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No. 15710 スターリングシルバー ハノーベリアン パターン ティースプーン with ラットテール
長さ 11.3cm、重さ 12g、最大幅 2.1cm、柄の最大幅 1.0cm、柄の最大厚み 2mm、1924年 バーミンガム、Henry Williamson Ltd作、三千八百円

今から九十年近く前に作られたスターリングシルバー スプーンで、細身なタイプで品のいい銀製品と感じます。 柄先が少し手前に曲がったタイプで、ハノーベリアンパターンと呼ばれます。 写真二番目でボール裏面を見ていただくと、先が細くなったネズミの尻尾のようなデザインになっており、これがラットテールと呼ばれる構造です。 ラットテールはハノーベリアン パターンに付随して現れることが多いデザインです。

ラットテールはハノーベリアン パターンと、それより以前のドッグノーズやトレフィッド パターンで見られる構造ですが、元々は柄とボールの接合部分を補強するために採用された手法でした。 スプーンの歴史を考えてみると、棒状の柄の先にボールを取り付けたスプーンという道具は、技術レベルが低かった初期段階においては、柄とボールの接合部から壊れることが多かったのです。 

そこで考えられたのが、ラットテールという梁を付けて補強する方法でした。 そのうちに、素材の質や工作技術のレベルが向上してくると、ラットテールは実用上の必要性が薄くなってきましたが、今度は装飾的な観点から、ラットテールが採用されることも出てきました。 

さらに後の時代になると、まさにこの写真のティースプーンがそれにあたるわけですが、昔風なラットテールはノスタルジーを感じさせてくれることから、時に選好されたものと考えられます。

なお、イギリスにおけるスプーンパターンの歴史については、英国アンティーク情報欄にあります「4. イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご参考ください。

シルバースミスのHenry Williamson Ltdは、ヴィクトリアン中期の1865年にヘンリー・ウィリアムソンが創業した銀工房です。 1895年には時計店を買収して小売部門を拡張し、1899年に今度はファクトリーを買収して製作部門を強化しています。 ヴィクトリア期の最後の頃には、シルバー部、シルバープレート部、ジュエリー部、時計部、眼鏡部等を抱える大きなビジネスに成長していたようです。 1920年代には、英国産業フェアやスペイン バルセロナのフェアに出展したりと活躍しましたが、1929年世界大恐慌のあおりを受けて店を閉じました。 

ボール部分の裏面にはブリティッシュ ホールマークが、どれもしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にHenry Williamson Ltdのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカー、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1924年のデートレターになります。

スターリングシルバー ハノーベリアン パターン ティースプーン with ラットテール



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