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No.20005 ヴィクトリアンor エドワーディアン ウェーブパターン スターリングシルバー クロス SOLD
クロス本体の縦(丸い留め金含まず) 2.35cm、横 1.45cm、厚さ 1.5mm、Francis Barker & Son Ltd作、ヴィクトリアン終り頃の1894年からエドワーディアンの1908年までに作られた英国製、一万一千円
SOLD
小振りな品ながら手彫りのエングレービングは素晴らしい出来栄えで、昔の時代ならではの丁寧な仕事がしてあるアンティーク クロスと思います。 写真では奥行きが分かりづらいですが、厚さが1.5ミリのホロー(中空)構造をした、純銀製クロスです。
彫刻のモチーフはウェーブパターンです。 波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や
Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。
波模様の基本デザインは、深めなタッチで彫られています。 その背景に色合いが濃く見える部分も微細な彫刻で影を付けた細工です。
アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、このクロスに施された手仕事の素晴らしさも分かっていただけると思います。 ウェーブの基本デザインの背景に色合いが濃いめに見えるシェード部分は、1ミリ間隔に何本もの細かさで彫刻線を走らせた、ハンド エングレービングとしては限界的な仕事になっています。 また、そうした背景部分の繊細さはもちろんですが、基本デザインの深めな彫りも丁寧な手仕事で、じっくり観察していくと、彫りの跡から彫刻刀を振るった向きまでもが窺い知れ、銀職人さんの息遣いが伝わってくるところにも惹かれる品と思います。
裏面には「F.B&S」のメーカーズマークと、スターリングシルバーを示す「STG」の刻印があります。 デートレターがないので製作年を一年刻みで特定することは難しいのですが、ウェーブパターンは百年ほど前の時代に流行ったデザインであることに加えて、ホロー(中空)構造であること、そして手彫りのエングレービングの見事さからみて、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製で間違いないでしょう。
あらためてメーカーズマークから製作者の情報を調べなおしたところ、以下のことが分かりました。
メーカーの「Francis Barker & Son」はヴィクトリア初期の1848年に、Richard Groves と Francis
Barkerという二人の共同パートナーがロンドンで始めた「Groves & Barker」という工房が前身です。二人のパートナーシップは1865年に解消されましたが、同年にフランシス バーカーは息子と共に「Francis
Barker & Son」として工房を引き継ぎました。エドワーディアン後期の1908年にはリミテッドカンパニーに改組され、以後1960年まで「Francis
Barker & Son Ltd」の社名でゴールド&シルバースミスとして仕事を続けています。
このクロスに刻印された「F.B&S.」のメーカーズマークは、1894年にアセイオフィスに登録され、工房が家族経営から会社組織に変わった1908年まで使われたマークですので、このクロスが作られた年代はデートレターがなくても、ヴィクトリアン末期の1894年からエドワーディアンの1908年にかけての十数年の間に作られた品だと分かるのです。
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