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No.18527 9カラット ローズゴールド クロス with フラワー エングレービング
本体の縦長 3.0cm、横の長さ 1.7cm、帯幅 2.5mm、厚み 1mm弱、1920年代から1930年代の英国製、12,800円

裏面には9カラットゴールドを示す「9CT」の刻印があります。 ソリッドな9カラット ローズゴールドのクロスになります。 ソリッド(solid)とは、このクロスがホロー(中空)構造ではなくて、中まですべてが9カラット ゴールドの稠密構造であることを言います。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。

ウェーブパターンの基本デザインは深めなタッチの手彫りエングレービングです。 この深めな彫りの内部にはさらに微細な直線状の彫りが施されていて、光の反射が綺麗です。 クロスの横方向には花の彫刻が三つ並んでいます。 花びら部分は同心円状の微細なドットの点彫刻で構成されています。 

そうしますと、合計で三種の彫刻技法が駆使されていることになります。 彫刻の様子からみて、1920年代から30年代頃の英国製と思います。

波模様モチーフにはContinuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃より好まれたクリスチャンモチーフでありました。

アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、このクロスに施された手仕事の素晴らしさも分かっていただけると思います。 ハンド エングレービングとしては限界的な仕事になっています。 また、背景部分の繊細さはもちろんですが、基本デザインの深めな彫りも丁寧な仕事で、じっくり観察していくと、彫りの跡から彫刻刀を振るった向きまでもが窺い知れ、銀職人さんの息遣いが伝わってくるところにも惹かれる品と思います。

このところ為替が円安に傾いていることから円建て金価格は三十数年ぶりの高値水準になっています。 ゴールドの歴史の一部ということで、第二次大戦後のゴールド価格推移をざっくり眺めてみましょう。 大戦後には世界の超大国として残ったアメリカのみが金兌換を保証しており、ゴールド1オンスは35ドルでありました。 60年代のアメリカはベトナム戦争で疲弊し、次第に公定レート35ドルを守っていくのが難しくなっていきます。 ついに決壊したのが1971年8月のニクソン ショック、米国大統領がアメリカの金兌換停止を発表し、ドルは変動相場制に移行、ゴールドの価格漂流も始まりました。

70年代は世界的にインフレが進み、コモディティー価格が高騰し、ゴールドも狂乱状態になっていきます。 1980年初めには1オンス850ドルの最高値をつけております。 ところがこの850ドルはバブルでした。 高値を維持出来ず、比較的短期に急騰し急落しました。 その後は各国中央銀行がゴールドの売り手にまわって価格の低迷が続きます。 21世紀初頭には1オンス270ドル前後でした。 それから10年で過去の高値850ドルも突き破って2011年には1900ドル突破、現在は1600ドル近辺にあります。 世界経済の行方を見ていく上でゴールド価格は水晶玉のような役割もありますので、注意しておきたいところです。

『私はキリスト教の信仰者ではありませんが、何故かクロスにとても惹かれます。』というお便りをいただきました。 

英吉利物屋ではアンティークのクロスを扱っておりますので、関心のある方から、そういうお話があるのは珍しいことではないかも知れません。 けれども、クロスに惹かれるという話はこれが初めてというわけでなく、多くの方からお聞きしてきましたし、私もそう感じることがあるので、なぜだろうかと考えたくなるのです。

英国アンティーク情報欄にあります「40. 何故かクロスにとても惹かれます。 その理由を英吉利物屋風に考えてみました。」をご覧いただければ幸いです。

9カラット ローズゴールド クロス with フラワー エングレービング


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