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No. 20046 エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング
長さ 9.0cm、重さ 15g、つまみの間隔 3.0cm、アーム部分の最大厚み 2mm弱、1911年 ロンドン、Wakely & Wheeler作、一万円

柄のデザインはブライトカットのヴァリエーションで、フェザーエッジと呼ばれ、光の反射を美しく誘います。 百年以上も前に作られた銀製品ですが、コンディション良好な美しい品です。

内側にはスターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン アセイオフィスのレオパードヘッド、1911年のデートレター、そして反対サイドに「Wakely & Wheeler」のメーカーズマークの刻印があります。 

この品が作られた1911年はエドワーディアンの時代が終った直後で、第一次大戦が始まる前であることから、デザインや様式的にエドワーディアンと呼んで差し支えない時代の雰囲気を反映した銀器になっているものと思います。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 写真のシュガートングが作られたのは1911年ですから、少し前に正式なアンティークに仲間入りしているわけです。 日本における1911年といえば明治時代の終り頃にあたり、ずいぶんと昔のことになりましょう。 やはり百年経っているということは、アンティークとしての大きな魅力になると思うのです。

ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。 あるいは日本では明治から大正にかけての時代、例えば、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

この品を作ったシルバースミスの「Wakely & Wheeler」は、その創業が1791年という老舗です。創業者はジョン ライアスという人でしたが、19世紀の後半には創業家のライアスファミリーは仕事から退いて、当時のパートナーであったウェイクリーとウィーラーによって事業が引き継がれていきました。ガラード、エルキントン、マッピン&ウェッブといった有名メーカー&リテーラーにライアス時代からずっとシルバーウェアを納入していたWakely & Wheelerはジョージアンとヴィクトリアンを通しての優良シルバースミスの一つと言ってよいでしょう。

フェザーエッジの歴史は古く、イギリスのシルバーウェア史に現れたのは、今から二世紀半ほど前になります。 より具体的には、この装飾的なフェザーエッジの技法が初めて登場したのは1770年代のことでしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

似たような装飾技法にブライトカットがあり、フェザーエッジはブライトカットの派生系と言われます。 しかし、二つは歴史的にほぼ同時期に作られ始めていることから、二つの技法の関係は派生関係というよりも、兄弟姉妹の関係に近いとも考えられます。 

ブライトカットは、ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かうようにした彫刻技法です。 ファセットは平面状で一種類、それを互い違いに角度を変えて彫っていきます。 

フェザーエッジはU字谷とV字谷を隣合わせに彫っていく手法です。 V字谷のファセットは平面で向かい合う二面の角度が違っているところはブライトカットに似ています。 加えてU字谷のファセットは凹面状なので、当然ながらその反射光も様々な方向に向かいます。 V字谷のシャープな反射光に対して、U字谷の反射光は穏やかな感じで、二種類の輝きのコントラストに特徴があります。

一本の彫刻刀で作業を行うブライトカットに対して、フェザーエッジではU字とV字の二種類の彫刻刀を使いますので、その意味でブライトカットの進化系あるいは派生系がフェザーエッジと言われるのかも知れません。

エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)

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