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No. 16899 エドワーディアン スターリングシルバー ボタン
直径 2.8cm、留め具を含む最大厚み 6mm、重さ 5g、1902年 ロンドン、一万一千円

今から百年以上前のエドワーディアン初期に作られたスターリングシルバーの飾りボタンです。 型押しで調整した後に、透かしの断面は糸鋸を使った手仕事で綺麗に仕上げてあります。 百年以上前の時代だからこそ出来た労働集約的な仕事振りであって、今日では手に入れにくいアンティークならではのよさが感じられます。 

ボタンを時計に見立てて五時の辺りに、ブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻まれています。 ホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1902年のデートレターになります。

16898 銀ボタンと一緒に求めたものですが、二つの銀ボタンを見比べていただくと、ブリティッシュ ホールマークが刻印されている位置が、四時方向と五時方向というように違っております。 そして、さらに二つを並べてじっくり観察していくと、透かし部分の形状や長さや幅も違っていることが分かります。  これらの品が作られたのは百年以上前のことですので、作業工程はそれほど機械化されておらず、当時のエドワーディアンの仕事がハンドワークに近いものであったことが窺えます。

同じシルバースミスが一緒に作った銀ボタンなのに、個体差が目に見えて、それぞれに個性を持っていることは、現代の規格化された工業製品ではありえない特徴であって、誰かがこれを作ったんだなあという、人の温かみを感じさせます。 古い二つの品を手にして比べてみると見えてくる、こういうことが、アンティークならではの面白さと感じます。

アンティークを手にしていると、人のぬくもりを感じることが多いですが、アンティークをきっかけに、その国の人たちの文化や伝統について考えてみるのも楽しいことだと思います。 英国アンティーク情報欄の「27.ホールマーク漏れと英国人気質」解説記事もついでにご覧ください

この銀ボタンのモチーフについて考えてみました。 身分の高そうな女性と、差し出された右手の甲にキスする男性の服装から判断して、時代背景は17世紀から18世紀頃と思われます。 当時の貴族社会においては、こうしたキスは挨拶の一つの形式でありましたので、この二人は特別に関係が深い間柄というわけではないでしょう。 物語の一場面と考えられますが、特定するには至っておりません。 女性が杓杖を手にしているのが何かヒントになるかも知れません。 

これまでに扱ってきた銀ボタンがいくつかありますが、ホールマークから分かる製作年は、ヴィクトリア時代からエドワーディアンの時代に移った1900年を起点にして前後十数年ほどの間にかたまっているようです。 銀ボタンが当時流行ったということなのか、興味を惹かれます。 比較的に製作年代が短い期間に集まっているアンティークというのは、コレクターとしてはその道の専門家になりやすいというメリットもありましょう。

エドワーディアン スターリングシルバー ボタン


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