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No. 15097 ヴィクトリアン ジャポニスム デザイン ロールド ローズゴールド ロケット with チェーン SOLD
本体縦長 2.0cm、留め具を含む長さ 3.0cm、横の長さ 1.6cm、厚み 4mm、全体の重さ 7g、付属チェーン一周の長さ 43cm、ヴィクトリアン後期の英国製、SOLD

小振りなわりに、しっかりと持ちはかりがあり、手にした時のずっしりとした質感が、まず印象的なアンティークです。 Rolled Goldという素材の面白み、ジャポニスムな花のデザイン、そしてローズゴールドの色合いに加えて、ロケット構造のよさに惹かれて求めました。

Rolled Goldとはベースメタルに9金や18金の薄金板を重ねた構造の素材で、ヴィクトリアン後期からエドワーディアン頃の英国で流行ったアンティークな素材です。 留め具部分には素材を示す「ROLLED GOLD」の刻印があります。 カラット数は表示がないのですが、イギリスでは一番多く見かける9カラット ゴールドでありましょう。

9カラットゴールドは金含有量が37.5%の合金ですが、金以外には銅を多く含む場合には、その色あいは赤みがかかっていて、イギリスではローズゴールドと呼ばれます。 英国にはバラの花が好きな人たちが多いので、ゴールドにおいてもローズゴールドが好まれるのでは?と思えます。 金純度の高いイエローゴールドよりも、温かみがあってVery Britishな装飾素材と思います。

このロケットの色合いは、イエローゴールドではないのですが、そうは言ってもローズの赤みはさほど強くもありません。 典型的なイエローゴールド色とローズゴールド色の間を3:2に分けた時に、ローズゴールドにより近い辺りの色合いと思います。

写真一番目で見て、ロケットの左肩部分に爪をかける構造があって、開け閉めも固くなく緩くなく、作りの良好なロケットです。

デートレター等のホールマークが無いので年代特定が難しいのですが、Rolled Goldという素材と共に、ロケットの構造やジャポニスム デザインの様子からみて、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンにかけての品と思われます。

1853年のペリー来航以来、日本の工芸が広く西欧に紹介され、英国シルバーの世界にも日本の伝統的なモチーフとして蝶などの虫、飛翔する鳥、扇、竹、さくら等のデザインが取り入れられていきました。1870年代、80年代のこうした潮流はオーセンティック ムーブメントとして知られています。

サムライの時代が終わった頃、1870年代前半における英国のジャポニスム取り込みについては、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」記事後半で詳しく解説していますのでご覧になってください。

その後のジャポニスム研究は、モチーフブックなどの成果となって、以下のような書籍が次々と発表されていきます。
「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」、 「A Grammar of Japanese Ornament and Design(1880年、Cutler)」、「Book of Japanese Ornamentation(1880年、D.H.Moser)」

そして1880年代の後半にはジャポニスム モチーフブックの集大成である「Japanese Encyclopedias of Design(Batsford)」が出て、Japanese craze(日本趣味の大流行)のピークとなりました。

ヴィクトリアン後期の英国にあってはジャポニスムが新鮮で、大きな顧客需要があり、モチーフブック等の基礎資料も充実していたことが、今日私たちが日本趣味な英国アンティークにお目にかかれる理由なのです。 百数十年も前に多くのイギリス人たちが日本に大いなる関心を持っていたことには驚かされます。

ヴィクトリアン ジャポニスム デザイン ロールド ローズゴールド ロケット with チェーン




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