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No. 4423 Lily-of-the-Valley エドワーディアン ポストカード with King Edward Z blue-green Half Penny 切手
横の長さ 9.0cm、縦の長さ 14.0cm、1910年、一千八百円

今から百年ほど前のエドワーディアン ポストカードです。 消印は1910年2月18日午後6時45分ということで、裏面にはエドワード七世のblue-green Half Pennyスタンプが貼ってあるのもポイントです。 

なめらかで柔らかな青白い花でありながら、凛としたたたずまいのスズランは、遠い昔から「Purity(純粋)」のクリスチャンシンボルとされてきました。 英国ではLily-of-the-Valleyと呼ばれますが、いくつものベルシェイプの花がうつむきかげんに咲く、そのエキゾチックな雰囲気がヴィクトリアンからエドワーディアンの人々に特に好まれたようです。

伝説によれば聖母マリアの涙が「Lily-of-the-Valley」になったとされ、この花は別名「Our Lady's tears(聖母マリアの涙)」とも呼ばれます。 中世のイングランドにおいては野の花でしたが、聖母マリア伝説や、「Return of Happiness(幸せの再来)」という花言葉が好まれたこともあって、次第にイングリッシュ ガーデンフラワーとして取り入れられていくようになりました。

アンティークのポストカードをいろいろ見ていて思うのですが、メッセージが短いものが多くて、カードに親しむあり方として見習ってみたいと、以前に書きました。 調べるうちに、なぜ短いメッセージのアンティーク ポストカードが多いのか、その背景が分かってきました。 

『The Victorian House(Judith Flanders著)』という本によると、ヴィクトリア時代のイギリスにおいては、ものすごい数のポストカードが行き来していたようです。 当時のイギリス都市部では、郵便配達が一日に五、六回に及んでいました。 職場で働く旦那さんが、ランチタイムの頃に、奥様宛に「今日の帰宅は午後六時の予定です。Love」とか書いてポストカードを送れば、夕方までに届くという状況だったのです。

電話が広く普及する前のことで、多くの人たちにとって、ちょっとした用事を伝える手段として、郵便システムがこれほどに発達していたのです。 ヴィクトリア時代でもまだ前期にあたる1851年の新聞 『The Times』に掲載された投書の例がありました。 それによると、ロンドンで午後一時半に投函された手紙が、その日の午後四時になっても、3キロ離れた宛先に届かなかったという苦情だったのです。 逆に言うと、当時のロンドンではそれが当たり前だったわけで、百五十年前のイギリス郵便、恐るべしだったのです。

このカードの消印から郵便局の受付が午後6時45分と分かりますが、二十一世紀の今日ではその時間には郵便局はもうとっくに閉まっています。 百年前の郵便局員さんは、ずいぶんと働き者であったし、そうであることを世の中も期待していたということです。

アンティーク ポストカードは昔の暮らしが分かって楽しいですし、やはり絵や写真など見るアンティークの華やかさは良いものです。 少しずつコレクションをご紹介していけたらと思います。

Lily-of-the-Valley エドワーディアン ポストカード with King Edward Z blue-green Half Penny 切手


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