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アンティーク シルバー ジュエリー (2 )











No. 20065 ヴィクトリア女王 戴冠50周年記念 ゴールデンジュビリー シリング銀貨 ペンダントヘッド
ペンダントヘッド縦の長さ(留め具を含む) 3.2cm、銀貨の直径 2.35cm、重さ 6g、厚さ 1.5mm、シリング銀貨は1887年鋳造、一万一千円

『裸の王様』、『みにくいアヒルの子』、『人魚姫』などで有名なアンデルセンの作品の中に、19世紀半ばに書かれた『シリング銀貨』というおとぎ話があります。 外国旅行に出かけた英国紳士の財布にあった一枚のシリング銀貨が、異国の地で財布からこぼれてしまい、いろいろな人たちを巡りめぐって、最後には元々の持ち主であった英国紳士のもとに戻ってくるというストーリーです。 

物語の中で、シリング銀貨に穴をあけて糸を通し「Lucky Shilling」として身に着けるという話が出てきます。 シリング銀貨は大き過ぎず、小さ過ぎず、ペンダントヘッドにちょうど良いサイズであることと、シルバーという素材は幸福に通じることから、遠いヴィクトリアンの時代よりラッキーシリングとして好まれてきた背景があるようです。 

写真のアクセサリーは、ヴィクトリア女王の戴冠50周年を記念したゴールド ジュビリー コメモレーションの「One Shilling」 銀貨をペンダントヘッドにしたものです。 シールドリバース エンブレムと、裏面にはヴィクトリア女王のポートレートが入っています。 シールドリバースのエンブレムが素敵で好きなこともあって求めました。

ヴィクトリア女王時代に好まれたシールド リバースが表側のデザインに採用されています。 描かれているのは、右上にライオンの立ち姿でライオンランパント、左下にはハープクラウンド、そして三頭のライオンは『ライオンハート(獅子心王)』の愛称で知られる12世紀の英国王リチャード一世時代からのエンブレムです。 銀貨の下部には1887年の年号が見えます。

余談ですが、リチャード一世は十年間の治世中に国内にいたのがたったの六ヶ月という王様で、海外での戦いに明け暮れた英国王でした。 戦いで名を馳せ、ライオンハートの称号を得て、その勇気と生きざまは騎士の模範とされています。 そして現代ではサッカーのイングランド代表が使うエンブレムが、まさにこのスリーライオンなのです。

クイーン ヴィクトリアが若干18歳の若さで英国王位を継承したのは1837年のことで、この年から1900年までの64年間がヴィクトリア時代にあたります。 ヴィクトリア女王は在位期間が長かったことと、その時代は英国の国力が格段に伸張した時期と重なっていた為に、イギリス史の中でも特にポピュラーな国王となりました。 アンティークの分野にあっても、この時代の物品を指すヴィクトリアーナ(Victoriana)という用語もあって、ヴィクトリア時代を専門とするコレクタターが大勢いるわけなのです。

ヴィクトリア時代のイギリスについては、「英国アンティーク情報」欄にあります「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14. Still Victorian」の解説記事も合わせてご覧ください。

シリング銀貨の周りにはギザギザが付いており、これはよく見かける硬貨の特徴ですので、当たり前のように思われるかも知れません。 ギザギザがあった方が滑り難くて、失いにくいからでしょうか。 それもあるかも分かりませんが、最初にギザギザ銀貨が鋳造されたのは三百五十年ほど前の1663年のことで、それにはもっと大事な理由がありました。

銀貨の歴史を紐解くと、遠い昔には銀の重量そのもので商取引が行われた時代もありました。 しかしこれでは取引毎に重さを量ったり、銀の純度を疑ってみたりと、円滑な取引が出来ません。 そこで銀貨が発明されました。 時の為政者が銀貨の質を保証して、人々は銀の重量ではなくて、銀貨の刻印を信じて商取引をするようになりました。 

銀の重量ではなく、硬貨に刻まれた文字や数字による支払いは、商業活動を大いに伸ばしたわけですが、悪いことする人たちも出てきます。 銀貨の端から銀を少しずつ削り取って銀を盗むのです。 銀貨の重さが少し軽くなっても、表面に刻まれた価値で取引が出来ることを願いながら。 

しかしこうした泥棒行為が幅を利かせてくると、『グレシャムの法則』が働き始めます。 グレシャムは「悪貨は良貨を駆逐する。」と言いました。 綺麗で完全な銀貨と、軽くなった銀貨が手元に入ってくると、人々は綺麗な銀貨は手元に残し、軽くなった銀貨は取引に使おうとします。 こうして良貨は退蔵されて世の中から駆逐され、やがて流通する銀貨は悪貨ばかりになっていくというわけです。

銀貨のギザギザは、銀貨の周囲から少しずつ銀を削り盗る不正を予防するために、イギリスで1663年に初めて導入されたのでした。

最後に、イギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1シリング」=「12ペンス」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。
昔、サマセット・モームの「月と六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数字でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃止され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法時代の名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに、先日気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと落ち着かないのでしょう。 

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン時代のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服者が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。

ヴィクトリア女王 ゴールデンジュビリー シリング銀貨 ペンダントヘッド


No. 20179 マルタ 騎士団(=聖ヨハネ騎士団)紋章 スターリングシルバー クロス フォブ ペンダントヘッド
縦の長さ(留め具含む) 4.8cm、横の長さ 4.1cm、重さ 13g、丸い部分の直径 2.5cm、1940年 バーミンガム、一万五千円

よく見ると、中央のマルティーズ クロスの上には四頭のライオンが歩いています。 四方向の小花は可愛らしいアクセントです。 中ほどの丸い部分はドームのようにふくらんでいて銀が厚くなっていき、中央の最大厚みは3.5mmとなっています。 このドーム状に厚みを帯びた部分も、中まで銀が稠密なソリッドシルバーであることから、手にしてみると、しっかりした銀の質感が心地よい出来栄えに仕上がっていると感じます。

ロンドンに本部があったThe St.John Ambulance Associationの品ですが、1940年の銀製というと、Air Raid Precautions 銀製バッチと同様な背景を持っているものと考えられます。

裏面にブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1940年のデートレターになります。

ホールマークの上には、「Registered at St Johns Gate London」と刻印されています。 
「St Johns Gate」は、今でもロンドンの中心街に残っているアンティークは建物で、The St.John Ambulance Associationの本部があった場所になります。 

今ではThe Museum of the Order of St Johnとして、ミュージアムになっているので、出かけてみれば、写真の品の歴史的背景をより詳しく知ることも可能です。 ちなみに最寄り駅はロンドン地下鉄サークルラインのファーリンドンとバービカンになります、ロンドン観光の際には立ち寄りやすい場所だと思います。

中央に見えるクロスをご覧いただくと、中心から四隅までが等距離で、放射状のデザイン、そしてクロス四隅の先端部が「V」字形をしており、これがマルティーズ クロスのメルクマールとなります。

このマルティーズ クロスの上には四頭のライオンが歩いていますが、このあたりはイギリス人のライオン好きが出ているなあと興味深く見ました。

イギリスで人気のある強い動物といえば、まずはライオンが挙げられます。 イギリスの数多いパブの中にあって、もっとも多い名前が「Red Lion」で、英国人のライオン好きを示しています。 この国には約六万弱のパブがありますが、そのうちで一番多いパブの名前は「Red Lion」で、六百軒のレッドライオンがあると言われます。 英国中のパブのうちほぼ百軒に一軒はレッドライオンという計算です。

歴史的に見ても、三頭のライオンは『ライオンハート(獅子心王)』の愛称で知られる12世紀の英国王リチャード一世時代からのエンブレムです。 リチャード一世は十年間の治世中に国内にいたのがたったの六ヶ月という王様で、海外での戦いに明け暮れた英国王でした。 戦いで名を馳せ、ライオンハートの称号を得て、その勇気と生きざまは騎士の模範とされています。 

そして現代ではサッカーのイングランド代表が使うエンブレムが、まさにこのスリーライオンなのです。 そんなわけで、サッカーのイングランド代表のことを 『11頭のライオン』と呼ぶのも一般です。

さらに言えば、スターリングシルバーの銀純度を保証するブリティッシュ ホールマークも横歩きライオンの刻印で、ライオンパサントと呼ばれます。 こうしてみると、イギリスにおいては大事なものはみなライオンといっても言い過ぎではないように思います。

マルティーズ クロスとは、十字軍遠征時代に作られたマルタ騎士団の紋章です。 

以前にマルタ騎士団の方と会ってお話を伺ったことがあります。 世界史の教科書に出てきた騎士団の人が現代にもいるなんて、初めはジョークかと思いましたが、そうではないことを知りました。

元々は12世紀頃に巡礼者保護の目的でエルサレムで活動をはじめた聖ヨハネ騎士団でしたが、16世紀には地中海のロードス島に領土を持ち、その後はマルタ島に移ったことから、マルタ騎士団と名前を変えて現在まで続いているのです。 

18世紀にはナポレオンとの戦いに敗れて、領土を失っております。 面白いのは、その後も国際法上の主体として認知され、活動を続けていることです。 現在でも国際連合のオブザーバーであり、主として医療活動に従事しているとのこと。 

お会いしたのがベルギーはリールという街にある、十字軍の時代には巡礼宿であったというコンポステールというレストランでした。 
遠い昔の巡礼宿でマルタ騎士団の人と出会うとは。 
21世紀の今でも騎士団員がいるんだと驚きましたが、お話を伺って、なんだか、遠い巡礼の昔、十字軍時代にタイムスリップしたような気分になりました。

ちなみに、中世ヨーロッパの三大騎士団とは、上記の聖ヨハネ騎士団の他に、テンプル騎士団とドイツ騎士団を含めた三つを言います。 
『十字軍騎士団 (橋口 倫介著)』は、中世の騎士の暮らしぶりなど分かって興味深い本です。

マルタ 騎士団 紋章 スターリングシルバー クロス フォブ ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20178 シルバープレート MADE IN ENGLAND ケース
縦の長さ 9.5cm、横の長さ 8.5cm、最大厚み 1.15cm、重さ 134g、英国製、一万二千円

もともとはシガレットを入れたシルバープレートのケースです。 作られたのは1930年代あたりと思います。 

全体の構造は、ゆったりとカーブしており、これがいい感じです。 

写真三番目のように蓋を開けると、右下のエッジ部分に、MADE IN ENGLANDの刻印があります。 

もう一つ刻印がありますが、EPNSとメーカーズマークです。 EPNSとは、Electro-Plated Nickel Silverを意味しています。

現代的な使い途として、名刺入れに使う方がいらっしゃいます。 小さめサイズのケースが多い中にあって、やや大きめで、サイズ的にちょうどいいと思います。

シルバープレート MADE IN ENGLAND ケース(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)シルバープレート MADE IN ENGLAND ケース(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)シルバープレート MADE IN ENGLAND ケース(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20176 MADE IN ENGLAND スターリングシルバー コンパクト ケース
縦の長さ 6.3cm、最大横幅 6.9cm、最大厚み 0.8cm、重さ 80g、英国製、二万六千円

ケースの表面にキズがほとんどないので、あまり使われることなく、現在に至っている品のように思います。 

小振りなわりには、手にしてみると、銀の重さがずっしりしていて、いい感じです。 留め具のポッチ部分にスターリングシルバーを示すライオンパサントの刻印があります。 

蓋を開けると、鏡の上側に「MADE IN ENGLAND」の刻印が見えます。 

英国銀を示すライオンパサント刻印は、ライオンが歩く様子を描いた図柄になっています。 英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになり、重要な刻印です。 このライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 

横歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から500年ほど前の1544年のことになります。 これは当時のチューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 

銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

歴史や伝統に格別なこだわりを持つイギリス人は、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)にも特別な愛着があって、五百年の長きにわたって、この刻印を使い続けて今日に到っております。

MADE IN ENGLAND スターリングシルバー コンパクト ケース(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)MADE IN ENGLAND スターリングシルバー コンパクト ケース(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20175 エドワーディアン スターリングシルバー バックル with ブリティッシュ ホールマーク
横の長さ 4.65cm、最大縦長 2.85cm、重さ 10g、銀の最大厚み 3mm、1903年 バーミンガム、Levi & Salaman作、一万五千円

このシルバーバックルは、ちょうど手首に合うように、ややゆるやかに湾曲しております。そこで手首に合わせて革のストラップで留めれば、エドワーディアン アンティークの今日的な興味深い使い方と考えてます。

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバーのバックルです。 フラワーレリーフが可愛らしく、かつ銀が厚めに出来ていて好感が持てます。

シルバースミスのLevi & Salamanはヴィクトリア中期の1870年にバーミンガムで創業した銀工房になります。 創業者のハリス・レヴィは、1866年に親戚を頼ってバーミンガムへ出てきましたが、持ち前の仕事熱心さで四年後には独立して事業を起こすのに成功しました。 

創業当初はギルトジュエリーのメーカーで、海外からの需要に応えることで事業を大きくしていきます。 1878年には企業買収を行って経営規模が大きくなり、1893年にはロンドン進出を果たしました。 ヴィクトリア時代のイギリスはゼロから出発した成功者を多く生み出していますが、ハリス・レヴィもその一人になります。 

1915年の英国フェアーに Levi & Salamanも出展しておりますが、その中で「兵士を救った Levi & Salaman 製の銀スプーン」というのが会場を訪れた人々の注目の的となったそうです。 ある英国兵士の胸ポケットに、もしその銀スプーンが入っていなかったら、戦場の銃弾に倒れるところだったものを、Levi & Salaman 製の銀スプーンが助けてくれたいうことで、英国王をはじめ多くの人たちの関心を集めたという記録が残っています。 

そもそも、めったに起こることではないので珍しいし、シルバーが幸運をもたらすラッキーアイテムとして好まれるお話の一つとして、当時話題になったものでしょう。

ブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印された銀製品であることもポイントになっています。 写真一番目で左上に並んだ四つのホールマークは順にLevi & Salamanのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1903年のデートレターになります。 

銀の質感が心地よく、綺麗なアンティーク シルバーなので、私はこういう品を手にしているだけでも楽しめるのですが、お客様との遣り取りで、写真のようなエドワーディアン アンティークを、現代風にアレンジして身につけることについてヒントをいただきました。 アイディア気に入りましたので、皆様にもご紹介させていただきましょう。

このシルバーバックルは、ちょうど手首に合うように、ややゆるやかに湾曲しております。 そこで手首に合わせて革のストラップで留めれば、エドワーディアン アンティークの興味深い使い方になるというわけです。

このアンティークが作られた当時の時代背景については、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian (百年ほど前のイギリスはどんな様子であったのか?)」の解説記事もご参考まで。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 この銀のバックルが作られたのは1903年ですから、正式な‘アンティーク’に晴れて昇格している品ということになります。 

一言に百年といっても、やはりそれだけの時の経過は大変なことと思います。 ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1902年:日英同盟締結、1905年日露戦争の日本海海戦、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。

このアンティークが作られ、使われていた時代というのは、電灯もなかった時代なわけで、こうしたアンティークを手にしながら、その昔の時代に思いを馳せるのはアンティーク好きの楽しみであろうと思うのです。

エドワーディアン スターリングシルバー バックル with ブリティッシュ ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No.20173 オパール & ホワイト サファイア スターリングシルバー ゴールドギルト リング with ブリティッシュ シルバー ホールマーク
リング内径 1.75cm、オパール直径 3.5mm、ホワイト サファイア直径 1.5mm、1990年 バーミンガム、一万五千円

ブリティッシュ シルバー ホールマークが、リング内側にくっきり深く刻印されていて、英国銀が好きな方にお薦めしたい、好印象な銀リングです。

ゴールドギルトされたスターリングシルバー素材に、オパール & ホワイト サファイアの構成です。 中央の大きなオパールの周りを八つのホワイト サファイアが囲んでいます。 

オパールの虹色の輝きが柔らかく、白い石からうっすらと虹色の輝きが奥ゆかしく見えます。 

オパールには二種類あって、コモンオパールとプレシャスオパールと呼ばれますが、その違いは光を当てると虹色の輝きがオパール表面に現れるか否かによります。 このリングに使われているオパールは、プレシャスオパールのうちでも奥ゆかしい輝きが特徴です。 ルーペで細部まで見てみると、光に当たったミルクホワイトのオパールの内側から、ピンク、黄色、緑、青、黄色、白などの虹色の輝きが浮かんできます。 

この奥ゆかしくも不思議な輝きは、例えてみると、星空観測で、周りが真っ暗な好条件の時に、天の川を見上げたような不思議さに似ているように思って見ております。 昔からオパールは愛と美を象徴するキューピッド ストーンとして好まれてきました。 

リングの内側には、四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されています。 写真一番目でわずかに見えていますが、順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1990年のデートレターです。

ルーペで見てみると、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマークがくっきりですし、ライオンパサントやデートレター「Q」もとてもはっきりしております。 アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、より楽しめるブリティッシュ スターリングシルバー リングと言えましょう。

ちなみに、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)は、英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになり、重要な刻印です。 ライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 

横歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から460年ほど前の1544年のことになります。 これは当時テューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 

銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

歴史や伝統に格別なこだわりを持つイギリス人は、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)にも特別な愛着があって、五百年の長きにわたって、この刻印を使い続けて今日に到っております。

オパール & ホワイト サファイア スターリングシルバー ゴールドギルト リング with ブリティッシュ シルバー ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)オパール & ホワイト サファイア スターリングシルバー ゴールドギルト リング with ブリティッシュ シルバー ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20048 ヴィクトリアン クラウン銀貨 ペンダントヘッド with シルバーフレーム
直径 4.05cm、重さ 32g、留め具を含む縦長 5.0cm、銀のフレーム最大厚み 4mm、クラウン銀貨の鋳造年 1890年、一万七千円

ヴィクトリアンのクラウン銀貨がシルバーフレームに入ったペンダントヘッドです。大きくて、ずっしりしています。デザインはセント・ジョージがドラゴンを退治している様子で、反対サイドはヴィクトリア女王の横顔です。 

馬に乗ったセント・ジョージにドラゴンが踏みつけられているのは、ちょっとかわいそうですが、このドラゴンは王様の娘を生贄として食べようとした悪いドラゴンなので、仕方がありません。

セント・ジョージは古代ローマ時代の殉教者で、そのドラゴン退治伝説は元々グルジアに起源があり、キリスト教徒にとっては共通のバックグラウンドになります。歴史を紐解けば、遠く遡ること五世紀のフランク王国メロビング朝をはじめとして、いろいろな国々で守護聖人として大事にされてきました。


元祖セント・ジョージの国であるグルジア共和国に行ったことがあります。日本語ではグルジアと言いますが、英語では Georgia であって、この国名はSt. George(セント・ジョージ)そのもの。 歴史的にもセント・ジョージのドラゴン退治伝説は元々グルジア起源です。

グルジア国はトルコ共和国の東方、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス山脈の山あいに位置しています。

首都トビリシ丘陵にある公園までケーブルカーで登って、途中にあったスターリンのお母さんのお墓だというのを見せてもらった記憶があります。当時は旧ソ連邦の民警の人が後をつけて見張っていました。

コインなのに、どこを見ても五千円とか一万円といった数字の記述がないのは不思議な気がしますが、クラウン銀貨はヴィクトリア時代の5シリング(=0.25ポンド)にあたります。 クラウン(王冠)銀貨という名前が示しているように、この銀貨はヴィクトリア時代の最高額銀貨でありました。サイズが大きく重たいので実用向きとは言えず、しまっておかれることも多かったようです。 

ヴィクトリア時代のイギリスはセント・ジョージを好んで、金貨や銀貨のデザインとして採用したり、白地に赤十字のセント・ジョージ・クロスをイングランドの国旗として採用したりしてきたので、今では他の国々より一歩抜きん出て、自由の女神がアメリカを象徴するかのように、セント・ジョージ=イングランドのような感じになって現代に至っています。

サッカーのワールドカップで、セント・ジョージ・クロス旗で応援されるイングランドチームを見せつけられると、本当はキリスト教世界の共通バックグランドであるセント・ジョージ ブランドを、やはり他の国は英国に譲らざるを得ない、そんな雰囲気でしょうか。

遠い昔の銀貨というのは、なんというか、トレジャーハントに通じるロマンを感じますし、クラウン(王冠)銀貨という名前も素敵ですし、大きくてシルバーの重みを感じさせてくれるヴィクトリアンのゴージャス感が好きです。

重くて豪華な印象からも想像はつきますが、クラウン銀貨は当時としても相当額であったようで、そのために使用頻度が低いままに保存されて今に至っている銀貨もあるようです。 ではいったい、クラウン銀貨はヴィクトリア時代にどのくらいの価値を持っていたのでしょうか、それを知るために当時と現在の物価について比較できる情報を集めてみましょう。

Roger Bootle氏の「The Death of Inflation」という本によれば、ヴィクトリア時代は長期にわたって物価が安定した時代だったようです。 例えば、ロンドンタクシーの前身である乗合馬車の初乗り運賃は1694年に1マイル当り1シリング(つまり現代の0.05ポンド)と設定され、この運賃がヴィクトリア時代を通じて変わらなかったことが紹介されています。 今日、ロンドンタクシーで1マイル乗ると、渋滞がなければ3.5ポンドほどですが、実際には5ポンドほどかかるのではないでしょうか。 この比較でみると、今日の物価はヴィクトリア時代と比べて70倍から100倍になっていると考えられます。 

また、シャーロック・ホームズの話には、ヴィクトリア時代の給料や家賃についての記述があるので検討してみると、ロンドン ロンバート街の株式ブローカーの週給が3ポンドとか、郊外のこぎれいな別荘の年間家賃が80ポンドなどとあり、この面から見てもやはり、ざっくり100倍とみてよさそうです。

それから、『特命全権大使 米欧回覧実記(二)(英国編)』によれば、バーミンガムのペン製造工場について以下のような記述があります。 「ウェルス氏会社のペン製造場に至る。...中略...職人に婦人多し、その給料は一日に平均2シリング半、」

そうしますと、クラウン銀貨とは比較的高給なロンドンのサラリーマンが一日働けば二枚得られる金額で、ペン工場の事例で言えば二日分の日給に当たる金額になります。

百年以上昔の金銀複本位制とはどんなものか、もう少し考えてみましょう。

ヴィクトリア時代にはクラウン銀貨、ハーフクラウン銀貨、シリング銀貨などが流通していました。 ここで1クラウンは5シリング(=0.25ポンド)にあたります。 それぞれの重さはクラウン銀貨28.28グラム、半クラウン銀貨14.14グラム、シリング銀貨5.66グラムです。 すなわちクラウン:半クラウン:シリング=5:2.5:1の関係がありました。 つまりは、ヴィクトリア時代のマネーは銀の重さによって、その価値が直接保証されていたのです。

さらに、高額貨幣であった金貨を通じて外国との関係を見てみましょう。 ヴィクトリア時代のイギリスでは、1ポンドの英国金貨は7.32グラムのゴールドとして定義されました。 そして米国の1ドルは1.50グラムのゴールドと1837年に決められました。 そうすると、金本位制を採用する英米二国間においては、1ポンドが4.88ドルとなって為替レートは固定されます。

この金本位制の仲間に、マルクやフランや円も加わることによって、国際金本位通貨体制が出来ていました。 ノーベル経済学賞のマンデル教授は、その本質を分かりやすく表現しています。 「国際的な金本位制のもとでは、ポンド、フラン、マルク、円、ドル等々は、特定の重さのゴールドの名前にすぎない。」

現代では主要な通貨間では変動為替相場が一般ですが、ヴィクトリア時代の国際社会においては、ゴールドをアンカーにした固定為替相場がスタンダードであったのです。

ヴィクトリアン クラウン銀貨 ペンダントヘッド with シルバーフレーム


No.20150 『SPECIAL FOR BEST CANARY (カナリア)』 ヴィクトリアン スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド with ローズゴールド デコレーション
縦の長さ(留め具含む) 4.8cm、横の長さ 3.5cm、重さ 11g、中央部の厚み 3mm、1892年 バーミンガム、一万七千円

ヴィクトリアン アンティーク シルバーでありますが、おそらく未使用のまま今日に至っているものと思われ、コンディションがとても良好なヴィクトリアーナです。

銀製フォブにもいろいろありますが、写真の品を手にした時の印象は、かなりしっかり出来ていて、重厚感のあるヴィクトリアン アンティークだなあという感想です。

全体に銀が厚めで、一段高くなった中央の丸い部分の厚みは3ミリ弱にもなります。 そうしますと、この丸いローズゴールド装飾部の全体厚みは、下部の銀基盤と合わせて3ミリほどになるわけで、やはりこれだけの銀の厚みとなりますと、重厚な雰囲気に大いに役立っているように思います。

今から百二十年ほど前のヴィクトリアン後期に作られたアンティークになります。 周りすべてを糸鋸を使って手仕事で切り出していったもので、大変な時間をかけて作られた銀のアクセサリーであることが分かります。 裏面には写真三番目に見えるように、『SPECIAL FOR BEST CANARY』の彫刻があります。 

周りが尖っていて危ないですから、取り扱いには要注意です。 

写真四番目はサイドの写真で、厚めな銀の様子や、留め具部分のしっかりした作りがお分かりいただけると思います。

裏面のブリティッシュ ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1892年のデートレター、そしてバーミンガム アセイオフィスのアンカーマークになります。 

ローズゴールドとシルバーのコントラストが楽しめるのもポイントになっています。 中央の丸い飾り部分はローズゴールドの薄板が載ったつくりです。 薄板とは言っても、『F&J RIPPON 1896』 を刻んだ文字彫刻の底部もすべて9カラットゴールド地ですので、9カラットゴールド板は0.5ミリほどの厚さはあろうかと思います。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。

元々は時計の銀鎖の先に付ける飾りであったフォブは、今では女性用のアクセサリーとして使われることが多いようです。 ネックレスのペンダントヘッドとしたり、ブレスレットの飾りとして付けたりして、女性に好まれることから需要が多いそうで、今では英国アンティーク フォブの最大のバイヤーは米国のアンティークディーラーと聞きました。 写真のフォブの場合は、銀が厚めで質感があり、サイズも大きめでゴージャス感があるので、私はデスク周りのオーナメントとしても使ってみたいと思いました。

アメリカの長期金利上昇について、次のようなニュースがあり、グリーンスパン氏の言うカナリアのたとえを興味深く聞きました。 

『アラン・グリーンスパン元FRB議長は、最近の米国債利回り上昇は「坑道のカナリア」のようだとし、「米連邦政府が積み上げた前代未聞の巨額債務」に対する投資家の懸念を反映していると指摘した。』

カナリアはその澄んだ歌声に特徴があり、古くから珍重されてきた黄色い鳥です。 ところが、メタンや一酸化炭素といった有毒ガスにも敏感で、感知すると鳴き声が止むことから、イギリスの炭鉱では有毒ガス検知システムとして長く使われてきました。

グリーンスパン氏の言うことは、米国債利回り上昇が、これから先々に起こるソブリンリスクにまつわる市場パニックの前兆かも知れない、それをカナリアに例えて指摘したということでしょう。

カナリアが英国の炭鉱で毒ガス検知用に使われたのは、1980年代までのことで、もう四十年ほど前のことなので、最近の人々に「坑道のカナリア」と言ってもピンと来ないかも知れません。 グリーンスパン氏はずいぶんシニアの方なので、こんな比喩を使われたのだと思います。

『SPECIAL FOR BEST CANARY (カナリア)』 ヴィクトリアン スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド with ローズゴールド デコレーション


No. 20149 エドワーディアン スターリングシルバー 鉛筆ホルダー
収納時の長さ 9.2㎝、銀円環含む長さ、10.3cm、横幅1.1cm、厚み 6mm、1908年 バーミンガム アセイオフィス、二万五千円

今から百年以上前に作られたスターリングシルバーの鉛筆ホルダーで、手彫りのエングレービングが素晴らしい品です。 ブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されたアンティークであるところにも惹かれました。 

ウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)やEternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。 ウェーブパターンの基本デザインは深めなタッチで彫られていますが、背景の色合いが濃いめに見えるシェード部分はとても繊細なエングレービングで、1ミリ間隔に何本もの細かさで彫刻線を引いた仕事です。 写真では解像力不足でよくご覧いただけないのが残念ですが、マグニファイイング グラスで見ていただくと百年ほど前の手仕事の繊細さに驚かれると思います。

写真一番目でホルダーの先に見える四つの刻印は順にバーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1908年のデートレター、そしてメーカーズマークになります。 また、見えるように、鉛筆を差し込む側にもスターリングシルバーを示すライオンパサントと1908年のデートレターが刻印されています。 

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in four years. (この品はあと四年でアンティークになります。)」という言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年月の経過は大きなメルクマールになりますので、上記のような会話がなされる機会も多いのです。 

写真の銀製品が作られたのは1908年ですから、正式なアンティークに昇格して、さらに10年の年月が経っています。気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この銀の鉛筆ホルダーには、正式な英国アンティークを手にする、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

以前に同様な鉛筆ホルダーを扱ったときに、中に入れる替え鉛筆を作成してみました。 まず普通の六角鉛筆を5センチか6センチほどの長さに切ります。 カッターナイフで鉛筆の六つの各面に切り込みを入れていけば、切り離すことが出来ます。 次に上下の二面と平行に鉛筆を薄く削っていけば、ホルダーに付けられる替え鉛筆の出来上がりです。 六角鉛筆は6.5ミリほどの厚みがありますので、上下ともに1ミリ強ずつ削っていくと、ホルダーに差込可となります。 

替え鉛筆作成の作業時間は10分ほどでしたが、これでしばらくは銀製鉛筆ホルダーが楽しめるわけで、ちょっとした器用さがあれば、たいした作業ではありません。 

歴史を振り返ってみますと、この品が作られたのは第一次世界大戦の頃になります。 その頃の出来事として、今から百年前の1912年にはタイタニック号氷山に衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

エドワーディアン スターリングシルバー 鉛筆ホルダー


No. 20118 アール・ヌーボー ペンダントヘッド with ゴールドギルト ベルギー 牧羊犬 クラブ 金賞 
本体部の縦 2.6cm、横 1.95cm、留め具を含む縦長 4.2cm、本体厚み 1mm強、重さ 7g、1910年前後のベルギー製、一万一千円

ベルギー 牧羊犬 クラブで表彰に使われ、金賞の証であったものでしょう。 

たとえば、こんな感じです。ご覧になってください。
Countryfile - One Man & His Dog 2017 - Team Scotland

写真二番目の見えるように、裏面には「1910」と彫られていることから、1910年の表彰に使われたと推定されます。 上部に見えるアール・ヌーボーの飾り部分と年代が符合することから、百年以上前に作られたアンティークと考えられます。 

ホールマーク等はありませんが、素材は銀と考えられます。また、ゴールドギルトされています。 コンテストの成績を顕彰する品であること、全体の作りに品があることから見て、やはり素材は銀であろうと見ています。 

さらに、何か確認する方法がないかと考えたところ、銀は全ての金属の中で最高の熱伝導率を持つことから、ちょっと実験してみました。

銀素材と分かっている、同じような大きさの銀製ペンダントヘッドやヴィクトリアン銀貨と比べて、熱の伝わり方がどんな感じかの実験です。 沸騰させたお湯を器に入れて準備します。右手の親指と人差し指で写真のペンダントヘッドを端をつまみ、左手には同様にヴィクトリアン銀貨の端をつまみます。各々の金属を同時に熱湯につけてやると、熱が伝わって来て、指先がアチッとなるわけです。ほぼ同時にアチッと熱が伝わってきました。


熱伝導率:銀420、金320、アルミニウム236、鉄84、ステンレス鋼16.7 ~ 20.9(単位: W・m-1・K-1)。ゴールドよりも熱伝導率が高く、すべての金属の中で銀の熱伝導率が最高、銀ファンとしては覚えておきたいところです。

現行の10ペンスコインでも比べてみました。10ペンスは鉄を主成分とした合金にニッケル鍍金されています。 銀と比べて鉄は熱伝導率が低いので、10ペンスコインでは、アチッと来るまでにけっこう時間がかかりました。

写真の牧羊犬ペンダント、ヴィクトリアン銀貨、10ペンスコイン、スターリングシルバー ペンダントヘッド、これらを二つずつ順番に比べてみたところ、牧羊犬ペンダントは、銀貨やスターリングシルバーとほぼ同時にアチッと熱が伝わってくることが確かめられました。やはり銀製で間違いないと考えます。

裏面には写真二番目に見えるように、「Club de Chien de Berger BELGE」とあります。 本来ですと裏面にオーナーの名前が彫られるところでしょうが、未使用品なことから、ブランクになっています。

羊や牛や豚など家畜の飼育を助けるのが牧羊犬の役割で、コリー系統の犬が家畜の誘導や見張りなど、人のために働いてくれます。 羊を柵内に追い込む早さやテクニックを競うコンテストがあったものと思います。 

犬や景色のレリーフは細工のよさが感じられて、品のいいアンティークです。 牧草地にコリーが立っており、背景には木々や山並み、そして陽が昇るところのようです。 のどかな牧場の風景で、数頭の家畜が草を食んでいるのも見えています。

写真二番目で裏面をご覧いただくと、アイビーの葉っぱが見えます。 アイビーはヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたデザインで、蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 また、いつも緑であることから、Immortality(不滅)や Eternal Life(永遠の魂)を表すこともあります。

このアンティークの場合は、忠犬ハチ公って感じで、Fidelity(忠実)を表象する役割を担ったアイビーと云えそうです。

アール・ヌーボー ペンダントヘッド with ゴールドギルト ベルギー 牧羊犬 クラブ 金賞




No. 20117 ベルギー 牧羊犬 クラブ 銀賞 アール・ヌーボー ペンダントヘッド SOLD
本体部の縦 2.6cm、横 1.95cm、留め具を含む縦長 4.2cm、本体厚み 1mm強、重さ 7g、1910年前後のベルギー製、一万一千円 SOLD
ベルギー 牧羊犬 クラブ 銀賞 アール・ヌーボー ペンダントヘッド




No.20127 透かしクロス スターリングシルバー インゴット ペンダントヘッド SOLD
インゴット本体の縦(留め具含まず)3.0cm、横の長さ 2.0cm、厚み 1.5mm、重さ 11g、銀円環を含む縦長 3.65cm、一万一千円SOLD

透かしのクロスが特徴的な、スターリングシルバー インゴットタイプのペンダントヘッドです。 取り付けられた銀円環は太さが2ミリ強もあって、屈強な感じです。

デザインとしては、インゴットタイプでありながら、クロスでもあるところがグッドです。

写真一番目に見えるように、UNITED COLORS OF BENETTONの後には、MADE IN ITALYの文字があって、スターリングシルバー素材を示す「925」刻印があります。

さらに、その下の列に並んでいるのは、ブリティッシュ シルバー ホールマークで、ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示す「天秤に925」のコモンコントロールマーク、もう一つスーターリングシルバーを示す「925」マーク、そしてバーミンガム アセイオフィスのアンカーマークです。

『私はキリスト教の信仰者ではありませんが、何故かクロスにとても惹かれます。』というお便りをいただきました。 

英吉利物屋ではアンティークのクロスを扱っておりますので、関心のある方から、そういうお話があるのは珍しいことではないかも知れません。 けれども、クロスに惹かれるという話はこれが初めてというわけでなく、多くの方からお聞きしてきましたし、私もそう感じることがあるので、なぜだろうかと考えたくなるのです。

英国アンティーク情報欄にあります「40. 何故かクロスにとても惹かれます。 その理由を英吉利物屋風に考えてみました。」をご覧いただければ幸いです。

ところで、写真のような銀はいつどこで出来たのでしょうか。
石見銀山とか聞いたことあるし、地球の内部で出来たのだろうと思いがちですが、それは違います。 地球のようなヤワな環境では銀は生まれません。 太陽の中でさえ銀は生まれません。もっと大きい星が必要です。 遠い昔に宇宙で起こった超新星爆発の途方もないエネルギーの中で銀ができたのです。 

だから、写真の銀が出来たのは、地球が生まれるよりもずっと前のことです。 そして、運が良ければ、もうすぐ銀が生まれる大イベントが目撃できるかもしれないと言われています。 オリオン座の一等星ベテルギウスの大爆発がいつ起こってもおかしくない時期に差し掛かっているからです。 

ベテルギウスの寿命は一千万年、そしてそろそろ一千万年が過ぎようとしています。 ただし、誤差としてたったの0.1%爆発時期がずれたとしても、それは一万年、人間にとってはどうしょもないほど長い年月になっちゃいます。 だから運がよければ。。

透かしクロス スターリングシルバー インゴット ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)透かしクロス スターリングシルバー インゴット ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)透かしクロス スターリングシルバー インゴット ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20029 フランス製 シルバー Hope, Charity & Faith 三種セット クリスチャン モチーフ ペンダントヘッド SOLD
長さ 2.7cm、留め具を含む縦長 3.0cm、最大横幅 1.65cm、最大厚み 6mm、19世紀終り頃のフランス製、一万四千円 SOLD

ハート、アンカー、クロスの三種セットは、クリスチャンモチーフの組み合わせになり、ハートにはCharity(思いやり)、アンカーにはHope(希望)、そしてクロスにはFaith(誠実)の意味合いがあります。

ホロー(中空)構造をしていて、写真二番目に見えるように、かなり立体感があり、手にしてみると厚みを感じるHope, Charity & Faith三種セット クリスチャン モチーフ ペンダントヘッドに仕上がっています。 

写真三番目は裏面の様子になりますが、上部の円環部分には、フランス製シルバーのスタンダードマークである「いのししの頭」マークが刻印されています。

小さなホールマークを手掛かりにフランス製と分かることは、この銀アクセサリーの興味深いところと思います。 一般にフランス製シルバーにはデートレターの定めはありませんが、刻印や全体の作りや雰囲気からみて、この銀製品が作られたのは、19世紀の終り頃からイギリスで言えばエドワーディアンの頃だろうと思います。

フレンチシルバーのホールマークはその小ささが特徴で、ちょっと見ただけでは分かり難いのですが、アンティークハント用のルーペがあれば、とても小さな手掛かりを読み取ることで、フランス製であることが解読できます。 この機会にフランスのホールマークについて少し解説しておきましょう。

1838年に導入されたフランス製シルバーのスタンダードマークにはいくつかの種類があります。 大きめな銀には知恵と武勇の女神、ミネルバの横顔マークを、そして比較的小さな銀には「いのししの頭」あるいは「蟹」のマークが刻印されます。 

ただ、問題は「いのししの頭」と「蟹」のマークの大きさが、1.25mm*1.75mmと小さいので判読が難しいことです。 まず、マークサイズが小さいので見翌ニしがちになり、ホールマークからこの品はフレンチらしいと気付くのに時間がかかります。 そしてさらに、小さな刻印の中に描かれた図柄まで識別するには、刻印の表面をクリーニングする必要も出てきますし、やはりルーペの助けが必要にもなるのです。

フランス製 シルバー Hope, Charity & Faith O夋Nリスチャン モチーフ ペンダントヘッド


No. 20121 スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド
写真で見てホースシューの横の長さ 2.4cm、縦 2.3cm、最大厚み 3mm、1935年 バーミンガム、一万五千円

このスターリングシルバー ホースシュー(馬の蹄鉄)のペンダントヘッドが作られたのは今から八十年ほど前の1935年です。 銀地金の雰囲気がよく出たリアルな蹄鉄のデザインになっています。 ライオンパサントの横の長さは3ミリほどあって、大きめなホールマークが刻印されているのは、ホールマーク自体を見て楽しむという作り手の意図を反映しているのでしょう。

U字型の開口部が下向きになる格好で、これはヴィクトリアンからエドワーディアンの時代に好まれたホースシューの向きになります。その後、第一次世界大戦を経て、ホースシューはU字型の置き方が好まれるように人々の好みは変化していきました。

アール・ヌーボーからアール・デコに嗜好が変わっていったように、大戦争のビックインパクトが社会に与えた影響の大きさを反映しているのではないかと思っています。

写真のホースシュー ペンダントヘッドの場合は、昔好みな方の嗜好を反映した留め具の付け方になっているというわけです。

もう一つ取付穴があって、横置きも可能になっています。ヴィクトリアン タイプが落ち着くメンタリティーの旧世代の人から、新世代の方にオーナーが変わって、横置き用に仕様変更されたのではないかと思い、興味深く見ております。

裏面にはホールマーク以外にも、デザイン登録したレジスター番号と、「ENGLAND」の刻印が見えています。 ホールマークは順にHG&Sのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1935年のデートレター「L」になります。 もう一つ、シルバージュビリーのマークも刻印されているのも面白いところです。

ヴィクトリアンやエドワーディアンの作ではありませんが、それでも1935年作といえば、かなり古い品であることがお分かりいただけると思います。 アガサ・クリスティーの『オリエント急行殺人事件』が1934年に出ており、この頃の様子を知る手掛かりによさそうと思います。 

写真二番目で見て、左側上から三つ目にあるライオンの刻印が、英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになり、重要な刻印です。 このライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 

横歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から500年ほど前の1544年のことになります。 これは当時テューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 

銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

歴史や伝統に格別なこだわりを持つイギリス人は、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)にも特別な愛着があって、五百年の長きにわたって、この刻印を使い続けて今日に到っております。

ホースシューはイギリスではグッドラックの意味があって人々に好まれます。 縁起のよさが好まれ、パブの看板に蹄鉄三つが描かれて、写真三番目のような「Three Horseshoes」なんていう名前のパブもありますので、「ホースシュー=幸運」の図式はイギリス人の暮らしに深く根ざしていることが分かります。

ついでながら、シャーロック・ホームズの『白銀号事件』を読んでいましたら、ホームズの「I think that I shall put this horseshoe into my pocket for luck.(このホースシューは幸運があるように、私が貰っておきましょう。)」という台詞に出会いました。 この探偵小説は1892年12月に発表されていますので、少なくともヴィクトリアンの頃には、「ホースシュー=グッドラック(幸運)」の連想があったことが分かります。 シャーロック・ホームズ シリーズには、アンティークなヴィクトリアンの暮らし向きが読み取れる場面が豊富なので、注意して読むと面白いようです。

それから、蹄鉄の滑り止めはカルカン(Calkin)と呼ばれるのですが、ちょっと注意して見てみると、このホースシューのカルカンは左側に三つと右側に四つの合わせてラッキーセブンになっています。 ホースシューが本来持っている幸運の意味合いに、カルカンのラッキーセブンが掛け合わされて、ラッキーの二乗になっていることから、より効果のありそうなホースシューに作られているのです。 

それでは、なぜホースシューが好まれるようになったのか。 ヴィクトリア時代に書かれた 『The Horse Shoe, The True Legend of St. Dunstan and The Devil』 という書物には、ホースシューにまつわる伝説が書かれています。 その概要をご紹介してみましょう。

後にカンタベリー大司教になったセント・ダンスタンは、ハープを弾くのが上手で鍛冶屋の仕事もこなす器用な人でした。 ダンスタンが夜にハープを奏でていると、デビルがやって来て邪魔をするようになりました。 デビルの悪戯に困ったダンスタンは一計を案じて、蹄鉄を取替えに来たデビルの蹄足にホースシューの留め釘を深く打ち込んだのでした。 

痛がるデビルにダンスタンはこう言います。 「これからは礼拝の邪魔をしないこと、音楽を奏でる邪魔をしないこと、そしてホースシューを掲げた家には寄り付かないこと。 これを守るなら直して進ぜよう。」 デビルはダンスタンと契約をかわし、以降はホースシューが魔除けの役割を果たすようになり、さらには Good Luck をもたらすお守りとされるようになったのでした。

スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド


ホースシュー伝説のヴィクトリアン本 『The Horse Shoe, The True Legend of St. Dunstan and The Devil』の挿絵
デビル除けのホースシューを逆U字型に取り付けています。





今ではU字置きが普通ですが、逆U字置きが好まれたのがヴィクトリア時代。

いつの時代に上下逆転が起こったのか、一つの手掛かりがこちらです。

二つのポストカード、上は1918年の消印で逆U字置き、下は1927年でU字置き。1919年には第一大戦が終結しています。私は戦争のインパクトがGOOD LUCK ホースシューをもひっくり返したとみてます。

第一次大戦とデザイン、詳しくはigirisumonya.com/19377の解説記事もご覧ください。





No. 20111 スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド SOLD
写真で見てホースシューの横の長さ 2.4cm、縦 2.3cm、最大厚み 3mm、1931年 バーミンガム、SOLD
スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド





No. 20116 アンカー & ライオンパサント スターリングシルバー ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク
本体の縦長 3.85cm、横 1.9cm、厚さ 1mm、ペンダントヘッドの重さ 8g、ライオンパサントの横幅 4.5mm、1977年 バーミンガム、一万二千円

通常の銀製品よりも大きなホールマークがしっかりと刻印され、ブリティッシュ スターリングシルバー ホールマークの見本のような銀のペンダントヘッドです。 

英国シルバーホールマークのデザインそのものを楽しむ趣向のアクセサリーと言えましょう。 アンカーやライオンパサントは横幅 4.5ミリほどの大きさがあって、ブリティッシュホールマークしては、かなりのサイズになっていると思います。

インゴット型ペンダントヘッドの派生系になりますが、横幅があって存在感のある純銀の板といった風情の品です。 ただし、インゴットのようには厚みがないので、重さは8グラムとなっていて、身に着けるアクセサリーとしてはちょうどよいと思います。 

ホールマークは上から順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1977年のデートレターで、さらにその下にはスターリングシルバーの純度を示す「925」刻印と、天秤の形をしたコモン コントロール マークがあります。

ホールマークの中でデザインが分かりやすくて、注目を集めやすいのは、やはりアンカーとライオンになりましょう。 

上から二つ目にあるアンカーが大きめで目立って見えることも気に入っています。 これはバーミンガム アセイオフィス マークであるわけですが、この品が刻印のデザインそのものを楽しむ趣向を持っているという意味では、アンカーモチーフについて追記しておいてもよいでしょう。

モチーフとしてのアンカーにはかなり古い歴史があります。 世界史で習ったローマ時代のカタコンベには、クロスに見立てたアンカーがありました。 当時はキリスト教が国教となる以前のことで、アンカーをクロスの代用とすることで信仰を守る必要があった時代でした。

そうした背景があって、アンカーは初期のクリスチャンモチーフとなりました。 そしてアンカーのクロス的側面を重視する場合には、アンカーのことを「聖クレメントのクロス」とか、「マリナーズ(船乗りの)クロス」と呼びます。 さらに時代が下って、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃になると、イギリスではシーサイドリゾートが人気となり、マリンモチーフのファッション性が好まれました。 

クリスチャンモチーフとしてのアンカーには、クロスの代用という意味合いの他にも、「Hope(希望)」や「Steadfastness(しっかりしていること)」を表象する意味合いも含まれています。 あるいはまた、船が抜錨して次の目的地に向かうという連想から、「Fresh Start(新たな出発)」をシンボライズするモチーフともなっています。

ブリティッシュ ホールマークは銀の純度を保証し、製作年等を記録するという実用目的で、中世の時代に始まった制度ですが、ライオンパサントやバーミンガムのアンカーなど装飾性が高いこともあって、いつの頃からか、ホールマークのデザインそのものを楽しむ趣向のアクセサリーも作られるようになりました。 

上から三つ目にあるライオンの刻印は、英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになりますが、このライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 この歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から500年ほど前の1544年のことになります。 これは当時テューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 
歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

アンカー & ライオンパサント スターリングシルバー ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク


No. 20040 スターリングシルバー ケルティック クロス with ブリティッシュ シルバー ホールマーク
クロスの縦(留め具含む) 2.9cm、横 2.3cm、重さ 6g、最大厚み 2.5mm、1976年 バーミンガム アセイオフィス、一万一千円

メーカーズマークの「AH」が目立つので、イニシャルが「AH」の方に持っていただいたら、面白いだろうと思います。

写真二番目で見えるように、裏面には四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されています。 ホールマークは順に「AH」のメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1976年のデートレターです。

ソリッドなスターリングシルバーのクロスです。比較的近年の銀製品になりますが、それでも今から四十年以上前の1976年に作られていることが、ブリティッシュ シルバー ホールマークを読み取ることから分かります。 クロスの中央が一段高くなった構造で、この辺りが最大厚みの2.5ミリとなっています。 ソリッド(solid)とは、このクロスがホロー(中空)構造ではなくて、中まですべてが銀の稠密構造であることを言います。

クロスのセンターにある輪の部分がデフォルメされたデザインで、一般に、このタイプのクロスも広くケルティック クロスと呼ばれます。 

遠く歴史をたどりますと、このケルティック クロスのモニュメントは英国西部のコーンウォール地方からウェールズ、スコットランド西方諸島、そしてアイルランドに分布していて、千二百年以上前のケルト人によって建てられたものです。 

ケルティックとは「ケルト人の」という意味です。 英国史においてケルト系の人達とは、もともとのイギリス先住民で、民族大移動によって欧州大陸方面からノルマン系住民が流入して支配的な地位を占めるようになると、次第に辺境の地へ追いやられていった人たちです。

彼らが追われた辺境とは、スコットランド、ウェールズ、英国西部のコーンウォール、そしてアイルランド等でした。 とは言っても、支配と被支配という関係だけではなく、結局は婚姻などで入り混じって今日のイギリス人が出来あがっています。 ちなみにロンドンという地名やテムズ川の名前はケルトの名称だそうですし、今日の英国人は自分たちのことをブリトンと呼びますが、このブリトンとは元々ケルトの一部族の部族名でした。


それから、円卓の騎士アーサー王は、コーンウォールで生まれたとされる伝説的なケルトの王様です。

関連記事:【Tintagel アーサー王伝説の村、英国 アンティークの根っこをたどる旅】
スターリングシルバー ケルティック クロス with ブリティッシュ シルバー ホールマーク


No.20039 どんぐり3つのスリーエイコーン ナショナルトラスト 銀メダル ロイヤルミント製 オリジナルケース入り
直径 3.9cm、重さ 26g、厚み 2ミリ強、1976年 ロンドン アセイオフィス、一万七千円

どんぐりと樫はナショナルトラストのシンボルです。

https://www.nationaltrust.org.uk/

https://twitter.com/nationaltrust


ロイヤルミントとは、英国王室造幣局を指します。 側面部分にはブリティッシュ シルバーホールマークが刻印されています。 また、Cicely Elizabeth Perringの刻印もあります。 ホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1976年のデートレターになります。

どんぐりのデザインが可愛らしい銀でありますが、このどんぐりには、歴史および文化的な背景からイギリスでは、なかなかに深遠な意味合いが含まれており、こうしたモチーフのよさがポイントになる銀と思います。

どんぐり3つのスリーエイコーンは、繁栄を象徴するクリスチャンモチーフで、教会のステンドグラスなどでも、よく見かけます。

エイコーン(Acorn=どんぐり)は古代ローマまで遡れるモチーフの一つです。 ケルティックやスカンジナビアン アートにおいても、Life(生命)、Fecundity(豊かさ、生産力)、Immortality(永久になくならないこと)を表象するモチーフとして好まれてきました。 そして繁栄をシンボライズするクリスチャンモチーフとして、今日にも引き継がれています。

英語には、『Every oak must be an Acorn.(樫の大樹も元々はみなどんぐり)』という諺があって、一粒の小さなどんぐりで、樫の大木をシンボライズしているケースもしばしば見受けます。

「3」という数、日本でもそうだと思いますが、英語ではラッキーナンバーに通じるものがあって、縁起物ではよく出会う数字です。 ホースシューでご紹介したことがある「Three Horseshoes」もそうですし、チェスター アセイオフィスの「Three Wheat Sheaves(3つの麦束)」も同様でしょう。 

キリストが生まれた時に訪ねてきたという「東方の3賢人」の例もあります。 マクベスの「Three Witches」はどうでしょうか、これはなにかと「3」だと、おちつきがよいということかも知れません。 日本でも「3度目の正直」、「仏の顔も三度」、「二度あることは三度ある」など馴染み深いもので、「3」にこだわる意味合いには納得感がありそうに思うのです。

ナショナル トラスト どんぐり3つのスリーエイコーン 銀メダル ロイヤルミント製 オリジナルケース入り(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)ナショナル トラスト どんぐり3つのスリーエイコーン 銀メダル ロイヤルミント製 オリジナルケース入り(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20036 スターリングシルバー ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク SOLD
インゴットの縦(留め具含まず) 3.6cm、横 1.6cm、厚さ 2mm弱、重さ 11g、1978年 バーミンガム、SOLD

このペンダントヘッドは大きなブリティッシュ ホールマークが刻印されているわけではないので、インゴット型の本流と呼べるかどうか分かりませんが、本体部分の形状や作られた年代から考えると、インゴット型の派生系シルバー アクセサリーと言ってよいでしょう。

スターリングシルバー ペンダントヘッド with ブリティッシュ ホールマーク(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20034 フランス製 シルバー 船舵 ペンダントヘッド SOLD
最大外直径 3.4cm、銀の最大厚み 3mm強、重さ 13g、19世紀終り頃のフランス製、SOLD

かなり持ちはかりがあって、しっかりした銀の質感が心地よいフランス製シルバー 船舵 ペンダントヘッドです。 ホイール最上部の銀円環につながる取り付け部にはフランス製のシルバーであることを示すホールマークが刻印されています。

フランス製シルバーホールマークや、モチーフ、そして細工の様子から見て、フランスやイギリスで海浜リゾートブームがあった19世紀終り頃に作られた銀と思います。 

モチーフとしての舵=ホイールはTime(時の経過)、Fortune(運勢、幸運、財産)、Sun(太陽)等をシンボライズするデザインです。 また、クリスチャンモチーフとしての意味合いにおいては、St.キャサリンを表象するデザインとされます。 そうした中で特に中世の昔にあってはFortuneの意味合いが重視されていました。 パリのノートルダム寺院やアミアン大聖堂のゴシック建築に見られる中世の円形窓は、Wheel of Fortuneを表現していると言われます。

時をくだって、船舵のデザインはマリンモチーフが流行った頃の影響が出ているとも考えられます。 19世紀終り頃から20世紀の初頭にかけて、イギリスやフランスの海浜リゾートが賑わって、ロープや船の舵、波、シーガル、ヨットといったマリンモチーフが人気となったのです。 そしてマリンモチーフの中でも船舵デザインは、未知の海原に途を切り拓いていくポジティブイメージを示すデザインとして好まれたものです。

さらに、シルバーという素材は幸福に通じることから、銀の船舵でダブルGood Luckとなっています。

フランス製 シルバー 船舵 ペンダントヘッド





No. 20110 スターリングシルバー グッドラック ホースシュー ペンダントヘッド with ブリティッシュ シルバーホールマーク
写真で見てホースシューの横の長さ 2.4cm、縦 2.3cm、最大厚み 3mm、1932年 バーミンガム、 SOLD
スターリングシルバー グッドラック ホースシュー ペンダントヘッド with ブリティッシュ シルバーホールマーク







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