英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 18439 フロント 9カラット ロールド ローズ ゴールド アイビー モチーフ クロス
クロス本体の縦 3.2cm、留め具の円環を含む縦長 4.0cm、横の長さ 1.95cm、厚さ 1mm、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアンの英国製、一万五千五百円

アイビーのハンド エングレービングが上品で気に入りました。 手仕事の彫刻が素晴らしく、アイビーの基本デザインは深めな彫り、背景部分はシェードを付けた微細な彫りとなっています。 かなり綺麗な品と思います。

アンティークの楽しみの一つは、現代の品では到底望めないような素晴らしい手仕事の品に、時に出会えることだと思います。 今から百年ほど前に作られたと思われる写真のクロスにはアンティークでしか手に入らない美しさが備わっており、丁寧なハンドワークの細工の良さそのものが年月の経過を語っています。

たとえデートレターが備わっていなくても、細工のよさから製作年代がおのずと知れる、そういうタイプのアンティーク クロスであります。

19世紀後半からしばらく、ヴィクトリアンやエドワーディアンのイギリスでは、植物を好む自然主義的傾向が顕著でした。 バルコニーやガーデンファーニチャーに絡まるアイビーが好まれ、稠密かつ精巧なナチュラルデザインとしてファーン(シダ)が好まれました。 あるいはコンサバトリーでの観葉植物や薬草の栽培もガーデニングの延長として流行ったのです。

アイビーは蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 そしていつも緑であることから、Immortality(不滅)や Eternal Life(永遠の魂)を表すクリスチャンモチーフともなっています。

Rolled Goldとはベースメタルに9金や18金の薄金板を重ねた構造の素材で、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の英国で流行ったアンティークな素材です。 カラット数は表示はありませんが、イギリスでは一番多く見かける9カラット ゴールドでありましょう。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。

デートレター等のホールマークが無いので年代特定が難しいのですが、Rolled Goldという素材と共に、丁寧かつ繊細な手彫りのエングレービングの様子からみて、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアンにかけての品と思われます。

もともとは王宮庭園であったキューガーデンが、王立植物園として生まれ変わったのはヴィクトリア時代の初め頃でありました。 植物研究施設としてのキューガーデンが、ヴィクトリアンの人たちの植物好みを引っ張ったと言うこともあるでしょう。

写真のアンティークに施されたアイビーモチーフの植物文様には、当時の人々の植物好きが色濃く反映されているわけです。

『私はキリスト教の信仰者ではありませんが、何故かクロスにとても惹かれます。』というお便りをいただきました。 

英吉利物屋ではアンティークのクロスを扱っておりますので、関心のある方から、そういうお話があるのは珍しいことではないかも知れません。 けれども、クロスに惹かれるという話はこれが初めてというわけでなく、多くの方からお聞きしてきましたし、私もそう感じることがあるので、なぜだろうかと考えたくなるのです。

英国アンティーク情報欄にあります「40. 何故かクロスにとても惹かれます。 その理由を英吉利物屋風に考えてみました。」もご覧いただければ幸いです。

フロント 9カラット ロールド ローズ ゴールド アイビー モチーフ クロス

イギリス アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ