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No. 20179 マルタ 騎士団(=聖ヨハネ騎士団)紋章 スターリングシルバー クロス フォブ ペンダントヘッド SOLD
縦の長さ(留め具含む) 4.8cm、横の長さ 4.1cm、重さ 13g、丸い部分の直径 2.5cm、1940年 バーミンガム、一万五千円 SOLD

よく見ると、中央のマルティーズ クロスの上には四頭のライオンが歩いています。 四方向の小花は可愛らしいアクセントです。 中ほどの丸い部分はドームのようにふくらんでいて銀が厚くなっていき、中央の最大厚みは3.5mmとなっています。 このドーム状に厚みを帯びた部分も、中まで銀が稠密なソリッドシルバーであることから、手にしてみると、しっかりした銀の質感が心地よい出来栄えに仕上がっていると感じます。

ロンドンに本部があったThe St.John Ambulance Associationの品ですが、1940年の銀製というと、Air Raid Precautions 銀製バッチと同様な背景を持っているものと考えられます。

裏面にブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1940年のデートレターになります。

ホールマークの上には、「Registered at St Johns Gate London」と刻印されています。 
「St Johns Gate」は、今でもロンドンの中心街に残っているアンティークは建物で、The St.John Ambulance Associationの本部があった場所になります。 

今ではThe Museum of the Order of St Johnとして、ミュージアムになっているので、出かけてみれば、写真の品の歴史的背景をより詳しく知ることも可能です。 ちなみに最寄り駅はロンドン地下鉄サークルラインのファーリンドンとバービカンになります、ロンドン観光の際には立ち寄りやすい場所だと思います。

中央に見えるクロスをご覧いただくと、中心から四隅までが等距離で、放射状のデザイン、そしてクロス四隅の先端部が「V」字形をしており、これがマルティーズ クロスのメルクマールとなります。

このマルティーズ クロスの上には四頭のライオンが歩いていますが、このあたりはイギリス人のライオン好きが出ているなあと興味深く見ました。

イギリスで人気のある強い動物といえば、まずはライオンが挙げられます。 イギリスの数多いパブの中にあって、もっとも多い名前が「Red Lion」で、英国人のライオン好きを示しています。 この国には約六万弱のパブがありますが、そのうちで一番多いパブの名前は「Red Lion」で、六百軒のレッドライオンがあると言われます。 英国中のパブのうちほぼ百軒に一軒はレッドライオンという計算です。

歴史的に見ても、三頭のライオンは『ライオンハート(獅子心王)』の愛称で知られる12世紀の英国王リチャード一世時代からのエンブレムです。 リチャード一世は十年間の治世中に国内にいたのがたったの六ヶ月という王様で、海外での戦いに明け暮れた英国王でした。 戦いで名を馳せ、ライオンハートの称号を得て、その勇気と生きざまは騎士の模範とされています。 

そして現代ではサッカーのイングランド代表が使うエンブレムが、まさにこのスリーライオンなのです。 そんなわけで、サッカーのイングランド代表のことを 『11頭のライオン』と呼ぶのも一般です。

さらに言えば、スターリングシルバーの銀純度を保証するブリティッシュ ホールマークも横歩きライオンの刻印で、ライオンパサントと呼ばれます。 こうしてみると、イギリスにおいては大事なものはみなライオンといっても言い過ぎではないように思います。

マルティーズ クロスとは、十字軍遠征時代に作られたマルタ騎士団の紋章です。 

以前にマルタ騎士団の方と会ってお話を伺ったことがあります。 世界史の教科書に出てきた騎士団の人が現代にもいるなんて、初めはジョークかと思いましたが、そうではないことを知りました。

元々は12世紀頃に巡礼者保護の目的でエルサレムで活動をはじめた聖ヨハネ騎士団でしたが、16世紀には地中海のロードス島に領土を持ち、その後はマルタ島に移ったことから、マルタ騎士団と名前を変えて現在まで続いているのです。 

18世紀にはナポレオンとの戦いに敗れて、領土を失っております。 面白いのは、その後も国際法上の主体として認知され、活動を続けていることです。 現在でも国際連合のオブザーバーであり、主として医療活動に従事しているとのこと。 

お会いしたのがベルギーはリールという街にある、十字軍の時代には巡礼宿であったというコンポステールというレストランでした。 
遠い昔の巡礼宿でマルタ騎士団の人と出会うとは。 
21世紀の今でも騎士団員がいるんだと驚きましたが、お話を伺って、なんだか、遠い巡礼の昔、十字軍時代にタイムスリップしたような気分になりました。

ちなみに、中世ヨーロッパの三大騎士団とは、上記の聖ヨハネ騎士団の他に、テンプル騎士団とドイツ騎士団を含めた三つを言います。 
『十字軍騎士団 (橋口 倫介著)』は、中世の騎士の暮らしぶりなど分かって興味深い本です。

マルタ騎士団(=聖ヨハネ騎士団)紋章 スターリングシルバー クロス フォブ ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

マルタ騎士団(=聖ヨハネ騎士団)紋章 スターリングシルバー クロス フォブ ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


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