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No. 16341 エドワーディアン ジャポニスム モチーフ 飛翔する鳥 9カラット ローズゴールド ブローチ with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
ブローチ本体の長さ 3.65cm、鳥の頭から尻尾まで 1.2cm、ピンの長さ 3.4cm、1913年 チェスター アセイオフィス、SOLD

今から百年前に作られた9カラット ローズゴールドのジャポニスム モチーフ ブローチです。 

写真三番目に見えるホールマークは順にチェスター アセイオフィスのシティーマーク、9カラット ゴールド素材であることを示す「9」と「375」刻印、そして1913年のデートレターになります。

小振りなアクセサリーですが、9カラット ゴールドのから、素材の良さはピカイチです。 デートレターから百年前に作られたアンティークと特定できるのもグッド ポイントです。

飛翔する鳥に施された手彫りのエングレービングはかなり繊細な細工で、百年前のイギリスで見られた高い工芸水準が窺い知れます。 
ブリティッシュ ホールマークが完備しているこがこの品の良い特徴です。 

どうして、こういった和風モチーフのゴールドジュエリーがヴィクトリア時代のイギリスで見られるかというと、それは百五十年以上にわたる日本美術研究の蓄積がイギリスにあるからです。 

1853年のペリー来航以来、日本の工芸が広く西欧に紹介され、英国シルバーの世界にも日本の伝統的なモチーフとして蝶などの虫、飛翔する鳥、扇、竹、さくら等のデザインが取り入れられていきました。1870年代、80年代のこうした潮流はオーセンティック ムーブメントとして知られています。

サムライの時代が終わった頃、1870年代前半における英国のジャポニスム取り込みについては、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」記事後半で詳しく解説していますのでご覧になってください。

その後のジャポニスム研究は、モチーフブックなどの成果となって、以下のような書籍が次々と発表されていきます。
「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」、 「A Grammar of Japanese Ornament and Design(1880年、Cutler)」、「Book of Japanese Ornamentation(1880年、D.H.Moser)」

そして1880年代の後半にはジャポニスム モチーフブックの集大成である「Japanese Encyclopedias of Design(Batsford)」が出て、Japanese craze(日本趣味の大流行)のピークとなりました。

ちなみに、イギリスにおけるジャポニスム研究書のさきがけとなった「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」の著者であるオールコックという名前、聞いた覚えのある方もいらっしゃるかと思います。

サー・ラザフォード・オールコックは、幕末の日本で数年間暮らしたイギリスの初代駐日公使です。 当時のイギリス公使館は、現在の品川駅から徒歩七分、港区高輪の東禅寺に置かれていましたが、オールコック在任中には、攘夷派浪士が英国公使館を襲撃した東禅寺事件など起こっています。 まさに命がけの日本勤務であったろうと思います。 彼は幕末日本滞在記である 『大君の都 (岩波文庫 上・中・下)』も残しています。

オールコックと言えば、幕末期のイギリス外交官としての仕事に注意が向きがちですが、一方では日本美術に傾倒し、「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」という著作も残しているわけで、日本のよさを広く海外に紹介してくれた、よき広報官という側面もあったのでした。

オールコック初代駐日公使、「Art and Art Industries of Japan」、ヴィクトリア時代のJapanese craze(日本趣味の大流行)、ジャポニスム研究、数多くのモチーフブック等々、こういう歴史的な背景があって、イギリスで作られ、現代に到っているゴールド ジュエリーというわけです。

飛翔する鳥 ジャポニスム モチーフ エドワーディアン 9カラット ゴールド ブローチ

飛翔する鳥 ジャポニスム モチーフ エドワーディアン 9カラット ゴールド ブローチ



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