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No.16665 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン
長さ 12.1cm、重さ 11g、ボール部分の長さ 4.1cm、最大幅 2.6cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.25cm、1800年前後の作、一万円

ジョージ三世の時代に作られたオールドイングリッシュ パターン スターリングシルバー ティースプーンです。 ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが英国ではよくあります。 

デートレターが判読できませんが、ホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、ジョージ三世の横顔はデューティーマーク、そしてメーカーズマークになります。 デューティーマークの形から判断して、1800年前後に作られた銀スプーンで間違いないところです。

ブライトカットは十分に美しく、二世紀前のティースプーンには現代人を惹きつける何かがあるように思います。 古いシルバースプーンをお求めいただいたお客様からのコメントをご紹介させていただきましょう。 『例のティースプーンは勉強の合間に入れるお茶に毎日欠かさず使っています。 不思議なもので、使っていると、以前より輝きが出てきたように思います。 また、親しみというか、スプーンに不思議な親近感までわいてきて、ちょっと危ないのかと思ってしまうほどです....(^^;』 銀というのは、かなり古いアンティークであっても、使っているうちに、また銀本来の輝きを取り戻してくるところが嬉しいものです。

今から二百年以上前に作られており、二世紀以上の時を経ているという古さはやはりアンティークとして大きな魅力になりましょう。 英国の歴史は比較的安定していたことが特徴で、隣国フランスのように大きな革命や動乱を経験せずに今日に至っており、そのおかげもあってイギリスにはアンティークのシルバーが多く残っているとも言えます。 しかし、このティースプーンが作られた18世紀後半はイギリスにおいてもかなり世の中が荒れて、政治が混乱した時代でした。 

一つには産業革命の影響で英国社会に大きな変化が起こりつつあって、ロンドンでは打ち壊しのような民衆暴動が頻発していたことがあり、二つには国王ジョージ三世がアメリカ植民地経営に失敗してアメリカ独立戦争を招いたことなどが混乱に拍車をかけました。 18世紀後半にロンドンで起こったゴードン暴動では死者が五百人を超える惨事となって革命一歩手前だったようです。 

さらに加えて海外からの不安定要因がイギリスを脅かし始めます。 1789年に始まったフランス革命は次第に先鋭化していって、ついに1793年には国王を処刑してしまうまでになりました。 このティースプーンが作られた頃というのは、おっかなびっくり隣国フランスの様子を窺いながら、当時のイギリスはいつ対岸の火事が飛び火してくるか、ひやひやものでありました。 もし英国史がそのコースを少し外していたら、このスプーンを今こうして見ることもなかったかもしれない、などと思ってみたりもするのです。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」後半部分をご覧ください。

ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン






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