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No. 20141 デンマーク シルバーサーバー with インターレーシング ドラコンタイン ピアストワーク
長さ 25.5p、重さ 101g、ボール部分の直径 7.8cm、ボールの深さ 1.2cm、柄の最大幅 2.9cm、ねじれ柄の最大厚み 7.5mm、デンマーク製、1903年 コペンハーゲン、四万五千円
勇者ペルセウスがアンドロメダ姫を助けた時の悪役はドラゴンでした。St.Georgeは王様の娘をドラゴンから救ってキリスト教世界の伝説となりました。ギリシャ神話やキリスト教文化圏でのドラゴンの立ち位置が分かります。
ところが西欧の土着の人たち、例えばケルト諸族やバイキングにとっては、ドラゴンは最高のポジティブイメージ。大昔のケルト人にとってはドラゴンは種族の象徴であり、最高の意味合いがありました。
そして今でもケルトの末裔たるウェールズ国旗は赤いドラゴンです。写真は1903年にヴァイキングの国デンマークで作られた銀製サーバーです。そこで表現されているのは、ヴァイキング達のお気に入り、やはりドラゴンなのです。
百グラムを超える持ちはかりがあって、重厚な銀のサーバーです。
1)百年以上前に作られたシルバー アンティーク。
2)柄先に見られるメインモチーフが、インターレーシング ドラコンタインのピアストワーク。
3)ボール部分にたくさんのケルティック スパイラル。
以上を考え合わせると、北欧アンティークの代表格と言ってよいシルバーサーバーと思います。 写真四番目に見えるように、柄の裏面にはメーカーズマークと、デンマーク製シルバーを示すステートマークである「コペンハーゲンのスリータワー」が刻印されています。 また、全体がゴールドでギルティングされているのも豪華です。
曲線の交差模様はインターレーシング模様と呼ばれケルティック アートでしばしば登場するパターンです。 写真二番目をよく見るとドラゴンがインターレーシング模様を形作っています、この生き物はDracontineと呼ばれ、これもケルティック アートやヴァイキング アートでしばしば登場するモチーフです。
西洋の神話においてはドラゴンは破壊的な悪い生き物として描かれることが多いのですが、大昔のケルト人にとってはドラゴンは種族の象徴であり、最高の意味合いがありました。
このインターレーシング ドラコンタイン模様は、もともとは大昔のケルティックアートに起源を持ちますが、19世紀になってからコペンハーゲンのBorgen
や Christensenなどのジュエラーによってヴァイキング スタイルとしてリバイバルされ、人気を集めました。
ボール部分にはスパイラル パターンがたくさん見られます。 「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフで、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。
ちなみに、英国においても19世紀にケルティック リバイバルが盛んになりましたが、その大御所であるウィリアム モリスは当初ヴァイキング アートに関心を持って、北欧中世の散文物語である「サガ」等も読み進むうちに、ケルティック アート全般への興味が高まっていったようです。
英国におけるケルティック デザインはヴィクトリア期にケルティック リバイバルという形で見なおされて、その後アーツ&クラフツの流れの中でも脚光を浴びて今日に至っています。
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