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No. 19057 エルキントン (Elkington) スターリングシルバー スプーン
長さ 14.4cm、重さ 33g、ボール部分の長さ 5.1cm、最大横幅 3.0cm、ボール部分深さ 0.9cm、柄の最大幅 1.7cm、柄の最大厚み 3mm縺A1936年 バーミンガム、Elkington & Co作、

ボール部分が細身かつ深めなタイプで、品のよさを感じさせます。 銀が厚くてふっくらした仕上がりは、シルバースミスの良さから来ているかも知れません。 今から八十年ほど前に作られた銀のスプーンです。

33グラムと持ちはかりがあって、閧ノしてみると、銀の質感が心地よいスターリングシルバー デザートスプーンです。 銀がたっぷり使われていることは、柄の部分のふっくらした銀の厚みを感じると分かりますし、ボール部分をさわってみても、同様に銀が厚いと思います。

昔のイギリス スタンダードではデザートスプーンの迫‘に入りますが、ボール部分の長さが5センチもあるのは、かなりの大きさで、現代の日本基準でいえば、カレーライスを食べたりするにも十分なサイズと思います。 

柄の部分にみえる植物は、バラの花、アザミの花、そして三つ葉のクローバーです。 シルバースミスの名前のよさと、ゴージャスでデザイン性の高いことから、パーティー用のオードブルサーバーとしてお使いいただくのも、話題性のある銀となって、よさそうに思います。 

ディナー or デザート用の普段gいとして、あるいはパーティーなど賑やかな席でオードブルサーバーとして、さらにはアイスクリームスプーンにも、多目的にお使いいただける一本になりましょう。

ハ真O番目に見えるように、ボール部分の裏面には、Elkington & Coのメーカーズマーク、バーミンガムアセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1936年のデートレターがしっかり深く刻印されています。 

エルキントンのアンティークは、岩波文庫の『特命全権大使米欧回覧タ記(二)』を手元において楽しまれることをお勧めしたいと思います。 ヴィクトリア梠繧フイギリスの様qがサムライ梠繧フ日本人によって報告されたアンティークな読み物です。

ヴィクトリア梠繧フイギリスは資本蜍`の発展を背景に、新たな発見や発明が社会を引っ張っていった躍動的な時代でありました。 そうした中でこの品を作ったエルキントンは、当桙フ英国ミ会の雰囲気を体現するようなシルバースミスであったので、その歴史には大いに興味を惹かれるのです。 さらに明治時代の文明開化の頃の日本とも繋がりがあったことから親しみを感じます。

明治維新から数年後の1872年に、欧米の進んだ制度や技術について見聞を広げ、新政府の政策に活かすことを目的として、岩倉具視を代表とする使節団が欧米に派遣されました。 g節団は一年十ヶ撃ノ及ぶ大旅行をして、米、英、仏、独等、当桙フ先進国を見て回り、イギリスには四ヶ倦リ在しました。

イギリスでの見聞記録は岩波文庫の収録されており、『特命全権大使米欧回覧タ記(二)』として今日でも、この130年前のアンティークな記録を読み返すことが出来ます。 380ページに及ぶ大著ですが、すべては当桙フ英国の制度や技術を日本人の手で分析し報告したものです。 g節団は、先進的な制度や技術を見学させてもらいながら、ロンドンからスコットランドまで見て回っています。 当桙フ日英の格差は圧倒的でしたから、見るもの聞くもの、驚きの連続だったはずです、冷静な分析ながらこの書物の随所にその様qが現われています。

エルキントンミは当梔p国でも一流の会社に成長しており、エレクトロプレートの技術を独占する会社として、g節団の工場見学のスケジュールに加えられていました。
報告書はエレクトロプレート技術にページを割いて詳細な報告を行っていますが、今読んで興味深いのはその先のくだりです。

『エルキントン♂・ミの金銀器製造場に至る……(エレクトロプレート技術に関する詳細な報告は中略)……また、この場に日本の銅器、象嵌細工、オ宝塗り等をあまた蓄え、苦心して模造をなせり。銅細工の場に、日本の紫銅の火鉢に、・部石山日記の図を彫刻したるものあり、……(中略)……その模鋳せるあり、その顔貌は真物に異ならず。凡そ西洋にて模造をなすものは、その原品の名誉ある証なり。ミ中の人より、日本にて象嵌の細工は、いかなる秘術ありて之をなすや、この場にて種々に術をかえて、模造すれども似ずとて、しきりにその術を学ばんことを望めり。また七宝塗りを模造せる場において、贋造と真物とを並列して、覧定せんことを要求せしによって、之を見るに鳳凰桐葉の画なるを、只に一の花紋を模するかの如くに模描し、一目にて真仮は判然なりしかば、皆その似ざることを嘆息せり。また柿本人麻呂像を持ち出して、その人は何人にて、略伝如何を問いけるにより、千二百年前の高名な歌人であることを述べたれば、喜びて筆記し、之に付盂したり。』

英国の先進技術を見学に行った使節団が、逆に日本の工芸技術について、エルキントンのイギリス人技術メから質問攻めにあって、多いに面目をほどこした様qが見て取れます。 柿本人麻呂の挿話に至ってはそのほほえましい情景が眼に浮かび、当桙フ日本人でなくても鼻が高い思いです。

エルキントンについては、英国アンティーク情報欄にあります「31. 『Punch:1873年2・2日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」と「10. エルキントンミのシルバープレート技術と明治新政府の岩倉g節団」の解説記魔烽イ参考ください。

エルキントン (Elkington) スターリングシルバー スプーン






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