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アンティーク シルバー ティースプーン (1)へ

アンティーク シルバー ティースプーン (5)

あるお客様から、「バラ売りされているティースプーンはないでしょうか。ちがった年代、デザインを1本ずつ集めるのも楽しいのでは・・・」とお便りいただきました。

実は私も以前にティースプーンをちがった年代、デザインで1本ずつ集めるのも楽しいのではと思ったことがあったのです。 知り合いのアンティークディーラーのお宅にお邪魔してお茶をご馳走になった時、出てきたティースプーンが、プレーンなジョージアンスプーンでしたが、セットではなくちがった年代とデザインでした。 そのことでかえってスプーン一本一本を眺めたり、ホールマークを見比べたりと話が弾み、セットのティースプーンであったら出来なかったような会話を楽しむことが出来たのです。 この時、セットよりバラのアンティークの魅力を確かに感じたのですが、頭が固いと言いましょうか、英吉利物屋でティースプーンをご紹介するとなると、「ティースプーンはセットで」という先入観から抜け出せぬままに今日まで来てしまいました。 一方で仕入れの際に綺麗なティースプーンを一本見つけると、つい求めてしまうのですが、その後はサイトアップすることなくそのままになっていたのです。

お客様からのお便りでハッといたしました。 アンティークティースプーンをバラで集める魅力は確かにあるとあらためて思いました。 以下のコーナーでバラのティースプーンを少しずつご紹介していけたらと思います。

(下線付き太字の品物名をクリックいただくと、拡大写真とその他の説明写真がご覧いただけます。)



アンティーク シルバー ティースプーンの手持ち品はhttp://www.igirisumonya.com/teaspoon15.htmへ移しました。


No. 16467 Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 12.5cm、重さ 14g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.6cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.15cm、1806年 ロンドン、Peter & William Bateman作、SOLD

このスターリングシルバー ティースプーンは今から二百年ちょっと前の1806年作で、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 二百年という圧倒的な古さは、やはりアンティークとして大きな魅力になりましょう。  

写真二番目のホールマークは順に メーカーズマーク、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、1806年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

メーカーズマークの刻印があまいのですが、刻印全体の形や文字列の様子、「PB,WB」のうちPとWが判読できること、またBの一部も見えることから、Peter & William Batemanで間違いないところです。

品物名にあります「ジョージ三世」ですが、1760年から1820年までの英国王ジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。 

数多いシルバーウェアの中でもベイトマン ファミリーの品は別格に扱われることが多いようです。 一つには二百年に近い年月を経ているということがあるでしょう。 しかしそれでも、なぜ?と思われる方も多いはずです。 手にとって直に見てみると、ボール部分が先細なタイプで品の良さを感じ、柄の曲線のなんとも言えない優雅さ、手仕事のみが生み出す温かさが多くの人を惹きつけてきた要因であることがわかります。 

そうは言っても、ベイトマン以外のオールドイングリッシュ パターンの品とここがどうしても違うとは私は思わないのですが。 結局のところベイトマンがアンティークシルバーにおいて別格なのは、鶏が先か卵が先かの議論にもなりますが、コレクターの需要が強いからということになるのでは、と思います。

ベイトマン ファミリーの系譜については、 「19.ベイトマン ファミリーのメーカーズマーク」の解説記事もご参考ください。 また、オールド イングリッシュ パターンについては、「4.イングリッシュ スプーン パターン」を、そしてデューティーマークについては、「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記事の後半もご覧ください。

かなり古いスプーンをお求めいただいたお客様から、ジョージアンの時代に銀器を使っていた人たちはどんな人たちだったのかというご質問をいただきました。 遠い昔に銀器を使っていたのは豊かな人たちであったに違いありませんが、この問題はよく考えてみると、もっと奥の深い問題であることが分かります。

ジョージアンの時代に銀器を使っていた人たちは、百年ほど前のヴィクトリアン後期に銀器を持っていた人たちよりも、一段と社会階層が上のお金持ちだったと思われます。 ジョージアンの時代には、まだまだ銀は社会の上層階級の占有物であったからです。 ヴィクトリア期には英国の経済力も大いに伸長したので、ヴィクトリアン後期の英国では銀器が新興富裕層にまで普及し、その裾野が広がりました。 つまり銀器を使った昔のお金持ちといっても、ジョージアンの時代とヴィクトリアンの時代ではその意味合いや程度が大きく異なるのです。

「International Hallmarks on Silver」という本に、過去の銀世界生産量推計という面白い資料がありました。 その資料によれば、1830年当時の年間生産量は460トンほどで、ヴィクトリア時代最後の1900年は5400トンとあります。 時代と共に生産量が十倍以上に増しているわけですが、逆にみると、より昔の時代における銀の希少性について、お分かりいただけるのではないでしょうか。

ジョージアンとヴィクトリアンでは銀のスプーン一本を取ってみても、そのステータスシンボルとしての価値はかなり違っていたわけです。 もっと詳しく知るためには、英国社会史や経済史の理解が不可欠になりましょう。 これからも少しずつ調べて、個々のアンティークが持つ時代背景について、英吉利物屋サイトでお伝えしていければと思っています。

銀の価値を考えているうちに、もしこの銀スプーンを江戸時代にタイムスリップさせたら、いったいどのくらいの価値があったものだろうかと思考実験をしてみました。 当時の英仏独伊といった国々のスタンダードは金銀複本位制で、銀の地金はマネーと等価であり、各国通貨への換算額も容易に計算できます。 ところが、江戸時代の日本では違った貨幣制度が採用されておりましたので、ややこしいところがあります。 

例えば時代劇など見ておりますと、両替商というのが出てきて、しばしば御奉行様と結託しては悪事を働いたりしております。 両替商の仕事といっても、鎖国の江戸時代に、海外旅行用の外貨両替なんてことはありえません。 それでは、この両替商はいったい何を両替していたのでしょうか。 江戸時代の日本では、金貨である小判と、銀貨、そして寛永通宝といった銭、これら三種マネーの交換レートが市場にまかされており、変動相場制になっていました。 極論すれば、ドルとユーロとポンドというレート変動する三通貨が一国の中で流通していたようなもので、そこに両替商の存在意義があったのです。

そんなわけで、写真の銀スプーンは一種の銀地金でありますが、江戸時代のマネーに換算するには、小判か銀貨か銭か、難しさが伴うのです。

ここでは、なるべく簡単な試算ということで、天保一分銀への銀地金換算をしてみましょう。 イギリスでヴィクトリア時代が始まった1837年は、日本では天保8年にあたり、この年から天保一分銀の鋳造が始まっています。 天保一分銀は江戸時代の中でも、特にエポックメイキングな銀貨であって、それがまたヴィクトリアンと重なっていることから、この銀貨について少し詳しくなるのもよいでしょう。

天保一分銀の重さは8.62グラム、銀純度は99%ほぼ純銀でした。 写真のスプーンは重さが14グラムのスターリングシルバーですから、銀の重さは14g*92.5%=12.95gとなります。 そうしますと、銀地金換算で、この銀スプーンは天保一分銀 1.5枚ということになります。 

これはざっくり言って黄金小判で三分の一強ということで、当時の国際標準からすると相当な金額になってしまうのです。 その理由は徳川幕府の貨幣制度にありました。 幕府は長い年月をかけて銀高金安誘導に成功し、天保一分銀の鋳造をもって、素材に銀を含むことから銀貨ではあることは間違いないけれども、その実態は銀高金安を固定する計数貨幣を完成させたのでした。 

江戸時代の人々は小判と銀貨を使ってはおりましたが、その貨幣制度は「自由な貨幣鋳造」が認められていなかったという点で、金銀複本位制というよりも、むしろ現代の管理通貨制度に近い仕組みでありました。 なお、「自由な貨幣鋳造」とは、人々が造幣局に持ち込んだ金銀の地金を、造幣局が金属的に等価な金貨あるいは銀貨と交換してくれることを意味します。 

Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 4212 スターリングシルバー ティースプーン with 聖コルンバの船 SOLD
長さ 11.7cm、重さ 11g、ボールの深さ 6mm、最大幅 2.45cm、聖コルンバの船の長さ 2.0cm、1946年 バーミンガム、SOLD
写真二番目をご覧いただくと、聖コルンバの船の裏面にブリティッシュ ホールマークが刻印されているのが分かります。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1946年のデートレターになります。 
スターリングシルバー ティースプーン with 聖コルンバの船


No. 6374 スターリングシルバー Queen ElizabethU Silver Jubilee ティースプーン
長さ 11.6cm、重さ 15g、ボール部分長さ 3.8cm、最大幅 2.5cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.3cm、1977年 バーミンガム、四千五百円
クィーン エリザベス二世の戴冠25年シルバージュビリーを記念するスターリングシルバー ティースプーンです。 裏面にはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1977年のデートレター、そして女王の横顔マークで1977年限定のシルバージュビリーマークが刻印されています。



No. 15618 スターリングシルバー ピアストワーク ティースプーン SOLD
長さ 11.6cm、最大横幅 2.5cm、透かし柄の最大幅 1.4cm、柄の最大厚み 1.5mm、重さ 10g、1986年 バーミンガム、SOLD
15617 ティースプーンと同じ背景の品と思いますが、こちらの方が長めで、透かし部分の幅もやや狭いことから、全体としては細身なスマートタイプに見えます。

透かしの綺麗なスターリングシルバーのティースプーンです。 裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかりなのもグッドです。 

ゴルフ・メモラビリアの一つと思いますが、ある意味とても英国風なシルバーウェアと言えるでしょう。 イギリスではいろいろなスポーツが盛んですが、こういった銀製品との関連の深さでは、ゴルフと射撃が両横綱といった感があります。 今日ではイギリスのゴルフ愛好者も裾野が広がってきているようですが、少し前まではお金持ちのスポーツであったことと関連がありそうに見ております。

写真二番目に見えるように、柄の裏面にはメーカーズマーク、バーミンガムアセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1986年のデートレターが刻印されています。
スターリングシルバー ピアストワーク ティースプーン




No.14848 グラスゴー コート オブ アームズ(紋章) スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 11.5cm、重さ 17g、ボール部分の長さ 3.7cm、コート オブ アームズの最大幅 2.3cm、コート オブ アームズの最大厚み 1.5mm、1960年 エジンバラ アセイオフィス、六千円 SOLD
柄先に見える飾りがスコットランドはグラスゴーの紋章になります。 透かしの入ったこのコート オブ アームズ部分は、銀にかなりの厚みがあって、そのために全体の持ちはかりが17グラムと重たくなっています。 柄の中ほどに見えるねじり構造は、デザイン効果と強度アップを同時に追求するのに役立っており、このねじり柄も3ミリほどの厚みがあります。 そしてボール部分の銀にも厚みが感じられ、全体としてしっかり出来た銀のスプーンに仕上がっております。

ホールマークを調べてみると、お城のマークが刻印されていて、スコットランドのエジンバラ アセイオフィスで検定を受けた品であることが分かります。 英国のホールマーク制度にあっては、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのアセイオフィスの役割が大きくて、三つを合わせたシェアは9割ほどになるでしょう。 逆に言えば、それ以外のアセイオフィス マークが刻印されたシルバーウェアは珍しいので、そこにレア物の価値を見出すコレクターがいるのです。

ボール部分の裏面には四つのホールマークが刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すアザミマーク、エジンバラ アセイオフィスのキャッスルマーク、そして1960年のデートレターになります。

つまりこの品は、スコットランド第一の都市エジンバラのアセイオフィスで検定を受けたシルバーウェアで、モチーフとなっているのはスコットランド第二の都市グラスゴーの紋章という、Very Scotishな銀のティースプーンということになります。

ちなみに、このコート オブ アームズの体系化や研究は、イギリスにおいて九百年ほどの歴史を持っており、紋章学(Heraldry)は大学以上の高等教育で学ぶ歴史学の一分野となっています。 中世ヨーロッパにおいては、多くの国々に紋章を管理する国家機関がありました。 今ではなくなっているのが普通ですが、面白いことにイギリスでは紋章院がまだ活動を続けています。

それでは、グラスゴーのコート オブ アームズを詳しく見てみましょう。 写真二番目で中央の楯状部分をご覧になってください。 樹木のてっぺんに鳥がとまっていて、樹の右サイドにベルが下がっていて、樹の下には魚がいるマークが見て取れます。 この「鳥、木、鐘、魚」がグラスゴーの象徴なのです。

キリスト教の聖人St.ムンゴがグラスゴーの街をつくったと言われていて、彼が起こしたと伝わる四つの奇跡をうたった以下の詩にちなんだデザインがグラスゴーのコート オブ アームズになっているわけなのです。

Here's the bird that never flew
Here's the tree that never grew
Here's the bell that never rang
Here's the fish that never swam

というわけで、この盾状飾りの上にいる錫杖を手にした聖人はSt.ムンゴです。

ついでに、エジンバラ アセイオフィスのホールマークについて、この機会に概観しておきましょう。 スコットランドの銀製品がエジンバラで検定を受けるようになったのは遠く1457年にまで遡ります。 そしてエジンバラのアセイオフィスマークである「The Three Towered Castle」が導入されたのは今から 520年前の1485年のことです。 エジンバラに行ってみますと、小高い岩崖の上に街を見下ろすように建つエジンバラ城が、この街の象徴であることがよく分かり、お城がマークとされたのも頷けます。 「Thistle(=アザミ)」マークは、それまでアセイオフィス マスターのイニシャルをもって、銀のスタンダードマークとされていたものに代えて、1759年に導入されたマークで、イングランドで言えばライオンパサントにあたる刻印になります。




No. 17313 William Bateman スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 13.8cm、重さ 18g、ボール部分長さ 4.7cm、横幅 2.9cm、ボールの深さ 7mm、柄の最大幅 1.5cm、1821年 ロンドン、William Bateman作、SOLD



No. 17312 Peter, Ann & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン SOLD
長さ 11.7cm、重さ 10g、ボール部分の長さ 4.1cm、最大幅 2.45cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.05cm、1804年 ロンドン、Peter, Ann & William Bateman作、 SOLD
ジョージ三世の時代に作られたオールドイングリッシュ パターン スターリングシルバー ティースプーンです。 ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが英国ではよくあります。 

写真三番目のように、ホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、1804年のデートレター、ジョージ三世の横顔はデューティーマーク、そして 「PB,AB,WB」はメーカーズマークになります。

19.ベイトマン ファミリーのメーカーズマーク」の解説記事をご参考いただくと、アン・ベイトマンの息子であるウィリアムが大きくなって銀工房のパートナーに加わった頃の品であることが分かります。 それまで工房を支えてがんばってきたアンも一安心だったろうと想像するのです。

このティースプーンを見ていく場合、ウィリアムが工房に加わり、アン・ベイトマンが引退する少し前に作られたアンティークであることに興味を覚えます。 それまでの十年ほどはベイトマン ファミリーにとって大変な時でありました。

1790年にヘスター・ベイトマンが引退し、彼女の二人の息子達であったピーターとジョナサンによってファミリービジネスは引き継がれました。 ところが翌1791年にはジョナサンが亡くなってしまいます。 ジョナサンの奥方であったアンがご主人に代わり、ピーターとビジネスパートナーを組み、PB,AB(ピーター&アン ベイトマン)のマークで工房は引き継がれました。 大御所へスターの引退と、息子ジョナサンの不幸、そしてジョナサンの奥方アンの登場という工房の歴史を、私はアンの立場から見てしまい、大変な時であったろうと想像するのです。

その後、アンと亡くなったご主人ジョナサンの息子であったウィリアムが大きくなって新たにパートナーに加わり、PB,AB,WB(ピーター、アン& ウィリアム ベイトマン)のマークが使われる時代になりました。 そして息子のウィリアムが一人前になった1805年をもって、アンはようやく引退できる運びとなりました。 それまで工房を支えてがんばってきたアンも一安心だったろうと思うのです。

数多いシルバーウェアの中でもベイトマン ファミリーの品は別格に扱われることが多いようです。 一つには二百年に近い年月を経ているということがあるでしょう。 しかしそれでも、なぜ?と思われる方も多いはずです。 手にとって直に見てみると、ボール部分が先細なタイプで品の良さを感じ、柄の曲線のなんとも言えない優雅さ、手仕事のみが生み出す温かさが多くの人を惹きつけてきた要因であることがわかります。 

そうは言っても、ベイトマン以外のオールドイングリッシュ パターンの品とここがどうしても違うとは私は思わないのですが。 結局のところベイトマンがアンティークシルバーにおいて別格なのは、鶏が先か卵が先かの議論にもなりますが、コレクターの需要が強いからということになるのでは、と思います。

今から二百年以上も前の1804年に作られており、二世紀以上の時を経ているという古さはやはりアンティークとして大きな魅力になりましょう。 英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、このティースプーンが作られた頃はイギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。 

一つには産業革命の影響で英国社会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージ三世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍車をかけました。 18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死者が五百人を超える惨事となって革命一歩手前だったようです。 

さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが作られた頃というのは、おっかなびっくり隣国フランスの様子を窺いながら、当時のイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国史がそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」後半部分をご覧ください。
Peter, Ann & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン


No.17304 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン SOLD
長さ 11.9cm、重さ 10g、ボール部分の長さ 4.0cm、最大幅 2.4cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.25cm、1800年前後の作、SOLD
ジョージ三世の時代に作られたオールドイングリッシュ パターン スターリングシルバー ティースプーンです。 ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが英国ではよくあります。 
ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン


No. 15566 Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 12.9cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.7cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.25cm、1806年 ロンドン、Peter & William Bateman作、SOLD
Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No.16793 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン with 立ち姿ライオン コート オブ アームズ SOLD
長さ 13.7cm、重さ 21g、ボール部分長さ 4.7cm、最大横幅 2.75cm、ボールの深さ 6mm、1796年 ロンドン、George Smith & William Fearn作、SOLD
このスターリングシルバー ティースプーンは、今から220年ほど前の1796年作で、世界史で言えばフランス革命の頃にあたり、英吉利物屋の扱い品でもかなり古い品になります。
ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン with 立ち姿ライオン コート オブ アームズ


No.16785 エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 12.4cm、重さ 19g、ボール部分長さ 4.1cm、最大幅 2.65cm、深さ 6mm、柄の最大幅 1.2cm、1910年 シェフィールド アセイオフィス、SOLD
コンディション良好、ハンドエングレービングも美しいと思います。 今から百年以上前に作られたエドワーディアン アンティーク シルバーというのもよいでしょう。

写真二番目に見えるように、裏面には四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、1910年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークになります。

ティースプーンとしては大きめで、重さが20グラムほどあり、銀に厚みがあるので、銀の質感が心地よい重厚な一本になりましょう。 

ティーのお供に限らず、アイスクリーム用や、万能使いの出来るシルバーウェアとして如何でしょうか。



No. 16790 マッピン & ウェブ スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 11.2cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.7cm、最大幅 2.45cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.15cm、柄の厚み 2mm、1952年 シェフィールド、Mappin & Webb作、一本 八千五百円 (11本あります-->10本あります-->9本あります-->4本あります-->2本あります-->1本あります-->SOLD)

マッピン & ウェブ スターリングシルバー ティースプーン


No.16732 フラワー ピアストワーク スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 9.5cm、重さ 8g、最大幅 2.0cm、ボール部分の深さ 5mm、透かし柄の最大幅 1.1cm、柄の最大厚み 1.5mm、1962年 シェフィールド、SOLD
複数あったものですが、最後の一本になりましたので、写真を撮り直してみました。
フラワー ピアストワーク スターリングシルバー ティースプーン


No.16706 Mappin & Webb スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク SOLD
長さ 11.1cm、重さ 10g、最大幅 2.4cm、ボール部分の深さ 5mm、透かし柄の最大幅 1.2cm、1927年 バーミンガム、Mappin & Webb作、SOLD
Mappin & Webb スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク


No. 16664 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン with シェル SOLD
長さ 13.0cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.6cm、ボールの深さ 7mm、柄の最大幅 1.2cm、1807年 ロンドン、SOLD
ジョージ三世の時代に作られたオールドイングリッシュ パターン スターリングシルバー ブライトカット ティースプーンです。 ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが英国ではよくあります。 
ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン with シェル


No.16548 James Dixon & Son 三つ葉モチーフ ピアストワーク スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 10.1cm、重さ 9g、最大幅 2.0cm、透かし柄の最大幅 1.1cm、ボール部分の深さ 5mm、1921年 シェフィールド、James Dixon & Son作、SOLD
James Dixon & Son 三つ葉モチーフ ピアストワーク スターリングシルバー ティースプーン


No.16476 エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 11.1cm、重さ 15g、最大幅 2.3cm、ボール部分の長さ 3.4cm、柄の最大幅 1.05cm、柄の最大厚み 2mm弱、1908年 シェフィールド、W S Savage & Co.作、SOLD

手彫りのエングレービングが繊細で美しい、オーソドックスなエドワーディアン アンティーク シルバーと思います。 銀が厚めでふっくら感があるのもよいでしょう。 写真二番目に見えるように、ブリティッシュ シルバー ホールマークもしっかり深く刻印されております。

コンディション良好ながら、百年以上の時を経ている古さは、やはりアンティークとしての魅力になりましょう。 写真二番目に見える裏面のホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスのクラウンマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1908年のデートレター、そして W S Savage & Co.のメーカーズマークになります。 

写真のシルバーウェアが作られたのは、日本でいえば日露戦争が終わった頃、かなり古いことがお分かりいただけましょう。 

明治39年(1906年)には夏目漱石の『草枕』が出ております。 東京を離れた温泉宿で非人情の旅をする画工の話ですから、当時の社会情勢がメインテーマではありませんが、それでも、出征していく若者を見送ったり、日露戦争や現実社会の影が背景に見え隠れしています。 昔の時代に思いを馳せるアンティークな資料として、私のお気に入りの一つです。

このエドワーディアン アンティーク シルバーが作られたのは、ロンドンに夏目漱石が留学していた頃でもあり、当時のイギリスの様子は以下の解説記事もご参考ください。
45. 夏目漱石のイギリス留学、アーツ・アンド・クラフツ ヴィクトリアン シェイクスピア本、そして漾虚集(ようきょ集)

エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン


No. 16435 ヴィクトリアン スターリングシルバー ジョージ・アダムス(=Chawner & Co) オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 13.7cm、重さ 18g、ボール部分の長さ 4.5cm、最大横幅 2.55cm、ボールの深さ 0.6cm、柄の最大幅 1.15cm、1871年 ロンドン、George W Adams(=Chawner & Co)作、七千円 SOLD

ヴィクトリアン スターリングシルバー ジョージ・アダムス(=Chawner & Co) オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 16355 ヴィクトリアン スターリングシルバー ジョージ・アダムス(=Chawner & Co) オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 13.7cm、重さ 18g、ボール部分の長さ 4.5cm、最大横幅 2.55cm、ボールの深さ 0.6cm、柄の最大幅 1.15cm、1871年 ロンドン、George W Adams(=Chawner & Co)作、七千円 SOLD

かなり古いヴィクトリアン アンティークですが、ほとんど使われずに今日に到っているようで、百四十年も前の品とは思えないほどコンディション良好な銀のスプーンです。 また、ボール部分から柄にわたって、全般として銀が厚めな作りで、手にしてみますと、重厚な銀の質感に魅力を感じるアンティークと思います。 

ヴィクトリアン スターリングシルバー ジョージ・アダムス(=Chawner & Co) オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 16432 スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク SOLD
長さ 9.5cm、重さ 7g、最大幅 1.9cm、ボール部分の深さ 4mm、透かし柄の最大幅 0.9cm、柄の最大厚み 1.5mm、1962年 バーミンガム、七千円、(6本あります-->SOLD)
スタイリッシュなフォルムが気に入りました。 小振りなシルバー ティースプーンながら、品のよさとと繊細なピアストワークに惹かれます。 ティーとコーヒーともにお使いいただけますし、こうした銀のスプーンが一本あると、お茶の時間の楽しみが増えるように思います。 

ブリティッシュ シルバーホールマークがしっかり刻印された銀製品であることもポイントです。 写真二番目に見える裏面のホールマークは順に、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1962年のデートレターになります。
スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワー


No. 16407 エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 11.45cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.9cm、柄の最大幅 1.3cm、柄の最大厚み 2mm、1901年 シェフィールド、Millar Wilkinson作、SOLD
今から百年以上前、ヴィクトリア時代が終わりエドワーディアンの時代が始まった年に作られたスターリングシルバー ティースプーンです。 13グラムと持ちはかりがあり、銀が厚めな作りとなっており、手にした時のしっかり感は好印象です。 また、両面にわたって装飾が施されているので、やはり見た感じがゴージャスに仕上げっており、こうしたデザイン性の高さはアンティークの特徴となっています。 

レリーフのデザインは植物模様と波模様もしくは渦模様の融合パターンとなっています。 もう少し詳しく見ていくと、Cスクロールが多用されているのが特徴的です。 スクロールパターン(渦模様)の中でもアルファベットの「C」の形状をしたものを Cスクロールと呼びます。 楕円の柄先のすぐ下にCスクロールが見えていますし、柄先の周辺部にも細かくCスクロールが見えています。 そしてボール部分に近い柄元に見える形も、背中合わせになって左右に開いた二つのCスクロールです。 

ボール裏面には四つのブリティッシュホールマークが刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順に、「Millar Wilkinson」のメーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1901年のデートレターになります。 
エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン


No.16396 エドワーディアン スターリングシルバー Forget-me-not(忘れな草) モチーフ ティースプーン SOLD
長さ 11.4cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.5cm、柄の最大幅 1.3cm、柄の最大厚み 2mm、1901年 シェフィールド、Henry Wilkinson & Co作、七千円 SOLD

エドワーディアン スターリングシルバー Forget-me-not(忘れな草) モチーフ ティースプーン


No. 16333 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 12.2cm、重さ 12g、ボール部分の長さ 4.2cm、最大幅 2.55cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.2cm、1795年 ロンドン、一万円 SOLD

このスターリングシルバー ティースプーンは今から二百十七年前の1795年の作で、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 二世紀以上前の古い銀スプーンであるにもかかわらず、ホールマークがどれもしっかり深く刻印され、磨耗もなく現在に至っていることはグッドです。 

ホールマークは順にメーカーズマーク、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、1795年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

写真二番目に見えるように、スターリングシルバーを示すライオンパサント刻印がはっきりしていて、Lion Passant Guardant(真正面向き)と分かるのも、アンティークとして興味深いポイントとなっています。

英国王ジョージ三世についてですが、1760年から1820年までのジョージ三世時代はイギリス史においても長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。 

二十一世紀に入り2012年ともなった今日から振り返ると、1900年代の品でもなく、1800年代の品でもない、1795年に作られているのは、やはり飛び切り古いアンティークという気がします。 そして、博物館に飾られるようなアンティークシルバーはいざ知らず、私たちが収集していけるアンティークシルバーウェアとしては、その出現頻度には1780年辺りにボーダーラインがありますので、その意味でも写真の銀スプーンの古さは一級品といえましょう。

大きな時代の流れのなかで、このアンティークの位置づけについては、英国アンティーク情報欄にあります「37. アンティークと歴史経済の大循環について」をご覧になってください。

写真のティースプーンのホールマークをルーペで詳しく観察してみると、ライオンパサントの口が開いているのが確認できます。 その意味するところは、ライオンパサントには二通りあることと関係があります。 アンティーク スターリングシルバーの知識として知っておいたら面白いでしょう。

1820年までのライオンは横歩きの姿で顔だけは正面を向いています、そして1821年以降は顔も横向きのライオンになるのです。 厳密に言うと、Lion Passant Guardant(真正面向き)と、Lion Passant Profile(横向き)と呼んで区別されます。 アンティークハントの際に、ルーペでライオンマークを調べてみて、こっちを向いていたらかなり古いという使い方が出来るわけです。

Lion Passant Guardant マークが大きめなら、両眼と真ん中の口が分かりやすいでしょう。 マークが小さい場合には、口の位置が目印になりましょう。 

ティースプーンでは一般に刻印も小さめになります。 このティースプーンの場合は、ルーペで観察してみると、真ん中に口が開いていることが分かります。 Lion Passant Guardant(真正面向き)が刻印されていることから、なるほどこれはかなり古いアンティークだと分かるのです。

英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、このティースプーンが作られた18世紀後半はイギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。 一つには産業革命の影響で英国社会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージ三世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍車をかけました。 18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死者が五百人を超える惨事となって革命一歩手前だったようです。 

さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが作られた頃は、おっかなびっくり隣国フランスの様子を窺いながら、当時のイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国史がそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。

それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄にあります「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世とデュティーマークについては、 「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記事の後半もご参考ください。
ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 14995 ヴィクトリアン スターリングシルバー ブライトカット ティースプーン SOLD
長さ 13.3cm、重さ 19g、ボール部分の長さ 4.6cm、最大横幅 2.7cm、ボールの深さ 0.8cm、柄の最大幅 1.3cm、1894年ロンドン、George Maudsley Jackson作(=Josiah Williams & Co.作)、SOLD (6本あります-->5本あります-->4本あります-->3本あります-->SOLD)
ヴィクトリアン スターリングシルバー ブライトカット ティースプーン

No. 15754 アール・ヌーボー リリーパターン エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 10.6cm、重さ 13g、ボール部分最大幅 2.15cm、柄の最大幅 1.15cm、柄の最大厚み 2.5mm、1901年 シェフィールド、Walker & Hall作、SOLD(4本あります-->SOLD)

ゆりモチーフのレーリーフが華やかで、その優雅な曲線デザインを特徴とするスターリングシルバー ティースプーンです。 両面に見えるデザインの特徴から「Lily pattern(ゆりパターン)」と呼ばれます。 興味深いデザインであることに加えて、百年以上の時を経て現代に至っているアンティークであることも、この品の魅力を高めているように思います。 

写真三番目で見えるように、裏面のホールマークは順に「Walker & Hall」のメーカーズマーク、1901年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールドの王冠マークになります。

キングスパターンやフィドルパターンといったメジャーなパターンではなく、マイナーパターンの一つなので、アンティーク シルバーウェアの参考書では紹介されることがあっても、実際に見かける頻度はそう多くありません、その意味でレア物アンティークの一つ言ってよいでしょう。 

アール・ヌーボーの歴史を紐解くと、ゆりデザインは大きな役割を果たしてきました。 「Lily pattern(ゆりパターン)」は、エルキントンという有名どころのシルバースミス(銀工房)が、1850年に考案しデザイン登録したのが始まりです。 そしてChawner & Co.のパターンブックでは 「Lily pattern」と名前が付けられて、世に知られるようになった経緯があります。 ヴィクトリアン中期のNaturalism(自然主義)を代表するデザインで、アール・ヌーボーにダイレクトな影響を与えたデザインです。




No. 16358 グッドラック クローバー モチーフ スターリングシルバー ティースプーン with ゴールドギルト & 青エナメルワーク SOLD
長さ 10.0cm、重さ 10g、ボール部分の最大幅 1.9cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大厚み 2mm弱、デンマーク製、一本 五千円 (青エナメル2本あります。)SOLD

スターリングシルバーのティースプーンで、裏面には素材のスターリングシルバーを示す「STERLING」の文字と、デンマーク製を示す「DENMARK」の国名が見えます。 全体がゴールドギルトされており、さらに柄先に向かってエナメルワークが施されています。 。

エナメルはクローバーの形に抜けたデザインで、クローバーの葉っぱが並んだ中には四葉のクローバーもあって、グッドラック効果が増しているように感じます。 モチーフもよいですし、可愛らしい小品と思います。

モチーフとしてのクローバーについて、英語には「live in the clover (安楽に暮らす)」という言い回しがあり、こうしたクローバーのよい意味合いが、シルバーウェアに込められています。 クローバーと安楽の繋がりについて、牧草を刈り入れしていたファーマーの方から教えていただいたことがあるので、ご紹介しておきましょう。 

牧草など植物の成長には土中の窒素分が必要ですが、クローバーは進化した植物で、大気中の窒素を直接に取り込んで養分に出来るのだそうです、そのため、クローバーのある畑は肥沃になります。 また家畜の飼料としてもクローバーの繊維質とプロテインが動物たちの成長に欠かせないのだそうです。 と言うわけで、クローバーに恵まれた農場は栄え、安楽に暮らしてゆけるということでした。

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後、七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 

このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説がありますので、ご参考まで。 

グッドラック クローバー モチーフ スターリングシルバー ティースプーン with ゴールドギルト & 青エナメルワーク


No. 16357 グッドラック クローバー モチーフ スターリングシルバー ティースプーン with ゴールドギルト & 黒エナメルワーク SOLD
長さ 10.0cm、重さ 10g、ボール部分の最大幅 1.9cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大厚み 2mm弱、デンマーク製、五千円 (黒エナメル1本あります。) SOLD

スターリングシルバーのティースプーンで、裏面には素材のスターリングシルバーを示す「STERLING」の文字と、デンマーク製を示す「DENMARK」の国名が見えます。 全体がゴールドギルトされており、さらに柄先に向かってエナメルワークが施されています。 。

エナメルはクローバーの形に抜けたデザインで、クローバーの葉っぱが並んだ中には四葉のクローバーもあって、グッドラック効果が増しているように感じます。 モチーフもよいですし、可愛らしい小品と思います。

モチーフとしてのクローバーについて、英語には「live in the clover (安楽に暮らす)」という言い回しがあり、こうしたクローバーのよい意味合いが、シルバーウェアに込められています。 クローバーと安楽の繋がりについて、牧草を刈り入れしていたファーマーの方から教えていただいたことがあるので、ご紹介しておきましょう。 

牧草など植物の成長には土中の窒素分が必要ですが、クローバーは進化した植物で、大気中の窒素を直接に取り込んで養分に出来るのだそうです、そのため、クローバーのある畑は肥沃になります。 また家畜の飼料としてもクローバーの繊維質とプロテインが動物たちの成長に欠かせないのだそうです。 と言うわけで、クローバーに恵まれた農場は栄え、安楽に暮らしてゆけるということでした。

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後、七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 

このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説がありますので、ご参考まで。 

グッドラック クローバー モチーフ スターリングシルバー ティースプーン with ゴールドギルト & 黒エナメルワーク


No. 14890 エドワーディアン スターリングシルバー Queen Anne パターン ティースプーン SOLD
長さ 11.4cm、重さ 12g、ボール部分の最大幅 2.35cm、柄の最大幅 1.2cm、1901年 シェフィールド、James Deakin & Sons Ltd作、SOLD (6本あります-->2本あります-->1本あります-->SOLD)
今から百十年ほど前に作られたエドワーディアン アンティークで、柄先のデザインからQueen Anne パターンと呼ばれます。 作られたのは正確には1901年のことで、ヴィクトリア時代が終わって、エドワーディアンの時代が始まった初年になります。 

このデザインは1880年代にイギリスで初めて登場し1900年頃にはかなりの人気となりました。 あるいは別名ではオーバニー(Albany)パターンと呼ばれることもあります。 ヴィクトリア期の有力シルバースミスであるフランシス・ヒギンスのパターンブックで、 Queen Anneパターンとされて以来、Albany あるいは Queen Anneと両方の名前が使われるようになりました。

ボール部分の裏面にはメーカーズマーク、1901年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークが刻印されています。

「James Deakin & Sons Ltd」は1865年にジェームス・ディーキンによってシェフィールドで創業されたのが始まりです。 1886年には彼の三人の息子達、ウィリアム、ジョン、アルバートもパートナーに加わり、ファミリービジネスとして上述の社名に変更し、事業は順調に発展していきました。 1888年にはロンドン支店開設、ヴィクトリア後期の1890年代には、スコットランドのグラスゴーとアイルランドのベルファストにも支店を開設しています。 

しかし多くのシルバースミスがそうであったように、事業のピークは英国の国力がピークであったビクトリア後期からエドワーディアンの時代にあったようです。 その後は事業を次第に縮小していき第二次世界大戦が始まった1940年には店を閉めました。 メーカーズマークの「JD WD」はJohn & William Deakinのイニシャルになっています。

このアンティークが作られた頃の時代背景については英国アンティーク情報欄にあります 「14. Still Victorian」の解説記事もご参考ください。
エドワーディアン スターリングシルバー Queen Anne パターン ティースプーン


No. 15824 ジョージアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン with シェル SOLD
長さ 13.1cm、重さ 12g、ボール部分の長さ 4.35cm、最大幅 2.7cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.15cm、1824年 ロンドン、James Beebe作、一万二千円 SOLD

最後の一本となりましたので、写真を撮り直してみました。

ほぼ同等品が六本ありましたが、製作年やシルバースミスが異なっています。 もともとのオーナーがリプレイスしたか、あるいは特別に注文してセットの本数を増やしていったものと思います。 二百年前の銀製品の扱われ方が分かって興味深いことです。 

今から二百年近く前に作られたオールドイングリッシュ パターン ブライトカットのアンティーク スターリングシルバー ティースプーンです。 ボール部分のシェルパターンも綺麗です。

シェルパターンは12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

写真二番目のホールマークは順に James Beebeのメーカーズマーク、ロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1824年のデートレター、そしてジョージ四世の横顔はデューティーマークです。

オールドイングリッシュ パターンについては英国アンティーク情報欄にあります「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご参考ください。

同等品が六本ありましたが、製作年やシルバースミスが異なっていました、製作年を調べてみると、1816年、1817年、1817年、1823年、1824年、1826年となっています。 さて、この事実をシャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロよろしく、どう解釈するかです。 

もともとのセットを使っていくうちに、紛失や破損があって、リプレイスする事例はよくある話です。 ただし製作年の間隔を見ていくと、どうもリプレイスのようには思えません。 さらに加えて、六本ともほぼ同等にコンディションがよろしくて、あまり使われた形跡がありません。 使い込んでいなかったら、破損も生じなかったと思います。 

おそらく、もともとのオーナーはセットの本数を少しずつ増やしていったものと考えます。 何かの記念ごとに増やしたのか、あるいは、当時の銀はかなりの貴重品ですから、単に本数を増やすのに年月がかかったのか、それは分かりません。 とても大切に扱われてきた品だということもよく伝わってきます。 もうひとつ、銀工房に頼んだら、十年かけてでも同じ品物が作っていただけたというのは、たいしたことだと思います。

二百年前のイギリスで銀製品がどのように扱われてきたのか、おぼろげながらも見えてくるという意味で、とても興味を惹かれるアンティークシルバーと思います。

これらの品が作られてから二百年後に、あれこれ推理されていようとは、もとのオーナーは思いもしなかったことでしょう。 年月を通じて残っていくアンティークの不思議と感じます。 またあと二百年が経ったら、誰かが手にとって思いをいたしているかも知れません、大事にしていきたいと思います。

大きな歴史の中でのアンティーク シルバーの位置づけについては、英国アンティーク情報欄にあります「37. アンティークと歴史経済の大循環について」もご参考まで。
No. 15824 ジョージアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン with シェル


No. 15565 Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 12.9cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.7cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.25cm、1806年 ロンドン、Peter & William Bateman作、SOLD
Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 15653 ブライトカット エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
ティースプーンの長さ 11.0cm、重さ 15g、ボール部分最大幅 2.2cm、ボールの深さ 6mm、1909年 シェフィールド、John Round & Son Ltd.作、SOLD (4本あります-->3本あります-->1本あります-->SOLD)

二重ビーズパターンで縁取った外側を、縄目状にブライトカットを深めな彫刻で施したスターリングシルバー ティースプーンです。 柄の厚みは最大で2mm強、ボール部分の銀も厚めなので、持ちはかりがあってしっかりした印象の品と思います。

ブライトカット エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン


No. 15706 グラスゴー アセイオフィス エドワーディアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 10.3cm、重さ 9g、ボール部分の長さ 3.5cm、最大幅 2.1cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 8.5mm、1908年 グラスゴー アセイオフィス、SOLD (6本あります-->4本あります-->3本あります-->1本あります-->SOLD)
グラスゴー アセイオフィス エドワーディアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 15048 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 12.1cm、重さ 11g、ボール部分の長さ 4.1cm、最大幅 2.3cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.2cm、1794年 ロンドン、八千円 SOLD
このスターリングシルバー ティースプーンは今から二百十六年前の1794年の作で、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。 

写真二番目のホールマークは順に メーカーズマーク、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、1794年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

このティースプーンは四本セットで求めたうちの一本になりますが、セットは1795年作が二本と1794年作が二本で構成されていました。

英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、このティースプーンが作られた18世紀後半はイギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。 一つには産業革命の影響で英国社会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージ三世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍車をかけました。 18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死者が五百人を超える惨事となって革命一歩手前だったようです。 

さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが作られた頃は、おっかなびっくり隣国フランスの様子を窺いながら、当時のイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国史がそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。
ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン


No. 17031 アール・デコ スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク SOLD
長さ 9.5cm、重さ 8g、ボール部分の最大幅 2.0cm、透かし柄の最大幅 1.3cm、柄の最大厚み 2mm弱、1943年 バーミンガム、 (6本あります-->4本あります-->SOLD)

今から70年近く前に作られたスターリングシルバーのティースプーンです。 ピストワークに特徴があり、直線的な幾何学デザインは、アール・デコの系譜上にある品と言ってよいでしょう。 ボール裏面にはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1943年のデートレターが刻印されています。

透かしが繊細で美しく、小振りで可愛い銀スプーンと思いますが、柄元あたりで銀の厚みは2ミリほどあって、銀が厚めなことは好印象です。 小振りサイズの割には、しっかり出来ていることには、ちょっと意外な感じもして、しかし考えてみると、そういうところはいかにも英国風と思うのです。
アール・デコ スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク


No. 16671 ヴィクトリアン シルバープレート ティースプーン (ヴィクトリア女王 ダイヤモンド ジュビリー コメモレーション) SOLD
長さ 13.4cm、重さ 23g、ボール部分長さ 4.5cm、最大幅 2.8cm、深さ 7mm、柄の最大幅 1.9cm、1897年 英国製、 SOLD
ヴィクトリアン シルバープレート ティースプーン (ヴィクトリア女王 ダイヤモンド ジュビリー コメモレーション)


No.16361 グラスゴー アセイオフィス ダブル ブライトカット ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 13.1cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.6cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.25cm、1885年 グラスゴー アセイオフィス、SOLD
グラスゴー アセイオフィス ダブル ブライトカット ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン


No.16360 グラスゴー アセイオフィス ダブル ブライトカット ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 13.1cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.6cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.25cm、1885年 グラスゴー アセイオフィス、SOLD

彫刻の様子から感じることは、シルバーウェアの彫りというよりも、クロスなどの装飾品といった雰囲気が伝わってくる、不思議な風情のスターリングシルバー ティースプーンです。 15グラムと持ちはかりがあって、しっかり出来たヴィクトリアーナであるところも好感が持てます。

柄に施された手彫りのエングレービングが凝っていて、表情豊かなヴィクトリアン アンティークに仕上がっています。 エッジ周りの装飾ライン内側をルーペで見てみると、ブライトカットで小さな四角彫りを施した上に、鍵彫りを加えて仕切ることによって、四葉ユニットを構成させているのが分かります。 あるいは、スプーンの周囲をブライトカットで二重に巻いてダブルブライトカットとし、さらに鍵彫りで仕切って装飾を施した彫刻とも言えましょう。 このエッジ周りの装飾がかなり幅広で、2ミリの幅が取られていることから、ゴージャス感が増しているように思います。
グラスゴー アセイオフィス ダブル ブライトカット ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン


No.16359 グラスゴー アセイオフィス ダブル ブライトカット ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 13.3cm、重さ 15g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大幅 2.5cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.25cm、1885年 グラスゴー アセイオフィス、SOLD
グラスゴー アセイオフィス ヴィクトリアン スターリングシルバー ティースプーン


No.16595 スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 10.0cm、重さ 7g、ボール部分の長さ 3.3cm、最大幅 2.25cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.0cm、バーミンガム アセイオフィス、エドワーディアン頃の英国製、SOLD

スターリングシルバー ティースプーン


No. 15034 エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 11.1cm、重さ 16g、最大幅 2.2cm、ボール部分の長さ 3.6cm、柄の最大幅 1.05cm、柄の最大厚み 2mm、1905年シェフィールド、John Round & Son Ltd.作、一本 四千円 (6本あります-->5本あります-->4本あります-->3本あります-->SOLD)
エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン


No. 15519 エドワーディアン スターリングシルバー ティースプーン SOLD
長さ 12.0cm、重さ 17g、最大幅 2.3cm、ボール部分の長さ 3.8cm、柄先の最大幅 1.45cm、柄の最大厚み 2.5mm、1910年 ロンドン、J W Benson Ltd作、七千円 (1本あります)SOLD
このエドワーディアン アンティークは、J W Benson Ltd というシルバースミスの名前に惹かれて求めました。

J W Benson Ltd について、ブリティッシュ ホールマークのガイドブックである『JACKSON’S HALLMARKS』によれば、コメント欄に「Important firm (重要なる会社)」とあって、簡潔過ぎて、いったいどう重要なのか分かり難いのですが、敷衍して申し上げますと、写真のティースプーンを作った J W Benson は王室御用達のウォッチメーカー&シルバースミスであった為と考えられます。

ゴールデン ジュビリーの時に、ヴィクトリア女王に贈られた J W Benson作 金銀エナメル製のアルバート メモリアル モデルが、ロイヤルコレクションに入っており、英国王室 バッキンガム宮殿の以下サイトでご覧いただけます。

Royal Collection - Model of the Albert Memorial (ロイヤル コレクション)

あまり見かけないフォルムにも興味を覚えました。 だるまシェイプに愛嬌があって、使っていくうちに愛着が増していきそうな感じです。 作られたのは今から百年以上前のエドワーディアン終りころで、英国でいうところの正式なアンティークに昇格した銀スプーンであることもよいでしょう。 

ティースプーンながら17グラムと持ちはかりがあるのは、写真二番目をご覧いただくと分かるように、柄がかなり厚めに作られている為で、このあたりも英国風な銀製品と感じます。

写真三番目に見えるホールマークは順に J W Bensonのメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1910年のデートレターです。



No. 14886 チューダーローズ & クラウン スターリングシルバー スプーン with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
長さ 11.8cm、重さ 11g、最大幅 2.95cm、チューダーローズの直径 1.8cm、1981年 バーミンガム、七千円 SOLD
チューダーローズが柄先に付いたスターリングシルバーのスプーンです。 ボール部分に大きめホールマークを刻印して、ブリティッシュ ホールマークのデザイン自体を楽しむ趣向ともなっています。 ちなみにライオンパサントの横幅は4.5ミリあります。

ホールマークは順にメーカーズマーク、1981年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてバーミンガム アセイオフィスの アンカーマークです。

このバラのモチーフは外国人にはピンと来ないかも知れませんが、英国人ならすぐに分かるチューダーローズです。 

英国史にあまり通じていない私たちには、見分けるのが難しいのですが、イギリスでは小中学校の歴史でチューダー時代を細かく教えますので、このチューダーローズは子供たちでも当たり前のように知っているモチーフなのです。 
チューダーローズ & クラウン スターリングシルバー スプーン with ブリティッシュ ホールマーク


No. 17013 Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 13.5cm、重さ 17g、ボール部分の長さ 4.6cm、最大幅 2.85cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.3cm、1807年 ロンドン、Peter & William Bateman作、SOLD
このスターリングシルバー ティースプーンは今から二百年ちょっと前の1807年作で、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。 

19世紀初めの品でありながら、コンディションのよさから判断するに、あまり使われることなく現在に至っているものと思われます。 持ちはかりがあって、しっかり銀が使われていることもグッドです。

写真三番目のホールマークは順に メーカーズマーク、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、1807年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

このティースプーンを見ていく場合、アン・ベイトマンが引退した頃に作られたアンティークであることに興味を覚えます。 それまでの十年ほどはベイトマン ファミリーにとって大変な時でありました。

1790年にヘスター・ベイトマンが引退し、彼女の二人の息子達であったピーターとジョナサンによってファミリービジネスは引き継がれました。 ところが翌1791年にはジョナサンが亡くなってしまいます。 ジョナサンの奥方であったアンがご主人に代わり、ピーターとビジネスパートナーを組み、PB,AB(ピーター&アン ベイトマン)のマークで工房は引き継がれました。 大御所へスターの引退と、息子ジョナサンの不幸、そしてジョナサンの奥方アンの登場という工房の歴史を、私はアンの立場から見てしまい、大変な時であったろうと想像するのです。

その後、アンと亡くなったご主人ジョナサンの息子であったウィリアムが大きくなって新たにパートナーに加わり、PB,AB,WB(ピーター、アン& ウィリアム ベイトマン)のマークが使われる時代になりました。 そして息子のウィリアムが一人前になった1805年をもって、アンはようやく引退できる運びとなりました。 それまで工房を支えてがんばってきたアンも一安心だったろうと思うのです。

数多いシルバーウェアの中でもベイトマン ファミリーの品は別格に扱われることが多いようです。 一つには二百年に近い年月を経ているということがあるでしょう。 しかしそれでも、なぜ?と思われる方も多いはずです。 手にとって直に見てみると、ボール部分が先細なタイプで品の良さを感じ、柄の曲線のなんとも言えない優雅さ、手仕事のみが生み出す温かさが多くの人を惹きつけてきた要因であることがわかります。 

そうは言っても、ベイトマン以外のオールドイングリッシュ パターンの品とここがどうしても違うとは私は思わないのですが。 結局のところベイトマンがアンティークシルバーにおいて別格なのは、鶏が先か卵が先かの議論にもなりますが、コレクターの需要が強いからということになるのでは、と思います。

ベイトマン ファミリーの系譜については、 「19.ベイトマン ファミリーのメーカーズマーク」の解説記事もご参考ください。 また、オールド イングリッシュ パターンについては、「4.イングリッシュ スプーン パターン」を、そしてデューティーマークについては、「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記事の後半もご覧ください。
Peter & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン

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