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アンティーク シルバー スプーン、ティーポット、ティーストレーナー、トング、サーバー、フォーク、ティー関連(3)





No. 20124 エドワーディアン スターリングシルバー バター ナイフ with ピアストワーク
長さ 15.4cm、重さ 20g、ブレードの最大幅 2.2cm、透かし柄の最大幅 1.85cm、1910年 バーミンガム アセイオフィス、二万二千円
トラディショナル イングリッシュ バターナイフ

以下では、英国のバターナイフの特徴と歴史を、ヴィクトリア期のバターの製法とあわせてご紹介しています。
igirisumonya.com/butterknife


最後に、エドワーディアンのシルバーバターナイフ完成形です。 英国バターナイフの伝統にのっとったオーセンティックなフォルム、綺麗な透かし細工に、美しいハンド エングレービング。

ジョージアンに始まり、エドワーディアン以降、今日に至るまでのバターナイフの全ての歴史を眺め渡しても、頂点に位置するシルバー作品と思えます。
エドワーディアン スターリングシルバー バター ナイフ with ピアストワーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン スターリングシルバー バター ナイフ with ピアストワーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン スターリングシルバー バター ナイフ with ピアストワーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20125 シルバー プレート 銅製 ペーパーナイフ
長さ 16.1cm、重さ 20g、ブレードの最大幅 1.25cm、柄の最大厚み 6.5mm、四千円

アンバー色の飾り部分が、最も厚みがあって、6.5ミリあります。 この飾り部分の厚みによって、手になじんで、扱いやすいペーパーナイフとなっています。 

裏面には銅合金の上にシルバープレートが施されていることを示す『EPCM』の刻印があります。 

写真二番目にあるように、飾り部分の周囲にはウェーブパターンといいましょうか、スパイラルの効いたデザインが見られます。

「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフの一つであって、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。

シルバー プレート 銅製 ペーパーナイフ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)シルバー プレート 銅製 ペーパーナイフ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20123 エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)
長さ 16.4cm、重さ 22g、ブレードの最大幅 1.85cm、シルバーハンドルの最大幅 1.7cm、シルバーハンドルの最大厚み 1.0cm、1914年 シェフィールド アセイオフィス、九千円

ブレード部分はシルバープレートで、流麗なウェーブパターンの彫刻が綺麗です。 彫りが繊細でレベルの高い仕事と感じます。 デスク周りに置いて、ペーパーナイフにするのもよいでしょう。

ピストルハンドルはスターリングシルバーです。 ハンドルが先端に向かって一方向に曲がっていくこのタイプは、ピストルハンドルと呼ばれ、もともとはイギリスにおいて18世紀初頭に現われたデザインになります。

写真一番目でハンドルに刻印されているブリティッシュ ホールマークは、メーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1914年のデートレターです。

写真二番目をご覧いただくと、ハンドル裏面にもスターリングシルバーを示すライオンパサントと1914年のデートレターが刻印されています。

百年近く前の品ですが、コンディションは良好で綺麗と思います。 ハンドルとブレード取り付けしっかりであることもよいでしょう。 作られたのは第一世界大戦が始まった頃の1914年ですから、アンティークシルバーの時代区分としては、エドワーディアンと言ってよろしいでしょう。

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in four years. (この品はあと四年でアンティークになります。)」という言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年月の経過は大きなメルクマールになりますので、上記のような会話がなされる機会も多いのです。 

写真のナイフが作られたのは1914年ですから、晴れて正式なアンティークに昇格した品ということになります。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この品には、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

歴史を振り返ってみますと、この品が作られたのはエドワーディアンが終って、第一次世界大戦が始まる頃になります。 その頃の出来事として、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No.20071 エルキントン アール・ヌーボー リリーパターン ヴィクトリアン シルバープレート テーブルフォーク with コート オブ アームズ(ウィング紋章)
長さ 21.6cm、重さ 74g、柄の最大横幅 2.7cm、柄の最大厚み 4mm、1879年 エルキントン作、一本 七千円

アンティークとしてかなり見所の多いよい品と、私は思っているのですが、お求めいただいたお客様から、実際に使ってみてのご感想をいただきました。 掲載許可をいただきましたので、ご参考ください。

以下がお客様からのご感想です。

『リリーパターンのフォークを見た時にはこれだと思ったのです。 対のテーブルウェア、それも歴史のあるもの、美しいもの、見た目にも触っても心地よいもので食事をするのは、これ以上無く贅沢な時間です。 100年の季を経てもなお艶やかなフォークとスプーンは、余計な物をそぎ落としたシンプルなデザインが、その存在全体を完全なものにしているように感じます。 

もちろん、見て楽しむだけでもいいのでしょうが、使うために作られたテーブルウェア、使ってこそその良さがわかります。 当時のイギリスでパスタを食べたかどうかはわかりませんが、このスプーンとフォークで食べるパスタは格別で、偏屈な夫が珍しく「おいしい」と何度も言いました。 このスプーンとフォークのお陰ではないかと思います。 

食べる時だけではありません。 洗うときも拭くときも、置いてあるときも、歴史を見てきた先輩がうちにいるような感覚、なんとも言えません。 表だけの模様ではなく裏にもさりげなく模様があって、コストカット優先の今日ではほぼ考えられない手間と材料を使って、良い物を作ろうという心はおそらく、たとえそれが生き物で無くても時を経ても宿るものなのなのかなぁと思っています。 

大切に使います。 本当に洒落た言葉の一つも書けませんが、畑様にはいつもいつも感謝しています。 ありがとうございます。』

お客様のご感想は以上でした。  S様 ご感想いただきありがとうございます。 私はこの品をとても気に入っており、皆様にお薦めしたいアンティークと考えております。 こういった新たな視点からのインプレッションは参考になり、皆様のお役にも立とうかと思います。 ありがとうございました。 店主


かなり大きなアンティーク フォークです、現代的な使い道としてはパーティーのときのサーバーとされるのもよいでしょう。

素材は厚めで質感があり、すべてしっかり出来たところが好ましい、おすすめ出来るヴィクトリアン シルバープレート テーブルフォークです。 そして、アール・ヌーボーの時代を先駆けたリリーパターンというのはやはり大きなポイントでありましょう。 

写真四番目をご覧いただくと、エルキントンのマークが並んでおりますが、左から二つ目に見える四角に「T」のマークが、1879年作であることを示す刻印で、これはエルキントン独自のデートレター システムによっています。 シルバープレートの品においては、その大半が、もっと言えばおそらく99%以上の品では、製作年を特定することは出来ません。 エルキントンの品であっても、デートレターのある場合と、ない場合があります。

そうした事情にあって、1879作と特定できる写真のデザートフォークは、アンティークとしてめったにない優れた特徴を有していると言えましょう。

長さが22センチほどあります、まあ、本当に大きいです。 ヴィクトリアンのテーブルフォークはこんなにでっかいのかとビックリするのもアンティークの楽しみでありましょう。

ゆりモチーフのレリーフが華やかで、その優雅な曲線デザインが目を惹きます。 両面に見えるデザインの特徴から「Lily pattern(ゆりパターン)」と呼ばれます。 キングスパターンやフィドルパターンといったメジャーなパターンではなく、マイナーパターンの一つなので、アンティーク シルバーウェアの参考書では紹介されることがあっても、実際に見かける頻度はそう多くありません、その意味でもレア物アンティークの一つ言ってよいでしょう。 

アール・ヌーボーの歴史を紐解くと、ゆりデザインは大きな役割を果たしてきました。 「Lily pattern(ゆりパターン)」は、エルキントンという有名どころのシルバースミス(銀工房)が、1850年に考案しデザイン登録したのが始まりです。 そしてChawner & Co.のパターンブックでは 「Lily pattern」と名前が付けられて、世に知られるようになった経緯があります。 ヴィクトリアン中期のNaturalism(自然主義)を代表するデザインで、アール・ヌーボーにダイレクトな影響を与えたデザインと言われます。

柄先にはウィングの紋章があり、どこかのマナーハウスで使われていたものと思いますが、セット総体では製作年はいくつかに分かれており、リプレイスされたりしながら、長く使われてきたものでありましょう。

フォークについて言いますと、普段使いで純銀製のフォークをお使いいただくと、歯先が曲がったりして、残念なことが起こりがちであります。 

銀という素材はやわらかく、スターリングシルバーは銅を混ぜて100%銀よりはずいぶんと硬い素材にはしてあるのですが、それでも、フォークの歯先やナイフの刃先として使うには、まだ強度が足りず、よほどの注意が必要になってきます。 そのあたりが、スプーンに比して、ナイフやフォークに全銀製が少ない理由となっています。

エルキントンのこのレベルの品では、テーブルスプーン一本あたりに2gから3gの純銀を使って、エレクトロプレートが施されています。 小さな純銀インゴット型ペンダントヘッド一つで、テーブルスプーン二本程度の割合ですので、エレクトロシルバープレートとは言っても、相当量の銀が使われているなあと、私は感じます。 そのことは手にとって眺め、触ってみると、実感として伝わってきます。 

加えて、実際のところ、歯先は硬いので、気にしながら使う必要はなく、普段使いには最適だろうと見ております。

なんといっても、英国シルバープレート品にあって、エルキントンはビックネームなので、贔屓目もあるかも知れませんが、裏面のメーカーズマークも格調高く、やはりシルバープレートの仕上がりもよいですし、メーカーのよさを感じます。

エルキントン アール・ヌーボー リリーパターン ヴィクトリアン シルバープレート テーブルフォーク ペア with コート オブ アームズ(ウィング紋章)


No. 20046 エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング
長さ 9.0cm、重さ 15g、つまみの間隔 3.0cm、アーム部分の最大厚み 2mm弱、1911年 ロンドン、Wakely & Wheeler作、一万円

柄のデザインはブライトカットのヴァリエーションで、フェザーエッジと呼ばれ、光の反射を美しく誘います。 百年以上も前に作られた銀製品ですが、コンディション良好な美しい品です。

内側にはスターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン アセイオフィスのレオパードヘッド、1911年のデートレター、そして反対サイドに「Wakely & Wheeler」のメーカーズマークの刻印があります。 

この品が作られた1911年はエドワーディアンの時代が終った直後で、第一次大戦が始まる前であることから、デザインや様式的にエドワーディアンと呼んで差し支えない時代の雰囲気を反映した銀器になっているものと思います。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 写真のシュガートングが作られたのは1911年ですから、少し前に正式なアンティークに仲間入りしているわけです。 日本における1911年といえば明治時代の終り頃にあたり、ずいぶんと昔のことになりましょう。 やはり百年経っているということは、アンティークとしての大きな魅力になると思うのです。

ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。 あるいは日本では明治から大正にかけての時代、例えば、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

この品を作ったシルバースミスの「Wakely & Wheeler」は、その創業が1791年という老舗です。創業者はジョン ライアスという人でしたが、19世紀の後半には創業家のライアスファミリーは仕事から退いて、当時のパートナーであったウェイクリーとウィーラーによって事業が引き継がれていきました。ガラード、エルキントン、マッピン&ウェッブといった有名メーカー&リテーラーにライアス時代からずっとシルバーウェアを納入していたWakely & Wheelerはジョージアンとヴィクトリアンを通しての優良シルバースミスの一つと言ってよいでしょう。

フェザーエッジの歴史は古く、イギリスのシルバーウェア史に現れたのは、今から二世紀半ほど前になります。 より具体的には、この装飾的なフェザーエッジの技法が初めて登場したのは1770年代のことでしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

似たような装飾技法にブライトカットがあり、フェザーエッジはブライトカットの派生系と言われます。 しかし、二つは歴史的にほぼ同時期に作られ始めていることから、二つの技法の関係は派生関係というよりも、兄弟姉妹の関係に近いとも考えられます。 

ブライトカットは、ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かうようにした彫刻技法です。 ファセットは平面状で一種類、それを互い違いに角度を変えて彫っていきます。 

フェザーエッジはU字谷とV字谷を隣合わせに彫っていく手法です。 V字谷のファセットは平面で向かい合う二面の角度が違っているところはブライトカットに似ています。 加えてU字谷のファセットは凹面状なので、当然ながらその反射光も様々な方向に向かいます。 V字谷のシャープな反射光に対して、U字谷の反射光は穏やかな感じで、二種類の輝きのコントラストに特徴があります。

一本の彫刻刀で作業を行うブライトカットに対して、フェザーエッジではU字とV字の二種類の彫刻刀を使いますので、その意味でブライトカットの進化系あるいは派生系がフェザーエッジと言われるのかも知れません。

エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No.20045 シルバープレート ティーストレーナー with 木製ハンドル
長さ 17.8cm、重さ 92g、ボール部分直径 7.9cm、ボールの深さ 2.1cm、八千円

写真のティーストレーナーは比較的に近年の品と思いますが、「Where there is tea, there is hope. (お茶あるところに希望あり。)」というフレーズが、いかにも英国風と言いましょうか、そういう考え方が私も好きで気に入りました。 

「Where there is tea, there is hope. 」 口ずさんでみると、語呂のよさもいいですね。 

92グラムとけっこうな持ちはかりがありますし、ボール部分の直径は7.9センチですから、大きめで重厚感のあるティストレーナーです。 木製ハンドルはあたたかみがあって、全体にしっかり出来たよい品と思います。

お茶とイギリス人といえば、こんな経験も思い出されます。 ある朝、駅に向かって歩いていたら、駅から戻ってくる人がいて、「Security Alert で、今さっき駅は閉まってしまった。あなたも家に帰ってお茶にした方がいいだろうよ。」と言われたことがあります。 セキュリティ アラートと言うのは、警戒警報のようなもので、不審物など見つかると駅が一時的に閉鎖されることがあるのです。 当該駅は閉鎖されますが電車自体は走っているわけで、日本的な感覚ですと、次に近い駅までバスなりタクシーで行ってでも職場に向かいそうに思うのですが、そうではなくて、「お茶にしよう。」と言うのが、なんとも英国風で、軽いカルチャーショックを覚えた記憶があります。

お茶とイギリス人について、もう一つご紹介しましょう。 1946年4月に発表されたエセル・ローウェル氏の『現在の意味』という論文に、第二次大戦中のロンドンにおける空襲後の一婦人の話があります。

『爆撃の一夜が明けてから、一人の婦人が砲撃された我が家の戸口に幾度も行って、心配そうに往来をあちこち見ていた。 一人の役人が彼女に近づいて、「何か用ならしてあげましょうか。」

彼女は答えた、「ええ、どこかその辺に牛乳屋さんはいませんでしたか。うちの人が朝のお茶が好きなものですから。」

過去は敵意あり、未来は頼みがたい、が、道づれとなるべき現在は彼女とともにそこにあった。 人生は不安定であった。 しかし、…… 彼女の夫は一杯の朝の茶をほしがった。』(引用終り)

「絶対的現在(=永遠の今)」にしっかり足をつけて立つということの例え話であるようですが、「Where there is tea, there is hope. (お茶あるところに希望あり。)」のフレーズが、よりすっきり理解できるお話であるとも思います。


イギリスのティーに関するフレーズといえば、『Keep calm and have a cup of tea』というのがあります。 上記の駅閉鎖の場面でぴったりな感じです。 ただしこれには、原作があって、『Keep calm and carry on』の派生系になっています。

Keep calm and carry on』の再発見と今日の流行には、アンティークな背景があって、興味深いのですが、そんなあたり、いかにも英国風と感じます。

シルバープレート ティーストレーナー with 木製ハンドル


No. 20033 ハノーベリアン パターン with ラットテール スターリングシルバー ティースプーン
長さ 9.3cm、重さ 10g、最大幅 2.1cm、柄の最大幅 0.85cm、柄の最大厚み 2mm強、1962年 バーミンガム、Turner & Simpson作、一本 四千円 (6本あります-->4本あります。)

今から半世紀以上前に作られたスターリングシルバー スプーンです。 小振りな銀でありますが、細身のフォルムから品のよさが感じられる銀製品です。 

写真一番目に見えるように、ハンドル部分の中央部は山の稜線のように、まわりから盛り上がった作りになっています。 この銀の稜線構造によって、しろがねに映る光の反射に変化がもたらされ、シンプルな銀スプーンでありながら、ほどよいアクセントとなっています。 また、手にした時の銀の厚みにもつながる作りであって、好印象な銀製品と思いました。

よく見ていくと、ブリティッシュ シルバーウェアの長い伝統に裏打ちされた銀であると分かってきて、そんなところにも、興味を惹かれる英国ティースプーンであります。

柄先が少し手前に曲がったタイプで、これがハノーベリアンパターンと呼ばれます。 写真二番目でボール裏面を見ていただくと、先が細くなったネズミの尻尾のようなデザインになっており、これはラットテールと呼ばれる構造です。 ラットテールはハノーベリアン パターンに付随して現れることが多いデザインです。

ラットテールはハノーベリアン パターンと、それより以前のドッグノーズやトレフィッド パターンで見られる構造ですが、元々は柄とボールの接合部分を補強するために採用された手法でした。 スプーンの歴史を考えてみると、棒状の柄の先にボールを取り付けたスプーンという道具は、技術レベルが低かった初期段階においては、柄とボールの接合部から壊れることが多かったのです。 

そこで考えられたのが、ラットテールという梁を付けて補強する方法でした。 そのうちに、素材の質や工作技術のレベルが向上してくると、ラットテールは実用上の必要性が薄くなってきましたが、今度は装飾的な観点から、ラットテールが採用されることも出てきました。 

さらに後の時代になると、まさにこの写真のティースプーンがそれにあたるわけですが、昔風なラットテールはノスタルジーを感じさせてくれることから、時代が移り変わっていっても、時々に選好されたものと考えられます。

なお、イギリスにおけるスプーンパターンの歴史については、英国アンティーク情報欄にあります「4. イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご参考ください。

ボール部分の裏面にはブリティッシュ ホールマークが、どれもしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にTurner & Simpsonのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカー、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1962年のデートレターになります。

写真の品が作られた1960年代は、英国に古きよきシルバースミスの伝統が残っていた最後の頃にあたっているように思います。

ヴィクトリアンやエドワーディアンが多い英吉利物屋の扱い品としては、比較的近年の銀になりますが、それでも半世紀を越える年月が経っております。 イギリスで古い銀製品を探していると、1960年代の品には思うように巡り会えないようです。 英国の停滞期と重なっていることが、その理由ではないかとみています。 英国シルバーの近現代史において中抜けした時期にあたっており、その意味でレアもの銀という範疇に入ろうかと思います。

これまでも大切に扱われてきたようですが、こうして半世紀が経ち、一世紀が経っていくのだろうなと見ております。 英国の伝統をよく踏まえた銀でありますが、そうでなくとも品のよいフォルムは十分に美しく、磨きぬかれたソリッドシルバーの輝きを楽しむのも、またよいのではと思わせてくれるシルバースプーンです。

お客様から、なるほどと思わせていただいた銀スプーンのお話がありますので、ご紹介させていただきましょう。 
『先日北海道では珍しい大型台風が通過し、短時間ですが停電となってしまいました。 夜、仕方がないので古い灯油ランプを持ち出し屋内の照明としたのですが、以前手配いただいたティースプーンをランプの光にかざしてみたところ、ほの暗い明るさの中、スプーンのボウル内や彫刻の輝きにしばし見とれました。 銀のアンティークには点光源の古い照明が合うようです。 また昔の貴族が銀器を重用したのもうなずける気がします。』

私はアンティーク ランプ ファンで、早速に試してみたのですが、シルバーにアンティークランプの灯がほんのりと映って揺れているのを見ていると、なんだか心が落ち着くものでした。

もう一つ、銀のスプーンをお求めいただいたお客様からのご感想です。

『さて、実際に手に取ってみると、なかなか素敵な物です。銀だから価値があるというより、これだけの年月を経て、なおちょっとしたお手入れをするだけで、作られた当時とほとんど同じ状態で使い続けられるという点の価値はすごいと思います。まとめ買いした安いスプーンがいつの間にかどこかにいってしまったり、曲がったりすり減って黒くなり、何回も買い直していることを考えると、世代を超えて使われる銀器は節約の象徴のような気もしてきます。』

銀をお手入れしながら使っていくことの意味について、まさにわが意を得たりというコメントでありましたので、ご紹介させていただきました。

ハノーベリアン パターン with ラットテール スターリングシルバー ティースプーン


No.20031 エドワーディアン スターリングシルバー ブレッドフォーク SOLD
長さ 14.8cm、最大横幅 3.6cm、柄の最大厚み 3mm弱、重さ 35g、1911年 シェフィールド、Henry Williamson Ltd作、SOLD

ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代のディナーテーブルでは、ロールパンやスライスパンをサーブするのに優雅なブレッドフォークが使われていました。 テーブルエチケットの変遷につれて、今日の食卓ではブレッドフォークは使われなくなってしまったので、その意味でもまさにアンティークと言えましょう。 


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