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No. 15894 アメリカ合衆国 ワンダラー ピアストワーク ペンダントヘッド
直径 2.55cm、縦の長さ(留め具円環含む)2.95cm、厚み 2mm弱、1ドル硬貨は1979年〜81年鋳造、五千八百円

イーグルの足もとに丸い穴がいくつか見えていますが、これらはクレーターです。 つまりは、このイーグルは月面に降り立っているわけです。 アメリカ合衆国の月面探査や金融経済史に照らして、興味深いいくつかの特徴をそなえております。 しかしまずは、手仕事で糸鋸を引いた作品でたいへんな時間をかけて作られたもの、その労力を多としたいと思います。

この品は背景には、1970年代アメリカ史、特に当時の金融史とアポロ計画の関連で興味を惹かれることがいくつかあります。 ポイントは以下の三点。

この1ドルコインになって、先代よりもサイズが小さくなっていること、及び銅ニッケルクラッドという製造手法。

縁辺部の十一角形は人類初の月面歩行に成功したアポロ11号にちなんでいること。

1970年代の米国はニクソンショックで金兌換を停止して、さらに変動相場制に移行、ベトナム戦争の泥沼化と撤退、ドル価値の下落があったこと。

発行期間は二年ほどで短かったのですが、当時の時代状況をよく反映した1ドルコインでありました。

アメリカ合衆国 ワンダラー ピアストワーク ペンダントヘッド、私はどうもこの品に惹かれます。

この1ドル硬貨はアンソニーダラーと呼ばれ、1979年から二年ほど鋳造されました。 先代のアイゼンハワーダラーが23グラムほどあったのに、アンソニーダラーは8グラムで、直径も厚みも小振りになりました。 当時のアメリカ人はドルの対外価値が落ちていくのを目の当たりにしていたわけですが、そんな中で小さくなった1ドル硬貨が鋳造されて、どう感じたでしょうか。 1ドルの購買力が下がっていくのを、まさに体感させてくれるアンソニーダラーでありました。

裏面は削って平らに加工してありますが、レイヤーのニッケル部分が削り取られて銅芯が見えていました。 ニッケルと銅の張り合わせ構造で、これがニッケル銅クラッドという手法ですが、最初にこれを見たときは、偽物かと思ったものでした。でもこれも1970年代のアメリカの経済苦境を投影しているようで、今にして思えばなかなか味わい深く思えます。

ちなみにドルの価値を円から見てみるということで、1970年代のドル円相場を見渡してみると、ブレトン・ウッズ体制下の1970年には1ドル360円だったものが、1971年ニクソンショック&スミソニアン体制で308円、1973年には変動相場制に移行して、1978年には175円をつけています。

まあ、こうして振り返ってみると、アメリカの苦境は日本の躍進とも見えるわけで、これまた歴史の成り行きに興味を惹かれます。

アメリカ合衆国 ワンダラー ピアストワーク ペンダントヘッド

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