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No. 16498 ブリティッシュ ペトロリアム クリスタル トロフィー コンパクト ナイフ with 栓抜き & マイナスドライバー
開いた長さ 7.3cm、閉じた長さ 4.5cm、重さ 19g、柄の幅 1.8cm、厚み 4mm、1972年 英国製、一万円

素材はシルバーではありませんが、しっかり出来た折りたたみナイフです。 今から四十年以上前に作られた品となりますが、あまり使われることなく現在に至っているようで、コンディション良好なのもよいでしょう。

折り畳みナイフと栓抜きとマイナスドライバーの組み合わせは、最小限のセットながら、コンパクトにまとまっており、ナイフや栓抜きを引き出す時も、固過ぎず緩過ぎず、バネの効き具合もいい感じです。 使い勝手のよい小道具なので、一本あったら、なにかと便利でありましょう。

イギリスのロイヤル ヨット アソシエーションが1972年に開催したヨットレースを、BPがスポンサーした記録があるので、その時に作られたものと思います。 「Crystal Trophy」とありますが、日本語で言ったら「水晶杯」争奪ヨットレースといったところでしょうか。 

また、BPというのは、ブリティッシュ ペトロリアムのことで、北海油田を抱える英国にあって最大の、そして世界でも有数な石油会社になります。

写真二番目に見えるように、栓抜きの柄元には「Stainless Steel」とあります。 ナイフの柄元の裏面には「SHEFFIELD ENGLAND」の刻印があります。

シェフィールドはイギリスでも大きな都市の一つですが、英吉利物屋で多く扱います銀製品において、シェフィールド アセイオフィスがあることから考えても、歴史のある英国都市であることがうかがい知れましょう。 さらに、シェフィールドは中世以来の古くから刃物の産地としても有名です。 写真の折り畳みナイフには、産地を示す『ENGLAND』と『SHEFFIELD』の刻印があり、その辺りにも、純然たる英国風を感じさせてくれる品と思います。

それから、柄先に見える数字はデザイン登録の番号です。 「REG DES 931110 874060」とあります。 イギリスのパテントオフィスに登録して、特許を取ってあることが示されています。

写真の品の場合は「1972」の刻印がありますので、年代推定は簡単でありますが、このデザイン登録番号をたどっていっても、やはり1972年から数年前の登録が分かるはずで、デートレターはなくとも、この品には製作年を示す手掛かりが多く残されており、こういうことが可能なのは、過去資料の整っている英国アンティークならではの面白さと思います。

アンティークシルバーを扱っておりますと、英国のホールマーク制度は、その歴史の長さ、制度の継続性、シルバースミスへの徹底の度合い等すべての面で欧州諸国の中でもピカイチと感じます。 博物学を発展させてきたイギリス人は、物事を整理分類するのが大好きで、500年以上にわたりホールマーク制度を維持し発展させてきました。

この品の場合はステンレス スティール ナイフとなりますが、こんどはイギリスのパテントオフィスの制度が、アンティーク年代特定のメルクマールとして大きな役割を果たしていることが分かるのです。 

手掛かりが多いという点で、イギリス アンティークのコレクターは恵まれた環境にありますが、これらはやはりイギリス人の国民性によるところが大きいように思います。 旅してみると感じるのですが、欧州人にも気質の違いがあって、偏見かも知れませんが、同じことをイタリア人やスペイン人に要求しても、無理な感じがしないでもありません。

見所や手掛かりが多く、この品物の背景を考えていくと、イギリス工芸史や英国人の国民性まで見えてくる、興味深いコンパクト ナイフと思います。

ブリティッシュ ペトロリアム クリスタル トロフィー コンパクト ナイフ with 栓抜き & マイナスドライバー


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