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No. 4437 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン テーブルスプーン
長さ 22.4cm、重さ 51g、ボール部分の長さ 7.7cm、最大幅 4.5cm、ボールの深さ 1.2cm、柄の最大幅 2.05cm、1797年 ロンドン、二万二千円

このスターリングシルバー テーブルスプーンは今から二百十年以上前の1797年の作で、英吉利物屋の扱い品の中にあってもかなり古い品になります。 アンティークの中でも1700年代、つまりは18世紀の作というと、飛び切り古いアンティークという気がします。 

大きな時代の流れのなかで、このアンティークの位置づけについては、英国アンティーク情報欄にあります 「37. アンティークと歴史経済の大循環について」もご参考ください。

1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。 

写真二番目のホールマークは順に メーカーズマーク、ジョージ三世の横顔でデューティーマーク、1797年のデートレター、ロンドン レオパードヘッド、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントになります。

英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、このテーブルスプーンが作られた18世紀後半はイギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。 一つには産業革命の影響で英国社会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージ三世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍車をかけました。 18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死者が五百人を超える惨事となって革命一歩手前だったようです。 

さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが作られた1797年頃は、おっかなびっくり隣国フランスの様子を窺いながら、当時のイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国史がそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。

なお、オールド イングリッシュ パターンについては、「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事をご参考ください。

ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン テーブルスプーン



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