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No. 20233 ヴィクトリアン アイアンワーク アイロン台
縦の長さ 8.8cm、最大横幅 3.5cm、重さ 25g、高さ 0.9cm、鉄の厚み 2.5mm、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製、一万三千円

デザインがよくて、それでいて渋いアンティークで気に入りました。 まったくもって小振りなアイロン台で、可愛らしいヴィクトリアン アンティークです。 部屋の飾りやペーパーウェイトによさそうです。 

写真のアンティークは実用品として作られたものですが、ハートのデザインなど装飾性が高いところは、ヴィクトリアン アイアンワークのペンダントヘッド に見られるようなブラックスミスの作品と根っこは同じ仲間たちと感じます。 

金属細工人の中でも鍛冶屋さんをスミスあるいはブラックスミスと言いますが、主要な交通手段が馬や馬車であったヴィクトリア時代においては、ブラックスミスはとても重要な職業で、どこの村にも鍛冶屋さんがありました。 カンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは鍛冶屋さんでもあったという話がありますが、これなどは昔の時代にあっては鍛冶屋さん役割が重要であった証左とも言えましょう。

ハートは現代でも馴染み深いデザインですが、その歴史をたどりますと、英国におけるハートのモチーフはジョージアンの頃登場し、ヴィクトリア期に大流行した経緯があって現代に至っております。

ハートの中にはスパイラルが見られますし、上部にはCスクロールも見られますので、あるいはケルティック モチーフを反映しているのかも知れません、。

スクロールパターン(渦模様)の中でもアルファベットの「C」の形状をしたものをCスクロールと呼びます。 上部飾りにはCスクロールが背中合わせに並んでおります。 

ハートの中にダブルスパイラルが入ったデザインはケルティック シェブロン スパイラルと見るのが妥当という気もします。 渦巻き模様は「Growth(成長)」や「Energy(活力)」を象徴し、ケルティックアートのベーシックです。 さらに、ハートの中にダブルスパイラルが入ったケルティック シェブロン スパイラルは、遠い昔のケルトの人たちにとっては「Power(力)」の象徴であり、転じて「計画、実行、そして完成」を意味するシンボルでした。 ハートの形に見えますが、実はその由来は弓矢の先に付ける鏃(やじり)であり、そこからパワーの意味合いが生まれています。

じっくり見ていくと、いろいろな解釈が出てきますが、写真のアンティークを作った鍛冶屋さんの背景には、当時のデザインブックがあったかも知れませんし、扱ってみたいモチーフアイディアがあったろうと想像します。

英国アンティークにはスティール アンティークという専門分野があります。 イギリスには世界初の鉄橋で、ユネスコの世界遺産にもなっているアイアンブリッジという誰もが知っている観光地があって、英国人にとってスティール アンティークと言われてまず思い浮かぶのは、この産業革命の遺産であるアイアンブリッジであることが多いようです。 

鉄の道具の歴史はかなり古いわけですが、ジョージアンの時代の中頃に始まった産業革命の影響が大きく、次のヴィクトリア時代を通じて、鉄製品が芸術的な領域にまで高められていきました。 ですからイギリスにおけるスティール アンティークとは、この国の人たちにとって誇らしいアイアンブリッジや産業革命の延長線上にあって、ヴィクトリアンのノスタルジーを感じさせてくれるアンティーク分野であるのです。

昔の鍛冶屋さんの仕事はと言えば、馬の蹄鉄を取り扱う以外にも、例えば、以下にありますような、パブサイン看板のアイアンフレームを作るような仕事もあったでしょう。 スケッチしましたパブ看板のフレームは、なかなかに見事な作品でありました。
http://www.igirisumonya.com/antiquecenter.htm

ヴィクトリア時代にはどこの村にもあった鍛冶屋さんと書きましたが、二十一世紀の現代でも、イギリスにはまだ多くいらっしゃることを最近知りました。 私は担ぎタイプのゴルフバックを使っているのですが、スタンドの稼動部が壊れてしまいました。 気に入って使っていたので、出来れば直したい。 細いスティールパイプとそれにつながる鉄のL字金具を溶接すれば修理が可能です。 

電話帳で調べたら、街には何軒か鍛冶屋さんがあることが分かりました。 一番近くの鍛冶屋さんと連絡を取って、持ち込んだら、翌日には直しておくとのこと。 しかし出かけるので、修理したら庭先に置いておくから持っていってだって。。。 誰かに取られたりしないかなと心配でしたが、行ってみたらありました。 けっこうアバウトで英国風な職人さんでありました。

ヴィクトリアン アイアンワーク アイロン台




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