのは今から八十年近く前の1932年のことで、アームの内側にはブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1932年のデートレター、そしてメーカーズマークになります。

このバラのモチーフは外国人にはピンと来ないかも知れませんが、英国人ならすぐに分かるチューダーローズです。 

英国史にあまり通じていない私たちには、見分けるのが難しいのですが、イギリスでは小中学校の歴史でチューダー時代を細かく教えますので、このチューダーローズは子供たちでも当たり前のように知っているモチーフなのです。 そういうわけで、子供の頃によほどお勉強が好きでなかった人を除いて、英国人なら普通は知っているモチーフと言ってよいでしょう。

大小二つのバラの花を組み合わせたデザインはチューダーローズと呼ばれ、バラ戦争後の英国の統合を象徴するチューダー朝の紋章となりました。 バラ戦争は赤バラを旗印とするランカスター家と、白バラのヨーク家が、新旧諸侯を巻き込んで互いに覇を競った中世末期の30年にわたる内乱で、結局は両家が共に戦いで消耗しきってしまったことから、漁夫の利を得たランカスター派のヘンリー・チューダーが次のチューダー朝(1485年〜1603年)を興しました。

19世紀のヴィクトリア期にはチューダー リバイバルの潮流がおこり、建築、家具、テキスタイル、そしてメタルワークの分野で、このチューダー ローズのモチーフが広く人気を博し、現在に至っています。

ところで、うちの娘が習ってくるイギリスの歴史教育は日本とずいぶん違っています。 かなり低年齢の段階から歴史の授業があって、歴史を体験して実感する側面が重視されているようです。

例えば、チューダー時代の勉強でしたら、児童や先生が全員でチューダーの衣装を真似して、コスチューム パーティーよろしく、チューダー時代のマナーハウスに遠足に出かけ、五百年前の暮らしを一日追体験してみるといった具合です。 あるいは、歴史事実を紐解いて、バラ戦争における最後の戦いである「ボズワースの戦い」についてポエムを作ってみるという課題もありました。 

ちなみに「ボズワースの戦い」というのは、日本史における関が原の合戦のような天下分け目の戦いでありました。 歴史の授業では戦闘詳報のような形で、この戦いの一日の経過が時間を追って教えられていたのにも驚きました。

古代エジプト史のクラスでは、ヒエログリフ(象形文字)を使って児童に自分の名前を書かせる実習をしていました。 歴史の勉強と言えば年号暗記がほとんどと思っていた私からは思いもよらない教育方法で、こんな歴史の授業ならとても楽しそうですし、新鮮でした。 

しかしちょっと考えるに、ヒエログリフで自分の名前を書いてみる経験をした子供達からの方が、将来、古代文字を自力で解読するような歴史上の大発見をしてやろうという意欲に満ちた人材が生まれやすいのではないでしょうか。 あるいはまた、多くのシャンポリオンやシュリーマンを生み出す教育かどうかは別としても、少なくとも、過去を追体験させるこうした歴史教育の成果が、イギリス人をひときわアンティーク好きにさせている根っこにあるように思うのです。

チューダーローズ モチーフ スターリングシルバー シュガートング



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