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No. 18346 エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フォーク
長さ 13.0cm、重さ 14g、最大横幅 1.7cm、柄の最大横幅 1.2cm、1911年 シェフィールド、Charles William Fletcher作、七千五百円

今から百年以上前、エドワーディアンの時代が終わったちょうどその頃に作られた銀製品で、ハンドエングレービングのブライトカットが美しいスターリングシルバー フォークになります。

写真二番目に見えるように、柄の裏面にはブリティッシュ ホールマークが刻印されているのもよいでしょう。 裏面のホールマークは順にメーカーズマーク、1911年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスの王冠マークになります。

裏面の柄の部分にある「CWF」の刻印は「Charles William Fletcher」のメーカーズマークです。 「F」の文字は刻印があまくなっていますが、他の二文字と刻印の形状から、シルバースミスは「Charles William Fletcher」で間違いないところです。

柄の全体を取り巻いているブライトカットは光の反射が美しく、エドワーディアン アンティークとしての優雅さを備えております。 ブライトカットと言いますのは、もともとはジョージアンのティースプーン等で見られた装飾技法でありますが、少し敷衍して解説いたしましょう。 

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 この品は厳密なアンティークになって数年が経過しており、長く使っていける美しい銀製アンティークをお探しの方にはお薦めしたいと思います。 気に入った古いものを使っていくうちに、自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この銀のフォークにはそんな楽しみ方もあるわけです。

C.W.Fletcherはヴィクトリア時代から続くシルバースミスで、エドワーディアンの頃にはBrewis & Coという銀工房を買収してその傘下におさめるなど勢いのあるメーカーでした。 このシルバースミスの歴史を見て特に興味深いのは、二十一世紀の今日でも存続し続けているメーカーであることでしょう。 

英国の銀工房の多くは第一次大戦の頃を境にして、イギリスの国力が衰えるのとともに消えていったメーカーが多いのですが、C.W.Fletcherが残ったことには理由があります。 第一次大戦後にイギリスに代わって勢力の伸びてきたアメリカに軸足を移すことに上手く成功したのでした。 ニューヨークにあったJames Robinson Inc.という会社を通じて、生産の九割までもをアメリカ向けに輸出する銀工房に変貌していったのです。 

アメリカ人にとっても、歴史的な母国であるイギリスで作られた銀器というのは魅力であったようで、C.W.FletcherとJames Robinson Incの提携は成功しました。 先代のFletcher氏が亡くなった後の2002年にはJames Robinson IncがC.W.Fletcherを買収して、引き続き銀器の製作と販売にあたっています。

ニューヨークのパークアベニューに店舗があるJames Robinson Incのサイトもご参考まで。
http://www.jrobinson.com/

エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フォーク


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