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No.7002 スターリングシルバー ティーポット

高さ 13cm、1921年 シェフィールド、Atkin Brothers Silversmith Ltd.作、SOLD



安定のいいポッテリとした形のティーポットで、素朴ななかに飽きのこないデザインです。表面が打ち出しになっているところと、蓋のつまみと取っ手が木製のところが暖かみを感じさせます。
容量はちょうど1パイント(570ml)で二人用として使えますが、一人で本でも読みながら、ゆっくりお茶を楽しむのにも適した大きさです。

英国の多くのシルバースミスはヴィクトリア期の19世紀後半創業という会社が多いのですが、このティーポットを作ったAtkin Brothers Ltd.はその創業が1750年という老舗です。また第一次大戦を経て英国の勢いがピークを過ぎるとともに消えていったシルバースミスが多い中にあって、Atkin Brothers Ltdの勢いは衰えませんでした。 1930年代にはこの会社は当代一流の職人を抱える会社として名を馳せていました。 

1938年の英国産業展覧会ではAtkin Brothersご自慢の職人、親方衆がクイーンメアリーに謁見を許されお褒めの言葉を授かったとの記録が残っています。
親方衆の中には、Atkin Brothers勤続63年のハリーデニスや勤続62年のジョンストークスが含まれていました。 そして当時31人いた親方衆の平均勤続年数は47年4ヶ月だったそうです。こうした親方たちの手仕事に支えられたティーポットのクォーリティは相当高かったと考えられます。

徒弟制度の善し悪しは別として、当時のAtkin Brothersのような職人集団は、今日の世の中では望むべくもありません。 先日あるシルバースミスの方からお話を伺いましたが、人件費の高騰した今日のイギリスにあっては、昔のシルバースミスと同じ仕事は到底出来ないとおっしゃっていました。